最終話 結局
「すみませーん!小麦粉届けに来ました!」
夕方になって、店を閉店してすぐに裏口から配達人の声がした。
「はーい!」
私が卓を拭いていた手を止めて向かおうとすると、傍でいたロルフが腕をつかんだ。
「俺が行くから、お前は無理すんな。」
「ありがと。」
小麦粉を裏の倉庫に仕舞ったロルフが店に帰ってきて私に声をかける。
「ソフィア、お前腹ん中に子どもがいるんだからよ。無理すんな。店の手伝いだって、辛かったら休んどけよ。」
「うん。大丈夫だよ。重たいものは持たないようにしてるし、もう安定期だしね。」
ワンピースとエプロンを身につけているから、まだお客さんたちにも知られてないみたいだけど、あと五ヶ月もすれば私とロルフの赤ちゃんが産まれてくる。
「俺はお前が無理ばっかするから心配なんだよ。」
そう言って優しくお腹を包むように後ろから抱きしめてくる。
「うん、ごめんね。気をつけるね。」
「それに、客の中にはお前のことイヤらしい目で見てる奴もいるしな。」
「そうかな?それはないと思うけど。」
「お前が気づいてねぇだけだよ。こんだけ可愛い嫁さんがいると、心配がつきねぇわ。」
冗談か本気か分からないようなことを言うのがロルフで。
「私だってロルフのことをウットリ見てるお姉さん方にヤキモチ妬いてるもん。」
「そんな奴らいるか?」
「いる!『旦那さん、野生的で色気があってすっごくイケメンですね』ってよく言われるもん。」
そう言ってちょっとだけいじけてみせると、頭をクシャクシャと撫でてきて、また『必殺技耳元で囁く』を行使するワイルドセクシーなダンナ様。
「俺にはソフィアしか見えてないから、そういうことは分かんねぇわ。」
「……わざとでしょ。絶対わざと!」
「何が?」
「笑ってるじゃない!分かっててやってる!」
本当は、優しいグリーンの瞳がいつも私だけを見ているのは知ってる。
生まれ変わった異世界で讃岐うどんライフを始めたら、何故か逆ハー状態でモテ期となり溺愛されました。
そして結局異世界で空前の讃岐うどんブームを起こし、漁師だと思ったら実は元海賊の頭領で今はうどん屋の主人であるダンナ様に溺愛されています。




