表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/65

36 お話し合いですわ①

 先日のアシェリーと小娘のイベントもどき、皆様覚えていらっしゃるかしら?


 この「世界」の元となった乙女ゲームのチートアイテム、「笑う門には福来たる」のプレゼントイベント。

 この現実世界では、小娘の大失敗で終了しました「アノ」イベントですわ。


 私は、あの時アシェの力を借りて、小娘の溜まりに溜まった魔力を拡散し消滅させました。

 おかげで、当分は問題ないはずですわ。


 とは言え、当分……と言う、期限付き。


 小娘のギフトを使う魔力が通常通りに戻ってしまうと、結局は被害者がまだ増えていくと言う事ですわね。


「………はぁ」


 アシェリーから渡された「魔道具」をマジマジと見ながら、思わず深い溜息が出てしまいました。


「アシェ?、あの小ム……ゴホン、ラファエロさんは、何故神殿に報告が行っていませんの?貴族のギフトは全て神殿にて記録されるはずですが?」


 神殿での六歳の祝福時、ギフトを賜った者は、その詳細を神殿が全て記録します。

 ギフトによっては、所持者を神殿が管理する必要があるからです。


 これは、我が国に限った事ではなく、世界共通認識。一般常識ですわ。

 国や民に害があるギフトを、野放しなんてあり得ませんでしょ?


 小娘の持つ「魅了せし者」なんて、管理ギフトの代表格のようなものですわ。


 魅了系ギフトは、そこまで種類はありません。


 王家の固有ギフト「統治者」をはじめ、好意を抱く者を操る「魅了せし者」、動物の声を聞く「真実を聞く者」、植物の声を聞く「大地を魅せし者」……これくらいです。


 その中でも、力の強い弱いが分かれておりますの。


 神殿預かりになるのは、中でも強い能力を持つ者達。

 ですが、「魅了せし者」だけは、別格ですわ。

 力が弱かろうが、強かろうが、この厄介な能力は、発覚と同時に神殿預かり決定です。


 なのに。


「あの方、神殿で祝福を受けていないのかしら?」


 まぁ、それしか結論はありませんわよね。


 コロコロと、手の平の上で魔道具を転がしながら、アシェリーに視線を向けると、疲れた表情が返ってきました。


「それ以外、ないだろうな。全く……貴族は血筋故、必ずギフトを調べなくてはならないと言うのに。あの家は何を考えているんだか」


 あら、そんなの簡単ですわ。


「母親を隠すため……でございましょ?」


 私の一言に、一同が物凄い表情になりました。

 もう、ここまできて出し惜しみをしている場合ではありませんわ。


「アシェ、貴方ご存知のはずよね?貴方のご両親に起きた事件。ラファエロ家が絡んでいた、面倒な過去について。まぁ、この国の人間でしたら有名な話……とは言え、アシェリーは込み入った内情までご存じなのではなくて?」


 とは言え、私も「伯母様」からアシェリーにはキチンと教えてある…と聞いていたから、このような質問が出来るのですが。


「フィオ、何故君が知って……って、母上か。まったく、何故君は母上とそこまで話が繋がっているんだ……息子の私より詳しいんじゃないか?」


 まぁ、伯母姪ですし、同じ転生者仲間ですしね。

 ゲーム内での情報もかなりあります……って言うか、私運営でしたから、個人的に知識だけは誰にも負けませんわ。


「あら、ヤキモチですの?まぁ、女には秘密が多いものですわ」

「秘密……ね………恐ろしいな」


 あら、失礼な。


「ところで、アシェ?、一つお聞きしますが、この件、陛下はご存じですの?」


 ついでに、この事案で、私が一番厄介に思って事を口にしてみました。

 だって、あの腹黒陛下ですわよ?


「まぁ、十中八九……知らないわけがないな」

「デスワヨネー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ