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茜色の恋  作者: かなえ
3/5

☆3☆転校生はイケメン君(3)

「野球できる?」


いきなり隣から聞かれたのは、学校からの帰り道。

河原の近くを通っている時、いきなり言われた。


「はあ?」

「だから、野球できる?ルール知ってる?」


みんなは知らないと思うけど、あたしは結構男っぽいところがある。

野球が好き。オヤジみたいに、白熱して応援する。


「…知ってますけど…。」

「だからさ、敬語やめよーゼ!オレ苦手なんだよ〜。」


しばらくの沈黙…



「…で、ルール知ってるからなに?」

「お、いきなりだな〜。」


いきなりなのはそっちだろーが!


「まあいっか。じゃさ、野球やらね?ほれ、あっこで。」


岬が指さしたのは、野球のグラウンド。


「いいけど…て、え?二人で!?」

「なんだよ、悪いか?」



え〜〜〜〜〜…


コイツ、なんとも思わないわけ〜〜???

ふつう女子と、二人っきりで野球やるなんて言ったら、その、恥ずかしくないの?



「いくらなんでも、二人っきりで、あんた…はっ…!」


やばい…!

たたかれる…!!!!


「ぶっはははははは!!なんだそりゃっ!!あっはははは…!!!岬でいいってばっ!」


良かった…

ほっとした…


「じゃ、いくか!」


「えちょ、いきなりっ…!」



でも、二人でもいいと思った。

このときだけは、なぜか思えたんだ…







グラウンドには、人はいなかった。

「ほれっ!」

岬がグラブを投げた。

投げる力が強くて、こけそうになった。

「ははっ!バ〜カ!!」


何なのよコイツゥ〜〜〜!!!

意味不明だよ〜っ!!


「てん…み、岬が投げたんでしょっ!!」

「お、やっと言えるようになった?」


ん?

何がだよ、って顔をしたら、

「ははっ!おまえさ、ちゃんとオレのこと、『岬』とか、『岬君』とかって呼んでくれなかったじゃん。でも、さっきは読んでくれたからさっ!」


「…あっ、そうゆう意味ね。」

「まあ、いいや。んじゃ、まずはキャッチボールから。」

そう言って、どこからかとりだしたボールを、岬が投げた。

体に衝撃が走る。

「うっ…いったあ〜…」

尻もちをついた。


…すごい…

こんなに速くて、衝撃がある球を投げるなんて…


「ん?大ジョブかよっ!」


「…あたし…。」

「何だ?どーした??」

「いや、あたしさ…あん…岬にさ、驚かされてばっかだよ。」

「…は?」

「だって、見かけによらずヤンキーでさ、漫画読んでるの見えちゃったし。それにさ、掃除サボってたし。あたし、ヤンキーはスポーツとか好きじゃないと思ってたからさ。でも、すごいよ。岬は。天才的に速かった。…あたしの眼では。」


思ってたことがすらすら言える。

こんなに簡単だったなんて!!!


「…それはどうも。でもオレ…ヤンキー?に見えた?」

「ヤンキーってか、悪ガキ…?カナ。」

「なんだそりゃ!!オレはガキかよ。」


二人で笑った。大声出して。

あたしって、中身は、こんなに『やな奴」だったんだ!

でも、『やな奴』でもいいかもしれない。

そのほうが、幸せに生きられるかもしれない!



「やっぱりな…。」

「ん?なに?」

「お前の中身、全部わかった!」


…心をとみとった?まさか…。ね?


「お前、一見真面目そうだけど、あ、オレもはじめてみたとき思った。でもさ、お前って、意外と面白くて、はっちゃけてる?っていうのかな?なんつうか…うん、そんな感じ。」

「は?意味不〜!!でも、『ぱっと見真面目そう』ってのは、あんたも同じよ?」

「うん、お前、こっちのほうが好き!」




す…き?

あたしのこと?





いや違う…

岬は、「ちょっとはっちゃけてるほうがいい」って言ったんだ。

何なのよ、今日中。頭がずっとへん。



でも…岬。あたしは今日から変わるよ。

思いっきり、この夏を楽しむよ!!



勿論、あんたのそばで…

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