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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十章 ドレナ・デ・スタールの空中城

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天空の舞踏城ドレナ・デ・スタール⑥/リング下部~鉄のトロイメライ~

 早朝。

 ハイセは日が昇ると同時に起床し、玄関のドアを開け外の空気を吸う。

 ドレナ・デ・スタールの空中城は雲より高い位置にある。おかげで雲一つない快晴だ。

 軽くストレッチをして室内に戻ると、サーシャがテントからモゾモゾと起きてきた。


「ん……おはよう、ハイセ」

「ああ。メシ食ったら行くぞ。なるべく早くここを調べて、二番目のリングへ行く」

「ああ……わかった」


 ハイセは、鍋に湯を入れてサーシャへ渡す。

 さすがのハイセのアイテムボックスにも女物の下着はない。新品の、男用の下着をいくつかサーシャに渡し、昔使っていた容量の少ないアイテムボックスをサーシャに渡した。

 男物の下着を渡された時は激しく動揺したサーシャだが、「新品だ」と言われ何とか落ち着きを取り戻した。さすがに一か月も、同じ服や下着ではいられない。

 サーシャは、空き部屋で着替えを済ませ、湯で顔を洗い戻ってきた。

 すでに、テーブルには熱々のスープとサンドイッチが用意されている。


「サーシャ、紅茶いるか?」

「ああ、もらおう」


 食事を終え、食後の紅茶で一服。ハイセは「新聞があればな」とボヤいていた。

 紅茶を飲み終え、道具を全てアイテムボックスへ。

 玄関から外へ出て、ハイセは言う。


「とりあえず、大きい通路を通って行くか。何かあったら教えてくれ」

「わかった。では、行こう」


 二人は歩き出す。

 一度だけ、世話になった家をサーシャは見て、周りの家を見て言う。


「もしかしたら……他の家にも、人骨があるのかな」

「……多分な。俺たちが入った家だけ、ってことはないと思う」

「……一体、何なんだろうか、ここは」

「それを調べてる。禁忌六迷宮という割には、迷宮でも何でもないけどな」


 二人は並んで、この空中城について語りながら歩いていた。


 ◇◇◇◇◇


 ハイセとサーシャが歩くこと一時間。

 道中、様々な店があった。


「む、ここは……雑貨屋のようだな」

「本当だ。見ろ、カップとか、食器とか並んでいるぞ」

「ふむ……土産に、いくつか買っていくか」

「店主は骸骨だけどな」


 サーシャが雑貨屋で、高級そうな装飾の施された食器一式を買った。値段がわからないので、ハイセから借りた金貨を一枚、骸骨店主のいるカウンターへ置く。


「ここは……パン屋だな」

「パンはあるが……なんだこれは? 触っただけで風化するぞ」

「水分が完全に抜けてる。おい、食うなよ」

「誰が食うか!!」


 パン屋では、カラッカラのパンがいくつか置いてあった。

 相変わらず、店主は骸骨だ。

 そして、次の店では。


「ん? ここは……服屋か」

「む、もしかしたら……ハイセ、少し寄っていいか?」

「ああ、いいけど」


 サーシャが店内へ。

 ハイセも付いて行く。すると、サーシャが向かったのは……下着売り場だった。

 ハイセは立ち止まるが、すでに遅い。サーシャは、下着を漁っていた。


「……ふむ、古代の下着か。素材はしっかりしているし、洗えばなんとか」

「…………」


 ハイセはその場を離れた。

 サーシャはアイテムボックスに、替えの下着や肌着を大量に入れ、カウンターに金貨を置いた。


 ◇◇◇◇◇


 それから数日間、二人はリング下部を回ったが……わかったことは一つだけ。


「ここは、居住区だな」


 結論が出た。

 ハイセとサーシャは、リング下部にある大きな公園のような場所で話をしていた。

 ハイセは続ける。


「空中城の周りにも住居があっただろ? そして、ここ以外でも浮かぶリングは二つ。それぞれ浮いている高さが違う……断定はできないけど、もしかしたら階級制度みたいなのがあったかもな」

「階級? 貴族のような?」

「ああ。あの城の周りに住むのが貴族、それ以外が平民で、平民でもランクがあって、ここが最下層……なんて可能性も。もちろん、仮説だけどな」

「ふむ……」

「とりあえず、ここに目ぼしい物はない。一般的な、古代の町だろうな。まぁ、浮かんでいる時点でとんでもないけど」

「……では、ここでの調査は終わりか?」

「一応な。よし、どこかで野営して、明日は次のリングへ行く方法を探すか」

「む? あの、ヘリとかいう乗り物を使わないのか?」

「それは最終的な手段だ。せっかく空中城に来たんだ……どうせなら、この空中城にある仕掛けで行けるかどうか試したい」


 ハイセは、どこか楽しんでいた。

 やや気を抜いているようだ。なぜなら、ここには魔獣がいない。

 ここに到着した時点で、最大の難関は突破したようなものだ。


「ふふ、楽しそうだな」

「まぁな。お前は?」

「そうだな……うん、私も楽しい」

「下は気にならないか? レイノルドとか、怒ってるかもな」

「……帰ったら謝る」


 サーシャは、ややバツが悪そうだった。

 そんな風に、気を抜いていた時だった。


『が、ガガガ……ガ、ウォ、ガガ』

「「ッ!!」」


 ハイセとサーシャは同時に振り向き、ハイセは腰から自動拳銃を二丁抜き、サーシャは腰にある剣を抜いて構えた。

 妙な音声。何かが、そこにいた。


「な……なんだ、こいつは」

「て、鉄の……人形、か?」


 それは、金属の人形だった。

 胴長の図体、鉄の腕、鉄の足、顔は半円形で、中心に穴が開いており、赤い光が点滅している。

 初めて見るタイプの魔獣。ハイセは銃を構えつつ言う。


「サーシャ、気を付けろ!! こいつ……この町の白骨と、関係があるかもしれない!!」

「わかっている!!


 サーシャの全身を黄金の闘気が包み込む。

 その間も、鉄の魔獣はゆっくりと近づいてきた。

 伸ばした手に指ではなく、空洞の筒がありガラス玉のような物がはまっている。その筒をサーシャに向けると、ガラス玉が輝き始めた。


「───サーシャ!!」

「ッ!!」


 筒から、光線が発射された。

 サーシャは刀身の腹部分で光線を受ける。


「ッぐ……!? な、なんだ、これは……ッ!! あ、熱い……!?」


 ジリジリジリジリ!! と、刀身が赤くなっていく。

 超高熱熱線砲。ハイセは自動拳銃を連射し、鉄人形の顔である赤い光点を狙う。

 弾丸が光点に命中すると、バリンと光点部分が割れて弾丸が食い込んだ。

 光線が止まり、鉄人形がバチバチと音を立てると、そのまま爆発する。

 四肢が吹き飛び、ボディの内側から爆発した。


「っく、っはぁ、はぁ、はぁ……」

「サーシャ、大丈夫か!?」

「あ、ああ……こ、こいつは、なんだ?」


 サーシャの足元には、バラバラになった鉄人形の頭部が転がっていた。

 ハイセはそれを拾い、確認する。


「魔獣、なのか? 鉄の……生物?」

「……何か、喋っていたようにも見えた」

「…………」


 ハイセは頭部を捨て、周囲を確認する。


「……ほかにはいるか?」

「……わからん。生物的な気配は感じられんのだが」

「……確定だな。間違いなく、ここには何かがいる」


 ハイセは自動拳銃のマガジンを交換し、腰のホルスターに収めた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
地球だけかと思ってたけど他の世界からも漂着するのか?
[良い点] 来ちゃった件 クラン自体は、サーシャが不在でも回る(アドアドの時みたく)はずだけど、対外的な看板はサーシャじゃないと受けが宜しくないでしょうね。 まぁ、告白したレイノルドや求愛し続けて…
[気になる点] おそらくドロイドやオートマトン等の自律機械なんだろうけど、“鉄人形”と称したってことはこの世界にゴーレムはいないのかな? 問答無用で攻撃を仕掛けてるとは考えにくいので、何か回避方法があ…
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