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20 人によっては気にします!

「……すまない」


 いえ、アシェが謝る事ではないのでは?


「何故貴方が謝るのです?」

「いや、その………親だし」


 なんだかハッキリしない言い回しですね。

 もしかして、アシェ自身が、今回の叔母様の暴走に関与してますの?


「アシェ、貴方も当事者ですか?」

「え!い、いや、そうではないが……そうとも言えるんだろうか?」


 …………私に疑問符を投げかけても、知りませんわよ。

 このヘタレが。


 まぁ、いいですわ。

 陛下が絡んでらっしゃる時点で、私から何かを聞いたところで、答えてはくださらないでしょう。


 一番考えられる事は。


 ………推測ですが、多分、小娘の事ですわね。

 陛下は、当時の当事者でしたから。


 叔母様情報しかありませんが、陛下はあの断罪劇で、「もうやめて!相手のHPはゼロよ!」と言われる位までクズインをボロ雑巾にしたらしいですわ。

 悪役令嬢ポジの叔母様が、ドン引きしたらしいです。

 「私、彼がヒロインの中の人でなくて、本当に良かったわ」と、溜息混じりに言われたのが、とても印象的でした。


 陛下は、溺愛する叔母様に牙をむいたクズインが許せなかったようです。


 その陛下が絡んだ、今回のお話。


 きっと、最愛の奥様との子であるアシェリーが、大嫌いなクズインとその娘に、ちょっかいを出されたのが気に入らなかったのですね。


「アシェ、愛されてますわね」

「は?」

「陛下も叔母様も、貴方を愛されているから、きっと許せなかったんですわね」

「フィオ?何の事だ?」

「え?………あぁ、話せないのでしたわね。まぁ、私も出来る事は協力しますわ」


 ニコリと、アシェリーに笑いかけると、彼は苦々しいお顔になりました。

 そんなお顔をされなくても、私はアシェの味方ですわ。


「フィオ………多分違う」


 あら、何か解釈を間違えましたでしょうか?

 最近の出来事から推測しましたから、多分間違いではないと思いますが。


「フィオ、何故君は頭がいいくせに、たまに斜め上に思考がいくんだ………はぁ、ニブイのは昔からだから仕方ないか」

「アシェ、褒めてますの?貶してますの?」

「いや、褒めてる。君は変わらずにいてくれ」

「?。私は変わるつもりはありませんわ」


 まぁ、よく分かりませんが、アシェがいいなら構いませんわ。


 そんな中、私の後でフラスコが発光しました。

 アシェと話し込んでいて、あやうく忘れるところでした。

 私、今実験中でしたわ。


「あら、いけない」


 私は急いで踵を返しました。

 実験室器具が置かれた机に向かいます。


 発光するフラスコからは、大量の魔力が流れ出ておりました。

 今、私は白の魔石を使用した、魔法新薬の実験中。

 白の魔石は、光属性になります。

 因みに、光属性は、回復や清浄の魔法を主としていますわ。


 あぁ、そうそう。好きマジのヒロインの属性は「光」でしたわね。

 設定で決まっていたとは言え、あの性格で光属性はないですわ。

 癒しとは真逆の方ですもの。


 悪役令嬢であった叔母様は「闇」。どう考えても、属性逆ですわ。

 そう言えば、リンファは元気かしら。

 叔母様の契約精霊である、闇の精霊。

 あの、ツヤツヤキューティクルな毛並みは素晴らしいですわ。


 と、脱線しましたが、私は発光したフラスコを器具から外すと、広げた羊皮紙に中身をぶちまけました。

 その瞬間、出てきた液体が、飴玉のようにコロコロと固まってゆきます。

 全ての液体を出したころには、羊皮紙いっぱいの飴玉状の薬が出来上がっておりました。


「フィオ、何だソレ」

「え?あぁ、これは、先日アシェに頂いた白の魔石から生成したものです」

「効能は?」


 やはり気になりますわよね。

 ですが、聞かない方がよいのではないかしら。


「…………回復薬です」

「白を使った時点で分かる。私が聞いてるのは効能だ」


 アシェ、研究者のお顔ですわ。

 面倒ですわね。


「はぁ、効能ですか?………効能は、ハ…はぁ」

「何故しぶる」

「いえ、ご依頼主が前王様でして…言っていいものか」

「お祖父様?………どこか具合が悪いのか!聞いていないぞ」


 早くに退位され、今は御隠居された前王様。

 元気すぎる位元気な方ですものね。

 アシェが焦るのも分かりますが。


「父上達は知っているのか!」


 ですが、この悩みは……ご家族には中々言えませんわよね。

 私が言っていいのかしら。


「ご病気…と言っていいのか分かりませんが、陛下や叔母様はご存知ないかと。多分前王妃様はご存じですわ」

「お祖父様は何のご病気なんだ」


 うーん、仕方ないですわねぇ。

 変に誤解されてもアレですし。


「ですから、ご病気と言ってよいのか分かりませんが……これは「毛生え薬」です」


 私の言葉にアシェがピタリと止まりました。


「は?」

「ですから、これはハ…ゴホンッ、薄毛のお薬ですわ」


 まぁ、そうなりますわよね。


 私も、魔法研究機関を介してご依頼を頂いた時は、「え?」と、なりましたから。

 まぁ、男性にはハゲは重大なものとお聞きしましたから、ご依頼をお受けしましたけど。

 そうそう、必要な白の魔石が不足していたので、アシェに頂けて良かったですわ。

 お祖父様孝行が出来て良かったですねアシェリー。


「毛生え薬、毛生え薬………毛生え薬」

「アシェ、連呼なさらないで」

「…………あ、あぁ」


 急に老けましたが、まぁ、気持ちは分かりますわ。

 だから、しぶりましたのに。


「…………遺伝」


 あぁ、心配されてるのはソコでしたか笑

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