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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十章 ドレナ・デ・スタールの空中城

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天空の舞踏城ドレナ・デ・スタール⑫/リング上部~空魚のソナチネ~

  バハムート。

 一言で表現するなら『空飛ぶ魚』だ。間抜けな表現だがそういうしかない。

 幸いなことに、上空十メートルほどをふよふよ浮かんでいる。ここからなら銃による攻撃も届く。

 ハイセはバハムートの側面に回り込み、自動拳銃を連射する。


「サーシャ、正面は任せた!!」

「ああ、任せろ!!」


 サーシャは剣を構え、近くの瓦礫に飛び移り跳躍。

 バハムートの真正面から切りかかる。


『───ATTACK』


 バハムートから機械音声が聞こえた。

 すると、バハムートの側面にある鱗のような突起が全て起き上がり、高熱を帯びる。

 口にある牙も熱を帯び、背びれ部分が展開し噴射口となる。

 バハムートの攻撃は、高熱を帯びた全身のブレードによる体当たり。サーシャは素早く看破するが、すでに跳躍したので真正面から受けるしかなかった。

 サーシャは、黄金の闘気を纏い、バハムートの口にある牙とぶつかった。


「ぬ、ぐぐッ……ッ!?」


 あっさりと押し負け、近くの民家に激突する。


「サーシャ!! この野郎……!!」


 ハイセは自動拳銃をホルスターへしまい、両手を前に突き出す。

 現れたのは、ガトリングガン。ハイセは建物に突っ込んだバハムートの噴射口めがけてトリガーを引く。

 圧倒的な数の弾丸がバラ撒かれ、バハムートの背びれと尾びれに食い込んでいく。貫通することはないが、連続で弾丸を浴びた衝撃で背びれと尾びれが破損、噴射口に弾丸が侵入し、ブースター部分が爆発した。


「サーシャ、生きてるか!!」


 ハイセが叫ぶ。すると、バハムートが吹き飛ばされた。

 サーシャが、全身に闘気を纏った状態で、バハムートを蹴り飛ばしたのだ。


「私は無事だ。が……かなり痛かった、こいつめ」


 ぱんぱんと肩や腕を払い、剣を握る。

 吹き飛ばされたバハムートは、すぐに空中で態勢を立て直す。ブースターが破損したようだが、行動に支障がないようだ。

 すると、バハムートは。


自動修理(オートリペア)起動』


 なんと、辺りに転がっているオートマタに食らいつく。

 すると、破損した背びれと尾びれ、噴射口が直っていく。


「と、共食い……」

「なるほどな。タイタンがほかのオートマタと違って綺麗だったのは、この共食いの力のおかげか。同種であるこいつにも同じ力が……」


 ハイセは、グレネードランチャーを手に榴弾を装填する。


「サーシャ、共食いの力がある限り、こいつは倒せない。見ての通り、こいつのエサはそこら中に転がってるからな……どうする?」

「決まっている」


 サーシャは剣に闘気を込める。


「共食いができないくらい、粉々にすればいい」

「怖いな……できるのか?」

「ああ。お前もできるだろう? 互いに、時間さえあればな」

「まぁな。じゃ、今回はお前に譲る。俺が時間を稼ぐから、好きにやってみろ」


 そう言い、ハイセはグレネードランチャーを発射、突進してきたバハムートの頭部正面に激突し、大爆発を引き起こした。

 再び、バハムートは共食いを始め、破損部分を修復する。

 ハイセは両手に自動拳銃持ち、修復が始まると同時に破損個所に銃弾を叩きこんだ。


「直した瞬間からブチ壊してやる」


 マガジンを交換。

 バハムートは、再び共食いを始めるが、ハイセは接近して頭部に銃弾を叩きこむ。

 再び共食いを始める───弾丸を叩きこむ。


「結論。こいつは頭が悪い。壊れると修復を優先するように行動してるから、修復が始まると同時に修復個所に銃弾を叩き込めば……永遠に共食いをするだけの馬鹿になる」


 ハイセはマガジンを交換し、サーシャに言った。


「準備は?」

「できている」


 そこには、闘気を剣に込めたサーシャがいた。

 いつもと違うのは、ただ闘気を込めるのではなく、剣に込める闘気の形状を極細に、研ぎ澄ませた刃のように、細く長くしていることだ。

 サーシャは剣を構え、ハイセはその場から飛びのく。


「『黄金神話絶刀(アメノムラクモ)』!!」


 極細の闘気刀による、超高速の百連斬り。

 共食い中だったバハムートは、細切れとなり───爆散した。

 

「ふ───脆いな」

「…………」


 ハイセは、素直に「強い」と感じていた。

 闘気の扱いが、ヒジリと戦った時よりも桁違いに上手い。ヒジリも強くなっているだろうが、今のサーシャなら、当時のヒジリは敵ではないだろう。

 自分が戦うとしたら、銃だけでは倒せない。レベルの高い『兵器』を使用しなくてはならないだろう。

 

「……どうやら、復活はしないようだな」

「ああ。お疲れ」

「お前もな」


 サーシャは拳を突き出してきたので、ハイセは自分の拳を軽く合わせた。

 今は、考える必要はない……サーシャと戦うことなんて。


 ◇◇◇◇◇


 バハムートを倒した二人は、休めそうな家を探す……が、上部は中部よりもひどく、ほぼすべての建物が倒壊寸前だった。

 だが、バハムート以外のオートマタはいない。それだけはありがたい。

 歩くこと数時間、二人は中部にあったシェルターと同じものを見つけた……が、シェルターはかなり破損しており、壁が崩壊し中が丸見えだ。

 だが、その辺の廃墟よりはましだった。個室はあり、ドアがちゃんと閉まるだけでもありがたい。

 二人は、広い個室を軽く掃除し、アイテムボックスから野営道具を出した。


「とりあえず、今日はここで休むか」

「ああ。明日はこの辺の調査か?」

「そうだな。これだけボロボロの廃墟ばかりだし、期待はできないけどな……調査して、何もなさそうだったら、次は城へ行こう」

「わかった……思ったより、早く地上に帰れそうだな」


 出発してから一週間ほど経過していた。

 城の調査次第では、一月かからず戻れるだろう。


「早く帰れそうでも、城は隅々まで調査するからな。ヘリから見てわかったけど、城は損壊もなさそうだし、綺麗な状態だった。図書室とか、歴史的なものが多くあるかも……ワクワクするな」

「お前もタイクーンと同じだな……この場にいたら、一月どころか数年は帰れそうにないな」

「ま、俺もタイクーンの知識に貪欲なところは嫌いじゃない。あとでここの本をいくつか渡すから、あいつに渡してくれ」

「……優しいのだな」

「普通だろ。お前も、ロビンとかに土産持ってけよ」


 二人はまるで、《もう調査が最後まで見えている》ような感じで話していた。

 二人は完全に失念していた。

 かつて、この城が一度だけ地上に降りたことがあり、多くの冒険者たちが乗り込んだこと。その冒険者たちが誰一人として戻って来なかったことを。

 その理由は決して、『上空から戻ることができなかった』からでは、ない。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] この後にまだボスが居るのか?それともこの都市の装置の影響で何かしらのイベが待ち構えているのかな? サーシャが特別なのかこの世界のオーラの強度はどの位あるんだろ?9mm弾位なら余裕なのかな?…
[気になる点] サーシャと戦う…か なんかそっちのフラグの方が強そうですね 冒険者が一人も帰ってこなかった理由も単に全滅したってわけじゃなさそうだし 住民がある一瞬で固まってた理由とも繋がってそう […
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