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60 さぁ、現実逃避しましょうか?

 さてと、皆様には大変お待たせ致しましたわ。

 やっと冒頭…プロローグに戻ってまいりました。


 長々とお話しにお付き合い頂き感謝ですわ。


 …………と言う事で、現在私は「狼さん」を目の前にして、どう切り抜けるかを得策中です。




「フィオラ?聞いているかい?」


 聞いてませんでしたって、言っていいかしら。

 絶対不敬ですけれど。


「陛下、今一度お願いいたしますわ……私、聞き間違いをしたみたいで」

「あははは、聞き間違いではないと思うけどね」


 私の意味のない発言に、ニヤリと笑う陛下。

 あー、めちゃ怖ですわ。


「まぁ、いいか…もう一度言うね?フィオラ、我が息子アシェリーと婚約してはもらえないかな?」


 王命?

 どう取ればいいかしら。

 先日の騒動の後、散々暴露大会をさせられてしまいましたし、決定権は私に委ねてくださってると思いたいですわ。



 ………でも。


 ………私の気持ちは?


 ………それに、アシェは?



 広間にいる我が国の貴族をはじめ、お祝いにいらした各国の方々の視線が痛いですわね。


 本当、酷い方だわ……私がここでお断りしたらどうなるか分かっていて…ですものね。

 悔しいですが、あの話し合いの席で、私の運命はもう決まっていたのでしょうね…。


 ………はぁ。


 とりあえず、読み手の皆様。少し私の現実逃避にお付き合いくださいませ。




 本当に、あの日は本当に疲れましたのよ?








「さて、皆集まったかな?」


 夜会もお開きとなり、私達は陛下の命により、城内にある会議室へと集合いたしました。

 書棚と壁面に添えられたソファー、そして部屋の中央に大きな円卓という、いたってシンプルなお部屋ですわ。


 何故客間ではないかと言うと、人数が多すぎたからですわ。


 両陛下にアシェリー、私達家族、そして三馬鹿含め各々のご家族。それから、神官であるアルス様と、光と闇の二人の精霊。

 そして何故かマーシャル子爵と、ウルド様。


 本当に大所帯ですわね。

 主人公以外のゲームの主要人物の家が勢揃いですわ。


 円卓を囲む形で、陛下とアシェリー、お父様を始め各当主が座り、その他の面々は各々ソファーに座っております。


 皆が座ると同時に、笑を作られる陛下。

 今からの事を考えると胃が痛くなりそうですわ。


「さて、皆は今何故この場に集められたか分かっているよね?」


 陛下のお言葉に、三馬鹿のご家族の顔色が一気に悪くなりましたわ。

 因みに、とうの本人達はと言うと、兵士に囲まれた状態で部屋の角にいらっしゃいます。

 魅了に掛かっていたと言うのもありますし、先程のユリウス様の様に暴走されても困りますしね。


「今回のラファエロ伯爵令嬢の件なんだけど、皆はアレが過去の再来だと気付いていなかったのかな?ララベルが起こした事件、忘れてしまっていたなら、そんな頭は必要ないよね?」


 陛下……笑顔で人を殺りそうな勢いですわ。

 やはりこの方に逆らっていい事は無いですわね。


「まずユリウス・ラングレー。彼は己れの婚約者であるフィオラを蔑ろにし、あまつさえ怪我を負わせようとした…まぁ、これは家同士で話し合いをすればいい事だからまずは置いておこう。私としては、過去を含めて建設的な話をしてくれる事を願ってるよ。後は…残りの二家の子息と、マーシャル家だね君達の家には別に聞いておかないとならない事があるんだ……ウルド?」


 あら?話しがズレていってますわね。

 内容は知りませんが、今回のラファエロ家がらみ以外の事案も解決なさるつもりなのかしら。


 陛下の後ろに控えられていたウルド様が、サッと脇に抱えていた書束を二家とマーシャル子爵の前に置かれました。


「三人とも、今ウルドが置いた書類に目を通してもらえるかい?」


 陛下のお言葉に、訳が分からないようなお三方。

 ですが、その書類をペラペラとめくっていくと、どんどん表情が険しくなっていかれました。


 探られたくなかった内容でも書かれていたんでしょうか。


「君達、見覚えあるよね?」


 ニヤリと笑う陛下に、下品にもツバを撒き散らかしながらガタリと立ち上がるマーシャル子爵。

 ゲームでは美男子でしたが、今は見る影もありませんわね。


「陛下!これは何かの間違いです!私は薬師です!医学の発展の為に協力を仰いでいたにすぎません!アイゼン家とフリード家も、私の崇高な目標の為に手を取り合っていただけの事!コレに書かれている事は事実無根です!」


 やはり、陛下はマルッと処理されるみたいですわね。

 それにしても、この場で全て解決してしまおうなんて……まぁ、いいですけど。


「ちゃんと調べはついてるからこそ、今日この場で「ついで」だから終わらせるんじゃないか。君は私を舐めてるのかな?」


 笑顔でブリザードを吹かせる陛下に、一気に顔色を悪くするマーシャル子爵。

 指摘されている残り二家はダンマリ中ですわ。


 アレクシス伯爵は商売を生業にしているだけあり、元々頭の切れる方。昔の息子の不祥事もありますし、慎重になられているはず。

 そして、カジラエル侯爵。魔法師団の団長である侯爵がまさかの…ですわね。

 ララベルの時に跡取りだったお兄様が廃嫡され、弟君である現侯爵が跡を継がれましたが……まさかその弟君までもが「やらかし」ましたの?


「まず、マーシャル子爵。君は新薬の実験をするために人身売買をしている。そしてアレクシス伯爵。君はそのマーシャル子爵へ売るための人間を他国から買っているね?我が国は奴隷をはじめ、人身売買は禁止されている。それを忘れたわけではないよね?それから、カジラエル侯爵……本当に君にはガッカリだよ。魔法師団長と言う立場があるにも関わらず、その地位を利用してアレクシス伯爵に手を貸していたなんてね。他国の上位貴族との繋がりや仕入れた人間への魔法処理…まあ、元々君の家はグレーだったし、今更かなとも思うけど………本当えげつないよね?」


 ……これ、私達部外者が聞いていいお話しでしたの?

 しかも陛下がえげつない発言…その言い方はいかがなものかと。


 まぁ、えげつない内容ですけど。

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