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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第九章 双子の魔族

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ハイベルグ王国へ帰還、からの厄介事

 破滅のグレイブヤードから戻り、クロスファルドや、サタヒコやアヤメに挨拶し、ハイセたちはハイベルグ王国に戻って来た。

 戻るなり、ハイセは小箱をサーシャへ。


「複製、終わったら連絡くれ」

「わかった。数日かかると思うが……」

「構わない。結構な長旅だったしな……じゃ」


 そう言い、ハイセはあっさりと王国正門で別れた。

 プレセアも「じゃ、またね」と別れ、ヒジリも「よし肉!!」とわけのわからないことを言い走って行ってしまった。残ったのはチーム『セイクリッド』だけ。

 タイクーンは言う。


「さ、本部に戻ろう。仕事が山積みだぞ」

「はぁぁ~……なぁ、今日くらい休もうぜ」

「賛成~……あたし、疲れたぁ」

「全く情けない。なぁサーシャ」

「……ふむ。まぁ、今日くらい構わないだろう。クランホームで連絡事項だけ聞いたら解散。仕事は明日から始めようか。しばらくは忙しくなりそうだし、な」

「む……」

「さっすがサーシャですわね!! ささ、行きましょ!!」


 ピアソラがサーシャの腕に抱きつき、タイクーンに向けて舌を出した。

 レイノルドは

タイクーンの肩を叩く。


「リーダー命令だ。さ、行こうぜ」

「……やれやれ」

「あはは、タイクーンも疲れてるじゃん。ピアソラに言い返さないしー」

「む……そんなことはない」


 チーム『セイクリッド』は、クランホームに向けて歩き出した。


 ◇◇◇◇◇


 ハイセは宿に戻る前、冒険者ギルドへ。

 ギルドに入ると、ミイナが嬉しそうに大声で叫んだ。


「ハイセさーんっ!! おかえりなさーいっ!!」

「…………」


 注目を浴びるハイセ。こんな日に限って、依頼を終えた冒険者が多い。

 ハイセはため息を吐き、受付カウンターへ。


「お前、うるさい。声小さくしろよ」

「あはは、ごめんなさい。で、で、どうでした?」

「何が」

「探し物ですよー」

「お前に関係ない。というか……お前、戻って来たんだな」

「そりゃまあ。お仕事終えたら帰るだけですよー」


 ガイストとミイナは、聖十字アドラメルク神国で別れた。

 その後、ハイセたちは破滅のグレイブヤードに向かったが、ガイストたちはハイベルグ王国に戻ってきたようだ。

 ハイセは、ミイナの先輩であるベテラン受付嬢に「こいつ静かにさせて」と言い、ギルマス部屋へ。

 ドアをノックして中へ入ると、ガイストが書類仕事をしていた。


「ああ、ハイセか……戻ったんだな」

「はい。って……どうしたんです? なんか疲れてますね」


 ハイセはソファに座ると、若いギルド職員の女性がお茶を運んできた。

 紅茶を飲み、なんとなく懐かしさを感じて紅茶の味を楽しんでいると。


「……先日、依頼が入ってな。表には貼り出せん依頼だ」

「……それ、厄介事ですか?」

「うむ。ワシが直接行こうと考えていた。やれやれ……」

「……どんな依頼ですか?」

「…………」


 ガイストはハイセをジッと見た。

 長い付き合いだからわかる。『聞いたら後には引けないぞ』という意志の籠った眼だ。

 ハイセは頷く。今度は視線ではなく、声に出した。


「お前、たった今帰って来たばかりだろう。手を貸してくれるのはありがたいが、疲れているだろう?」

「まぁ確かに。でも、ガイストさんには借りあるし、その依頼終わったら奢ってくれれっばいいっすよ」

「……お前ってやつは」

 

 ガイストは苦笑し、依頼書のファイルをハイセに向かって放る。

 ハイセは受取り、ファイルを開けて読む。

 そこに書かれていたのは───……なかなか、胸糞悪い内容だった。


「『奴隷オークション開催』ですか……」

「ああ。奴隷に関しての知識はあるか?」

「まぁ、少しは」


 奴隷。

 ハイベルグ王国で奴隷は合法化されている。

 合法奴隷、犯罪奴隷、戦闘奴隷の三種類があり、奴隷の多くは合法奴隷だ。

 合法奴隷とは、やむを得ずに期間限定で自分を売り出す奴隷のことだ。借金などをしてその金が返せなくなると自分を自分で奴隷商人に『身売り』する。その奴隷は、借金返済が完了するまでは奴隷のまま。

 奴隷とはいえ、待遇が酷かったりするわけではない。

 食事は出るし、ちゃんとした部屋で寝泊まりできる。

 

 犯罪奴隷はその名の通り、犯罪を犯した奴隷だ。

 犯罪奴隷は、条件など関係なしに数年~数十年単位で奴隷のまま。多くは鉱山などの肉体労働を必要とする先に派遣される。女の場合は『別な意味での奉仕』作業が多くを占める。


 戦闘奴隷は、フリーの冒険者が金に困り、自分を売り出した時の奴隷だ。

 ソロの冒険者が臨時でチームを組む場合などに利用される。


「まぁ、こんな感じですよね」

「ああ。どの奴隷にも言えることだが……奴隷は十六歳以上でないと、奴隷にできない」


 ガイストがそう言い、ハイセは依頼書をめくる。


「この『奴隷オークション』……年齢制限がないですね」

「そもそも、奴隷は国が認めた奴隷商人のみ、店舗を構え、衣食住を提供できる認可を受けた者だけが得られる資格だ。売買の場合も、正式な手順を踏んで行われる……オークションなど、もってのほかだ」

「でも……開催される」

「ああ。どうやら、他国から『人狩り』をしてきたようだ。ハイセ、お前は討伐依頼ばかり受けるから知らんと思うが……こういう闇オークションの場合、大抵後ろにはデカい組織がある。それこそ、大手クランに匹敵するような」

「…………」

「オークションが開催されるということは、目玉商品……自分で言って気分が悪い……がある。人狩りを行う組織には、S級冒険者レベルの強さを持つ者がいるはずだ」

「依頼は、オークションの中止と、組織を潰すことですか」

「オークションを潰す。組織はデカく難しいな……オークションを開催するのも、末端の下部組織だ」

「……わかりました。じゃ、俺とガイストさんで行きますか」

「規模を考えると、あと一人は欲しい……潜入任務となると、武器はもちろん、アイテムボックスも持ち込めん」

「じゃ、ヒジリ?」

「……ダメだ。あの猪突猛進な性格ではな」

「じゃあ……サーシャ、は無理か。剣も持ち込めないし……素手で強いヤツ……」


 と、ハイセは一人だけ思いつく人物がいた。


「あの、ガイストさん。素手で強いヤツ、一人だけ心当たりいます」

「……いるのか? 誰だ?」

「えーと……来てくれるか不明ですけど」


 ハイセは、『その人物』の名前を言った。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
[一言] 結局のところ、決裂から始まるダブル主人公の冒険もので恋愛要素も添えてあるってよりとにかく一番恋愛が描きたいのかなって感じます その為どうにかこうにか頻繁にハイセとサーシャを絡ませようとして恋…
[良い点] 痛めつけてザマァからの和解ではなく、相互理解からの和解を描こうとしてるのかな?。 なので、言っては見たもののブレブレのハイセもアリだし、胃袋つかまれた女子達もアリっす(笑) 変化のためには…
[気になる点] 借金以外の合法って何があるんだろ? てか戦闘奴隷も合法奴隷の一種でしょうね 多分家事や事務、商売などの奉公と分けてるんでしょうけど チョコラテ久々に来るか?と思ったけど連絡の取りよう…
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