表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/41

18 話し合いとは?

「マリアナはおるかぁ!!!!」


 応接室の扉が勢いよく開くと、耳をつん裂く様な大声が響いた。


 あら、随分早かったですわね。


「なっ、義父上!」

「あら、お父様」


 驚くアニキスと、呑気な私。

 両極端な私達を見たお父様のお顔が、凄い事になっていますわ。


「お父様、そんなに興奮されては血圧が上がりましてよ?」


 クスリと小さく笑い、私の横に座る様、お父様に促します。

 そんな中、唐突な来客に初めは驚いていたカトレアが、フィオラの専属侍女だけあり、私の言葉に、直ぐに行動しましたわ。

 流石に出来た侍女ですわ。

 お父様がお好きな、濃いめの紅茶に大量ミルクですわね。


「マリアナ、急に今日本宅に戻れなど、お前は何を考えておるのだ!王妃になって落ち着いたと思えば、何も変わっておらんではないか!」


 お父様、私が王妃になってもう十八年近いですわよ。

 最近なったような言い方は、どうかと思いますわ。


「お父様、今更何を言われてますの?私の性格がそうそう治る訳がございませんでしょ?」

「威張る事ではないわぁ!」


 真横で大声を出されるものだから、唾がすごいですわね。

 とりあえず、扇子で防御しましょう。


「義父上、義姉上の事は諦めた方が………と、言うか、なぜこの様になったのかちゃんと説明願いますよ?義姉上」


 狂犬のようになったお父様を宥めつつ、アニキスが呆れ返った表示で、私に視線を向けました。

 その赤い瞳がスッと細められ、鋭くなります。


「はぁ、アニキス、その目はやめてちょうだい。アズラエル様に叱られてるみたいだわ」

「アズラエルに似ているのは今更です。従兄弟ですからね。それより、ちゃんと説明して頂きたいのですが?」


 まったく、融通が利かないんですから。


「今日、私が帰りました理由。それは、お父様が交わした契約についての苦情ですわ」



*****



 ー時は進み、現在ー



「お嬢様ぁ、お茶です」


 ララミーが気の抜けた口調で、テーブルにお茶を置いてくれました。

 真面目なカトレアと対局な、ふわふわ娘。

 これで仕事は完璧にこなすんですもの。不思議なものです。

 まぁ、仕事が出来ない侍女を隣に置くつもりはありませんけど。


 あら、ミントティーですか?


「ありがとう。やはり疲れているように見えるかしら?」


 クスリと笑い、カップを手に取ります。

 口に含むと、スッキリした味が気分を変えてくれました。

 ララミー…………貴女、回復薬を混ぜ込んだわね。

 味は変わらないけど、効果が凄いわよ?


「最近お嬢様の周りで小蝿が五月蝿くしてますしね。本当ぉに、お嬢様がダメだと仰るから我慢してますが、私は殺虫剤撒き散らしたくて仕方ないんですよ?」


 ハエだとか、殺虫剤だとか…。

 この子、カトレアとは別の意味で怖いですわね。


 私の専属侍女はこの二人。

 諜報は二人とも得意ですが、その他の属性は違います。

 カトレアは暗器と攻撃魔法。ララミーは、薬と回復や間接魔法が得意です。


 カトレアはどちらかと言うと、真面目で分かりやすい性格なのですが、ララミーは、たまに何を考えているのか分からないですわね。

 私至高主義と言う事は分かりますが、危ない実験をしていたりと、前世で言う、マッドサイエンティストに近い子です。

 先日は、「新しい実験君が手に入る~」とか言って浮かれてましたわね。


 あれ、絶対人体実験してますわ。

 怖いので、あまり深くは聞きませんけど。


「さて、叔母様がお帰りになった理由は、聞かせて頂けるのかしら」


 大人達の「大事」な話の場合は、蚊帳の外の可能性が高いですが、もし、あのピンクとクズ男の件が絡んでいるなら、私にも話が来るでしょう。


 ………あら?


 ぼんやりと考え事をしていると、一階から音がしました。

 きっとお母様が帰宅なされたねね。


「あら、お母様の怒りの声が聞こえるのは、私の気のせいかしら?」

「いいえ、お嬢様。奥様のお説教がはじまったみたいです」


 一階から、お母様の淑女らしからぬ怒りの声。

 まぁ、王妃様が先触れなく帰宅したら、それは怒るわよね。

 しかも、今回は侍女一人しか連れて帰ってないようだし。


『お姉様は国母の自覚がありますの!』

『フローラ、落ち着いて』

『旦那様はお黙りくださいませ!毎度の事ですが、お姉様は、周りの迷惑を考えて行動されてください!しかも、当日にお父様を呼び出すなんて、非常識にもほどがあります!』

『いや、フローラ。私と義父上で、そこは散々説教させてもらったから』

『私はまだしておりません!』


 何ですの。

 夫婦喧嘩になってますわ。

 お父様ファイトー。


『いくら大事な話があるとは言え、手順は大事ですわ!』

『フローラ、ワシも散々説教したから落ち着け』

『お父様はお姉様に甘いです!』


 ……少し面白いですわね。

 聴覚の魔法を少々発動。


『アニキス、この家で一番怖いのはフローラだな』

『義父上、間違いありませ………!』

『フローラ、燭台を下ろしなさい!』

『お父様、旦那様、聞こえましてよ!』


 うん、盗聴はやめときましょう。


 まぁ、遮断結界が無いと言う事は、話は済んだのでしょうが、家族として恥ずかしいですわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ