表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/37

23 怪しいプレゼント

 学園の片隅。

 いつも私達が昼食をとるガゼボからそこまで遠くない場所にて事件は起こった。





 と言うと、なんだかドキドキしませんか?

 ところが、実際はドキドキと言うより「頭痛がする」ですわね。


 まぁ、おふざけはさて置き、私は学園の庭に植えられた低木に身を隠し弟達と目の前で繰り広げられている茶番に呆れている最中です。


 はぁ、本当に…勘弁してほしいですわ。

 私達、何を見せられてるのかしら。本当に頭が痛くなりそうよ。


「あ、あの……実はアシェリーさまにプレゼントがあるのです」


 頬をピンクに染めながら、恥ずかしそうに俯く美少女。

 それを少し困り顔で見つめる王太子様。


 対外的に見れば、ですけれど。


 実際は、後ろに何人も男性をはべらせながら、一人の男性に「無理やり」プレゼントを渡そうとしている「〇ッチ女」ですわね。

 しかも、プレゼントを押し付けられそうになっている王太子様は、心底嫌そうな表情ですわ。


 あの脳みそ花畑女は、例の「プレゼントイベント」を再現するみたいですが………はぁ。

 スチルとしては、胸キュンな場面のはずが見たくない場面に早変わりですわね。

 余りにお粗末…と言うか、ただのハーレム女の迷惑行為にしか見えません。


 ゲーム内では、ヒロインが学園の裏庭にて、読書をしていた王太子に、日頃のお礼にと「あの」キーアイテムであるゴル熊をプレゼント。そんな流れでしたわ。


 そうして、低確率で起こる最後のざまぁエンドを見事に回避。


 そう「作りましたが」……はぁ。


 私は今日何回目かと言う溜息が漏れましたわ。

 あのサブイベントは、隠しイベントとして、ちょっと力を入れて作りましたのに。

 ゴル熊ちゃんが可愛いく見えるようにイラストレーターの先生と何度か話し合いをしましたし、色々と私の好みを取り入れておりますのに。


 なんだか……とっても残念な感じが否めませんわ。


「姉様…あれ、何ですか?」

「ヘンリー、しっ!思っていても口に出してはいけない事もあるんですのよ!」


 ほら見なさい、我が弟とその婚約者も、物凄い表情ですわ。

 二人とは今から昼食をとるため、いつものガゼボに向かう最中でしたのに、あの集団にでくわしたせいで予定が大狂いですわ。






「すまないが、私は君からのプレゼントを受け取れない」


 アシェリーの言葉に、小娘の表情が一瞬曇りましたわ。

 まぁ、強制的にとは言え、イベントを発生させたんですもの。その対象の攻略者がプレゼントを受け取らないなど、本来はあり得ない事ですものね。


「何で…どうしてですか?私は、いつもお世話になっているお礼にと……ぐすん」


 目に涙を溜めながら、庇護欲を誘う表情をする小娘。

 側から見たら、とても儚げですが、いかんせん後ろにはハーレム集団。

 残念な絵柄が炸裂しておりますわ。


「殿下!フレアが可哀想ではないですか!」


 これは、クズ男…ゴホン。私の婚約者様ユリウス・ラングレー侯爵子息。

 相変わらず、いいのはお顔だけな、とても残念なオツムの方。

 愛しいフレア嬢が相手にされず、憤っておいでですわ。


「あらぁ?殿下、上に立つ貴方がこんな非情なんですか?」


 此方は、アイゼン・アレクシス伯爵子息。

 少し垂れた猫目な彼は、どこから見てもチャラ男にしか見えません。

 まぁ、父親と同じなら実は一途と言う意外な性格のはずですが。


 そして。


「あの、僕もフレア嬢が可哀想だと思います」


 カジラエル侯爵家子息、フリード・カジラエル。

 顔だけなクズ男と、チャラいアイゼンとは違い、可愛い系の男の子な感じの方。

 根も真面目で、ワンコ系。


 …………正直、この方まで小娘に籠絡されていたのには非常に驚きましたわ。

 これも強制力なのかしら?私達の代でもゲームの強制力が働く可能性…やはり気を抜かない方が得策ですわね。


 主要攻略対象は、騎士の家ラングレー家。魔術師の家カジラエル家。商人の家アレクシス家。薬師の家マーシャル家。

 そして、最終攻略者である、アリストラ王家。


 王家をのけ、残るはマーシャル家のみ。

 ………速すぎますわ。

 まさか既に三家の子息をとは。〇ッチにも程がありますわね。


「転生者」とは言え、いえ、寧ろ転生者だからこそ、逆ハーなんて事が異常だと何故分からないのかしら………。


 あら?


 そんな中、横から私の服をチョンチョンと引っ張る手。


「姉様、ところで何故早くアシェリー兄様を助けてあげないのですか?」


 思考を巡らせていると、横で弟が不思議そうに首を傾げながら問うてきました。

 そう、実は私達はアシェリーを助けないとこの場から動けないのです。


 私とて、放っておいてさっさとお昼を頂きたいのですが…。


 流石は王族ですわね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ