☆2☆転校生はイケメン君(2)
「有木…?」
なんで?こんなに珍しい名字で?一緒?しかも漢字まで?
頭の中があふれそうだ。
「おい、『有木』って、お前の親戚?」
「し、知らない…」
本当に、知らない…
偶然?それとも…
必然?
「あ、席、お前の隣かも。」
浩太の情報は…いつも正しいんだ。
本当に隣に来た。朝から、いつもはなかったところに机があって、変だと思ったんだ。
「みんなで、自己紹介をやんないと、有木君、わからないよね?」
教室中からのブーイング。先生はそれを無視して、
「じゃあこっちからね。」
と、テキパキ指図する。
「え〜っと、新井…」
出番はすぐ来る…
「名前」と、「趣味」または「得意なこと」…
「じゃあ、次、有木さん…ありゃ?珍しい!」
今頃気付いたのかよ…
「まあ、いいや。どうぞ。」
「はい…。」
隣で座るイケメン転校生は、つまらなそうに頬杖を突いていた。
なんだ、結構ヤンキーなんだ。
机の下に、漫画が見えた。
「えッと、有木茜です…。
趣味は…
そこまで言ったところで、イケメン君が顔を上げて、驚いているのが分かった。
顔が驚いている。
「しゅ、趣味は読書です、終わりっ!」
なんだか恥ずかしくて、早口に言った。
座ったとたん、隣から声がする。
「なぁ、お前、有木って言うんだ?」
こ…
声が低い…
とっくに声変りしてるような…
カッコイイ…
え、カッコイイ?
頭の中で、今あたし、そう言った?
「おい、無視るなよ。」
みんなの自己紹介なんて聞いてない。
あんたのためにやってんのよっ!
「そうですけど…。」
「ですけどって何さ。ためでいいっすよ。」
厄介なヤンキーだ。
でも…顔は…カッコイイ…かも…
ほら、また『かっこいい』。
あたしどうしちゃったの?
頭の中で、何回も同じ言葉が出てくる。
今まで使ったことのない言葉なのに…
一回出てくると、止まらなくなる。
頭がパンクしそう。
これも、なにもかも、この『ヤンキー転校生』が悪いんだよ。
まず、名字が同じだともてはやされた。
ヒューヒュー言われて、転校生がキレて、教室をめちゃくちゃにした。
あたしはいい気味だったけど。
次に、班が一緒だから、掃除も一緒。勿論ヤンキー君は、掃除なんかやりゃしない。
ほうきをバットに見立てて、ひとりで素振りなんかしてる。おかげで、集めたごみがみんな風で飛ぶ。
「ちょっと、有木!…あ、悪ぃ…。」
浩太は、もう転校生を呼び捨てにしてた。
だから、二人揃って浩太のほうを向いてしまったのだ。
ああ、最悪!
さらに、もう一つ悲劇が…
「有木さん二人!ちょっと来て。」
先生に呼び出されて、また周りの男子が「ヒューヒュー」言うから、転校生君がキレかかった。でも、目の前には先生。
「有…茜さん。岬君とね、家が近いのよ。だからお願いっ!一緒に帰ってくれる?私が案内したいところだけど、今日会議があって、どうしても…。あ、時間無いっ!じゃあ、頼んだわよ!!」
早口な先生だ。
…ってそこじゃない。
なんで?あたしが?コイツと一緒に帰る??おかしいでしょ!
第一、浩太がいるのに!浩太も、家が近い。
なのに、浩太じゃなくて、女の、あたし??
あたしが良くても、相手が相手だし、嫌がるだろうし…
ってあれ?
「よっ。ヨロっす。」
嫌がってないし…
てか、笑ってるし!
何コイツっ!!
「あの、転校生…あっ!」
やばい…
呼び方が…!!
「は??なんだそりゃ!!オレは有木だぞ!
…ってあ、そか…
じゃあ、岬で。」
もう、いやだあああああああああ!!!!!!
読んだら必ず感想をください!!あ、アドバイスとかも…(笑