4秘密のお茶会①
皆さまご機嫌よう。
現在私は王城に来ております。
理由は、本日叔母である王妃様に、お茶のお誘いを頂いたから。
いつもでしたら、王妃様専用のサロンでお茶会ですが、今日は珍しく王妃様のお部屋へと通されました。
派手すぎない、趣味の良い調度品が並んだ素敵なお部屋。
どことなくお母様のお部屋に似ています。やはり姉妹だからでしょうか。
……王妃様のお部屋、と言う事は、「アレ」関係の話かしら。
王妃様の専属侍女により引かれた椅子に、優雅に着席いたしました。
目の前に座られた王妃様は、母のような慈愛の笑みを見せてらっしゃいます。
お母様や私と同じお色をもつ彼女は、未だに若々しく、大変美しい方です。
「用意が終わったら、退室を。呼ぶまで入室は禁じます」
目の前にお茶とお菓子が並んだところで、王妃様が侍女にご命令されました。
それと同時に、頭を下げて退室していく侍女達。
「さて、じゃあフィオ、聞かせてちょうだい?」
はて、何をでしょう。
色々ありすぎてどれを聞かれたいのか分かりませんわ。
「叔母様?えっと、それはどれでしょう」
「は?そりゃあもちろん、あのクズインの娘の話よ!」
王妃様…いえ、叔母様。
地が出まくりですが、よろしいんですの?
「あの、転生者のクズインの娘が学園に編入して来たんでしょ?ラファエロ伯爵家に娘が出来たのは知ってるけど、まさか「あれだけ」の事をしでかしといて娘を編入とか…もぅ意味が分からないわぁ」
えぇ、元クズインは叔母様にざまぁされ、貴族社会から抹殺された方ですからね。
「ですが、元クズイン令嬢は平民に落とされたと…そうお聞きしましたが」
そう、あの元クズインは、「あの日」現在の陛下から断罪され、平民になったはず。
「それにフレア嬢は正式には遠縁から本家に養子で迎えられた…と記録されてるわね。でも、あのどピンクの頭がそうそう出てくる?「好きマジ」のヒロインだからこその髪色が」
そう、だから私もあの子が使った「ゲーム用語」にすぐ反応したのだから。
「伯爵は…やはり娘が可愛かったのでしょうね」
まったく、親馬鹿な行動のせいで、現在私達が被害に合ってる事を教えてあげたいですわ。
さて、ここまでの叔母様との会話で、皆様はお気付きですわよね?
この世界が俗に言う「乙女ゲーム」の世界で、私と叔母様が転生者と言う事に。
この世界は「好きのマジックを貴方に」通称「好きマジ」の世界。
よくある攻略者多数にヒロイン、悪役令嬢のお話なのですが、その舞台になったのが叔母様の学生時代になります。
何と、叔母様こと、マリアナ様は悪役令嬢ポジションでした。
そして、転生者である叔母様は、運命に争う道を選ばれました。
そりゃあ、誰だって破滅は嫌ですわよね?私だって嫌です。
ですが、相手のヒロインも転生者。
叔母様は、それを知った時絶望感しかなかったそうです。
そして、攻略対象は何人も籠絡され、彼女は本命だった当時の王太子殿下の攻略を始めました。
ですが、ここはゲームに酷似した現実世界。
ゲーム世界と勘違いしているクズインを、叔母様はあの手この手で撃破し、見事愛しの婚約者であった陛下とゴールインされたのです。
そして、月日は経ち、前世の記憶を持った私が生まれました。
生前、好きマジにハマり、ずっとプレイしていた私でしたが、時代が違いますからね、そりゃあ初めは気付きませんでしたわ。
でも、外にでたり、周りの状況が分かり始めると、直ぐに気が付きました。
この世界が何の世界なのかと。
そんなある日です。
まだ私は四歳で、貴族の繋がりなど分からない頃。
叔母様がアシェを連れて我が家に里帰りされる事になりました。
察してください。
初めて会う叔母が、好きマジの悪役令嬢だったんです。
それまで、王妃様がお母様の姉様とは知っていましたが、まさかのでした。
時系列が一気に分かった瞬間でしたわね。
その後、叔母様に私はあえて「日本語」を使い、転生者か確認。
その後意気投合した私達は、かなりの頻度で会い始めました。
それが「お茶会」です。
で、です。
その時のヒロインが、平民になった後生まれたのが、フレア嬢らしいですわ。
叔母様の話しでは、伯爵は、孫可愛さに、孫だけでもと遠縁の子にして、自分の娘として養子縁組したらしいです。
そして、ある程度教養が身についた後、学園に編入させたとか。
そして、もう一つ情報ですが、ヒロイン、いいえ、クズインは、未だに娘であるフレア嬢と繋がりがあるようなのです。
もしかしたら、伯爵は、どこかにクズインを匿っている可能性もありますわね。
はぁ、本当に迷惑な話しです。
誤字報告ありがとうございました。
変換間違いしてました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)