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19 優雅な休日?

 ハーブティーを片手に、優雅に読書タイム。

 あぁ、何ていい日なんでしょう。


 本当に、昨日の騒動が嘘のようですわ。

 あれから、帰宅した兄様が付き添い、叔母様はお城へと帰っていかれました。


 帰宅した時の兄様のお顔………すごく面白い事になってましたわね。


 結局、あの後、私に何かの話はありませんでした。

 叔母様が急遽お里帰りなさった理由は、結局分からずじまいでしたわね。


「あら、いい感じですわ!」


 現在、私の前では、フラスコがコポコポと音を立てております。

 中には粉砕した白の魔石と、魔法で精製した水。後、その他もろもろですわね。

 因みに、この魔石は、先日アシェリーから巻き上げた物になります。


 今日は学園がお休みです。

 お父様やお母様からのお仕事依頼も無し。


 この絶好のチャンスを逃す手はありませんわ。


「やはり、以前の配合は良くなかったみたいですわねぇ」


 現在、私は自身の研究室にて魔法新薬の開発に勤しんでいる最中です。


 あぁ、本当に楽しいですわ。


 前世ではプログラミングを生業にしていた私ですが、同時に、ゲーム大好きっ子。ロールプレイングの様な、魔法のある世界は大好物でした。

 そして、それは、現世でも変わりなく、転生先に初めはショックでしたが、この世界は、私が好きな剣と魔法の世界。「遊ばない」なんて勿体無いと、直ぐに頭が切り替わりましたわ。


「そう言えば………あのピンクの小娘が廃課金勢だった場合、「アレ」の存在を知らないはずありませんわよね」


 小娘は、好きマジのストーリー通りに、主要攻略者の子息を堕とし始めました。


 時代も人も違いますのに、それがまかり通ると思っているあたり、「おめでたい頭」としか言いようがありませんが、「ゲームに酷似」した世界ですもの。「もしかしたら」を考えておかねばなりませんわ。


 強制力…無いとは限りませんものね。


「あー、ここにPCが欲しいですわ!」


 頭を抱えて、思わず机に突っ伏してしまいました。


 あのアイテム……運営が遊び半分で作った、ネタアイテム。

 アレがあると、ランダムで起こるラストの「ざまぁ」エンドを回避する事ができる。

 でも、アレを手に入れるには「ある店」を発見して、そこで購入しなくてはならない。


「本当、面倒な小娘ですこと」


 さて、どうしたものでしょうか。


 ん?


 ーコンコンコンー


 扉の外から、ノックの音が響きました。


 研究中は集中しているから入室は程々に、と、侍女達も分かっています。

 先程、カトレアがお茶のセットが乗ったワゴンを持ってきてくれたばかり。


 今のところは、用は無いでしょうに……何かありましたかしら。


「どうぞ?」


 小首を傾げつつ、扉に向かって声を掛けました。

 そして、その声に合わせて扉が開かれると、そこには侍女や家族ではなく、私がよくよく見知った人物がおりました。


「すまない。フィオが研究室で過ごす時に来てしまった」


 なんと、アシェリーです。

 驚きですわ。

 今現在、外交の後処理で忙しいでしょうに。


「アシェ?私は……構いませんが、貴方大丈夫ですの?」

「何がだ?」

「いえ、今外交の後処理が大変だと、兄様が言っておられたので」


 私の言葉に、苦笑いのアシェリー。

 あら、間違いではなさそうですわね。


 アシェリーは、無言のまま部屋を突っ切り、いつもの席である一人掛けのソファーに座ると、勝手にお茶を淹れ始めました。

 勝手知ったる、と言うやつですわ。


 アシェ、貴方仮にも王太子でしょうに、自分でお茶淹れます?

 って、まぁ……いつもの事でしたわ。


 この部屋は、屋敷の建物の隣に建ち、屋敷とは渡り廊下で繋がっています。

 部屋の作りは温室のようになっており、天井には、室温や日光の光などを調整する魔法ガラスがはまり、中では薬草などの植物が生い茂っています。

 その部屋のポッカリと空いた中央に、私の実験器具を置いた机、魔導書がぎっしり詰まった棚、ソファーセットが置かれています。


「昨日、母上が来たようだな」


 あぁ、その話ですか。


「えぇ、お祖父様まで召喚され、そのせいでお母様とお父様を含めた三人から、説教をお受けになられてましたわ」

「そ……うか」


 あら、頭を抱えてますが、アシェ?大丈夫ですの?

 まぁ、気持ちは分かりますが。


「あー、やはりか!」


 頭を抱えたまま、急に叫ぶアシェリー。


「アシェ?どうなされたの?と言うか、貴方叔母様が何故お里帰りされたか知ってるんですの?」


 この様子だと、知ってそうですわね。


「フィオは、何も聞いていないのか?」


 ガバリと頭を上げ、驚いた様な表情をするアシェ。

 私が知らなかったら変ですの?

叔母様、昨日いったい何の話をされたのかしら。


「私に関係する事ですか?」

「いや、そう……とも言えるが、聞いてないなら」


 あ、ヘタレが発動し始めましたわね。

 ゴニョゴニョ喋り始めましたわ。


「蚊帳の外ですか?」

「………多分、母上から直接何もないなら、間違いなく「父上」が絡んでいるはずだ」


 陛下……が、ですか。

 あ~、それは聞けないですわね。


「後が怖い話………と言う事ですか」

「すまない」

「よりによって陛下ですか」


 全く、何で次から次へと、ややこしい話が増えますの!

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