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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第八章 破滅のグレイブヤード

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作戦

 サタヒコに案内され、ハイセたちは『セイファート騎士団』の空き家へ。

 そこに、長い黒髪をポニーテールにした二十代半ばの女性がいた。

 サタヒコは女性の隣に立ち、にこやかに紹介する。


「こちら、五番隊隊長のアヤメ。ウチの戦術家でもあります」

「アヤメや。よろしゅう」

「わぁ~、綺麗な服ですねっ」


 と、ロビンがハイセの腕に抱きつきながら言う。

 白を基調にした、不思議な花柄の模様の服だ。先ほどハイセとタイクーンが言った『和装』であり、『和服』という伝統衣装だ。

 ヒジリは「歩き辛そう、アタシは嫌」と言い、ピアソラは爪を噛みながら「くっ……さ、サーシャの方が美人ですもの」となぜか悔しがっていた。

 アヤメはクスっと微笑み、全員を家の中へ……だが、ヒジリは言う。


「ね、サーシャ。これからするの難しい話でしょ?」

「……まぁ、そうだな」

「なら、アタシはいなくていいでしょ。アタシが興味あるのは───アンタよ」

「おや」


 ヒジリは、サタヒコにビシッと指を突きつける。

 サタヒコは困ったように言う。


「うーん……若い子に好かれるのは悪い気しませんがねぇ。こう見えて妻がいますんで」

「そういうんじゃないし!! ってか、わかって言ってんでしょ!? ってかアンタ結婚してんの!?」


 これにはハイセたちも少し驚いた。というか、アヤメがペコリと頭を下げる。


「初めまして。サタヒコの妻、アヤメです」

「はぁぁ!? ああもう、そんな茶番いいし!! ちょっとアンタ、アタシと戦いなさい!!」

「うーん……」

「あんた。訓練ってことならいいんちゃう? キキョウには連絡しておくさかい」

「まぁ、そういうことなら。ではヒジリさん。少し相手してあげましょう」

「フン、後悔するんじゃないわよ」


 と、レイノルドが挙手。


「面白そうだ。見学させてくれ」

「あたしも、難しい話はちょっとなー」

「ははは。ではでは、こちらへどうぞ」


 サタヒコは、ヒジリ、レイノルド、ロビンを連れて行ってしまった。

 残ったのはハイセ、サーシャ、ピアソラ、タイクーン、プレセア。

 アヤメはハイセたちを奥へ案内する。奥の部屋は資料室になっており、大量の蔵書が本棚に納められ、部屋の中央には大きなテーブルがあった。


「さ、『破滅のグレイブヤード』について、あたしが知っていることは何でも話します」

「……よし。じゃあ、ここからはボクが進行役になろう」


 こうして、『破滅のグレイブヤード』攻略に向けての作戦会議が始まった。


 ◇◇◇◇◇


「まず、おさらいだ。破滅のグレイブヤードとは、聖十字アドラメルク神国が管理する『墓地』であり、人間界屈指であるSSS級ダンジョンのことだ」


 タイクーンの説明が始まり、全員が聞く態勢に。

 アヤメは何も言わない。聞かれたら答えるスタイルのようだ。


「SSS級……人間界では四つ認定されている。禁忌六迷宮と違うのは、場所がはっきりしていること、そして許可さえあれば誰でも入れることだ。踏破こそされていないが、最奥部まで進んだというチームも存在する。と……この辺りは関係ないな」

「いや、勉強になる。改めて聞くと面白い」


 ハイセがそう言うと、タイクーンは答えず眼鏡をクイッと上げる。


「破滅のグレイブヤードは、王城の真裏にある『聖大十字』から先にある。ここは手前が国民の墓地で、奥は王族の墓地になっている……だが、王族の墓地一帯はダンジョン化しており、討伐アベレージSSの魔獣が闊歩している。ダンジョンの形態は『荒野型』で、最奥に王家の墓と、ダンジョンボスがいる。ボクらの目的は、王家の墓だ」

「ここに、禁忌六迷宮の一つ、『ドレナ・デ・スタールの空中城』の飛行ルートに関する地図があるんだな」


 サーシャが言うと、タイクーンは「ああ」と答えた。


「ここの魔獣の特徴は、まず大きさだ。一番小さい魔獣でも、平民が住む二階建ての家に相当する……その魔獣が群れで襲って来る。大抵はここで諦めるか、逃亡する」

「……上空からもか?」

「同じだ。家が浮かんでいると思えばいい」


 ハイセはため息を吐き、「ま、上空から行く手段もないが」と言う。

 そして、プレセアが首を傾げた。


「でも、そんな大きい魔獣なら、お城から見えるんじゃない?」

「いや、あの『聖大十字』の結界が国全体を囲っている。あの十字架には様々な『能力』を組み合わせて作られた物で、最大の特徴は『認識変化(ノーバディ)』の能力が付与されていることだ。これにより、魔獣は聖十字アドラメルク神国が『壁』としか認識できないことだ。まぁ、巨大な壁に向かって進む魔獣はいないから、この国は安全なんだ」

「……いやはや、あたしは必要ありませんなぁ」


 アヤメは驚いていた。

 ハイセ、プレセアもタイクーンの知識がここまでとは思っておらず驚く。サーシャとピアソラは特に驚いていない。


「聖大十字を超えたら、魔獣に認識される。破滅のグレイブヤードは独自の生態系が築かれ、ボクたち人間は単なる餌だ……ここまで話しておいて悪いが、どう作戦を立てていいか悩む」

「……お前の透明化は?」

「無理。姿を消すだけで匂いは誤魔化せないわ。嗅覚のいい魔獣には簡単に見つかる。しかも、一度に透明化できる人数は三人までね」


 プレセアでも無理なようだ。

 ハイセはサーシャに言う。


「戦いながら進むか?」

「……なるべくはやりたくないが、策の一つとして考えておくべきだな」

「フン、あなたが突っ込んで魔獣を皆殺しにしたら? それか、あなたが大暴れしている間に、私たちが先に進むとか」

「やってもいいけど、その時はどんな手段を使ってもお前も道連れにしてやるよ」

「あァ?」

「死ぬ覚悟もなく、他人の命を軽々しく賭けるんじゃねぇよ。そういうの卑怯者って言うんだぜ」

「……その喧嘩、買ってやろうか」


 ピアソラの額に青筋が浮かぶが、サーシャが止めた。


「今のはピアソラ、お前が悪い……ハイセに謝れ」

「…………フン」

「いいよ、言葉だけの謝罪なんて胸糞悪いだけだ」


 サーシャは、頭を抱えたくなった。

 多少なり、ハイセとの仲は戻ったような気がしていた。

 レイノルド、ロビンとは普通に喋るようにはなった。タイクーンもそうだ。

 だが……ピアソラ。彼女だけは変わらない。ハイセとピアソラの仲は、ハイセが『セイクリッド』に所属していた時よりも最悪だった。

 恐らく……あまり考えたくないが……もしハイセが怪我をしても、ピアソラは治さない。そんな気がした。


「……策はいくつか考えた。まず、一塊ではなく、少人数で異なる場所からアプローチする。アヤメさん、グレイブヤードの地図はありますか?」

「あるよ。まぁ、完全な地図じゃあないけどねぇ」


 テーブルに地図が広げられた。

 地図は、あまりにも大雑把だった。

 まず、ブルーベリーほどの大きさの円に『聖十字アドラメルク神国』と描かれ、その後ろに小さな十字架。そして、地図の半分以上を覆う巨大な円、そして地図の端に『王家の墓』と描かれた小さな円があった。


「こ、こんなに広いのか……?」


 サーシャが驚いていた。

 タイクーンも「む……」と眼鏡を上げる。

 アヤメが、いつの間にか手にしていた煙管で地図を差す。


「人数をバラけさせて入るのは賛成やね。というか、ここに挑む冒険者はみんなそうしてる。グレイブヤードの魔獣は『鼻』が利く……大人数で固まってると、あっという間に匂いで餌と勘づかれる」

「そうだな……二人か、三人か」

「そうやね。あと、大事なのは消臭剤や。ヒトの匂いを消す匂い袋を持って入ることを勧めるで。そして、隠れながら進む……四日も歩けば、王家の墓が見えるはずや」

「よ、四日……」


 サーシャが「そんなに……」と呟いた。

 タイクーンは続ける。


「とりあえず、その匂い袋について聞かせてくれませんか? それと、チーム分けをするならメンバーを決めないとな」


 こうして、話し合いは数時間に及んだ。

 全てが決まり、話し合いを終えてハイセたちは家を出る。

 そのまま、ヒジリたちを迎えに、アヤメの案内で訓練場へ向かった。


「おお、お疲れ様ですー」


 サタヒコがいた。

 そして、その足元には……血濡れのヒジリが、息も絶え絶えに跪いていた。


「はぁ、はぁ、はぁ……この、クソ、バケモノ……ッ!! 『金剛拳(こんごうけん)』!!」


 ヒジリの右腕に、ダイヤモンドが纏わりついて《拳》となる。

 だが、サタヒコが木刀を軽く振ると、ダイヤモンドの拳が砕け、ヒジリの腕も刻まれ血が噴き出した。


「っぐ、あぁぁぁっ!!」

「はい、おしまい」

「───っあ」


 木刀で首筋を叩くと、ヒジリの意識が刈り取られた。

 サタヒコはニコニコしたまま、アヤメに言う。


「アヤメ。この子、キキョウのところへ」

「ええ」

「あ───……ちょっと滾ってきたなぁ。思った以上に、この子が面白くて。あと二年もすればいい勝負できるようになるかもねぇ」


 サタヒコは、木刀をサーシャへ向けた。


「サーシャさん、どうです? 少しボクと遊びませんか?」

「…………フッ、願ってもない。長々とした話で、少し運動したいと思っていた」


 いつの間にか、サーシャもやる気になっていた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
壁として使い潰しされるか背中から撃たれる未来しか無さそうなのが…。 連携、無理では?
なんでこんな連中がいて禁忌六迷宮未踏破だったん?
ピアソラ出てくるだけでピアソラとサーシャ(半分くらいとばちり)へのヘイトがヤバイですな。 ピアソラがサーシャが傷つかないようにわざとハイセに噛みつき悪役を買って実は良い奴説とただの空気読めないクズ百合…
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