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3. 所謂イケメンです


 今日は朝からお母さんに頼まれて、新しい食器類をいくつか買いに街へ出てきた。


 時々酔ったお客さんが誤って落としてしまったりするから、食器類は定期的に買い足していた。


「どこのお店も良さそうな食器があって悩むなあ。」


 その中でも私は青く美しい植物の様な模様の入った食器を扱っているお店でお皿やボウルなどを購入した。


「結構重い……。割れないように気をつけないと。」


 一枚一枚紙で包んでくれてはいるものの、割れないように運んでいると重さも相まって疲れてきてしまった。


 ちょうど木々の生い茂る公園のベンチが目に入ったので、少しだけ休むことにした。


「はあ……。枚数は少しだけしか買ってないと思ったけど長く持ってると結構重かったな。」


 買ったお皿の入った袋を横に置いて、ベンチで休んでいると色々な人が歩いているのが見えて面白い。


「あのカップルは付き合いはじめたばかりね。あのおじさんはきっと今から仕事に行くのね。あのおばあさんはお孫さんの玩具を買いに店に入るのかな?」


 知らず知らずのうちに夢中になって街行く人を観察していると、スッと私に影が落ちた気がした。


「え?」


 見上げるとそこには騎士服を着たアントン騎士団長さんがいて、ニコニコと微笑みながら話しかけてきた。


「ソフィア、何をしているの?」

「アントン騎士団長さん。店の食器を買い出しに来たんですけど、疲れちゃったので休憩してたんです。」


 アントン騎士団長さんは私の話を聞いてから顎に手をやり考える素振りをした。

 そんなポーズも確かにカッコよくて、きっとお姉さんたちが今周りでこちらをチラチラ見ているのも致し方ないことだと思う。


「ソフィア、私が店まで荷物を持とう。」

「いえいえ、そんな申し訳ないです!アントン騎士団長さんはお仕事中ですよね?」

「いや、今日は夜勤明けだから今仕事あがりで一旦帰ろうとしていたところだ。どうせ店の方角に帰るんだから荷物くらい持とう。そのかわり、この皿でまた美味しい食事を食べさせてくれたらいい。」


 ああ、こういうところが所謂イケメンというやつなんですね……分かります。


「分かりました。すみませんが、お願いします。今度来られた時にはサービスしますね!」


 私が笑顔で答えると、アントン騎士団長さんもサラサラの金髪を揺らして微笑んでくれた。

 周りでこちらの様子を伺っていたお姉さんたちは、その晴れやかな笑顔に刺激を受けすぎてフラついているのが見えた。


 私が重くて苦労していた荷物をアントン騎士団長さんは軽々と持って、並んで店のある通りへと歩いて向かった。







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