魔族襲来
今回は、魔族が襲来します。
シュレイド城下町の宿屋にて、ピンク色のショートカットに澄んだ緑色の目の女性がリヒターをゆさゆさと起こそうとしている。
「リヒターさん、朝ですよ起きて下さい。」
そう、ロゼである。
「もう、起きる気配がありませんね。」
ロゼはリヒターの耳元まで顔を近付け、ふぅ…と息を吹きかける。
「うぉあっ!?」
俺は驚き目を覚まし、横を見るとロゼの服の隙間から谷間が見える形となっているが、どうやら本人は気付いてないようだ。
「おはよう、リヒターさん。」
「ああ、おはよう。」
(朝から良いものを見せてもらった。)
よく見ると、机の上には料理が置かれていた。
白身魚のムニエルに野菜サラダとパンが並んでいる。
「一人分しか無いようだが?」
「何言ってるの? リヒターさんが中々起きないからアタシは、もう食べ終わったわよ。」
ロゼは、すでに食事を済ませていたようだ。
俺は急いで料理を食べ始める。
「そういや、結構前から魔法使いや回復術士を見かけないような気がするが、ロゼは何か知ってるか?」
俺は、料理を食べながらロゼに疑問に思っている事を訪ねる。
「それね…、」
ロゼは深刻な顔をしながら語る。
「実は、無属性魔法以外の魔法が皆使えなくなったの。」
「使えなくなった?」
「ええ、アタシのように魔法を使う人達は大精霊の力を借りて魔法を使うの。」
「でもね、ある日から大精霊の力を感じなくなった…そのせいで冒険者を辞め、他の仕事に就いてるわ。」
ロゼの話から、魔法は大精霊の力が無ければ使えない事をしり大半の冒険者が辞める理由を理解した。
「そうか…、ロゼは凄いな。」
「え? 私は凄くなんか…。」
丁度、食事を終えロゼを褒めた。
「そろそろ、行くか。」
「え、あ、はい。」
宿屋から出ると人だかりが出来ている、皆シュレイド城の方を見ているようだ。
「リヒターさん、そろそろ国王陛下が勇者に聖剣を渡す儀式を行う時間ですね……はぁ。」
「リヒターさんが勇者ならよかったのにな。」と小さな声でつぶやく。
その直後、シュレイド城から眩い光が城を包んでいるかのような光景が広がった。
「おお、これが勇者様の力」
「キャーッ! ステキ!!」
「なんと神々しい!!」
等々、勇者を称賛する声が響き渡る中、人だかりの中で一人の中年男性が上空を指さしながら不安な声を漏らす。
「おい…、アレ何だ…?」
俺は男性の指さしてる方向に目を向けると今にも城に向かって、ブレスを吐こうとしているドラゴンの姿が目に映った。
「おらぁっ!!」
背中背負ってたショートソードを思い切りドラゴンめがけてぶん投げると剣がドラゴンの胸に刺さる。
バランスを崩したのかドラゴンはブレスを吐くのを止め城下町へと落下する。
「皆ここから離れろお! ドラゴンが落ちてくるぞお!!」
そう叫ぶと人々は散り散りに逃げ惑う、しばらくしてドラゴンが地上へと落下するが四つん這いになる形で着地する。
「おいおい、何処のどいつだぁ! 邪魔しやがったのは?
折角、俺様が聖剣もろとも勇者を葬ってやろうと思ったのによ!!」
何やら不機嫌そうな声がドラゴンの上から聞こえてきた。
声の方向に目を向けると頭にねじれた角が生え、赤黒い両腕をした半裸の男がドラゴンの上に乗っていた。
「リヒターさん…この人、凄い殺気!!」
「ああ、分かってる! こいつは危険だ!」
半裸の男は、逃げ惑う人々を見るとニィと邪魔な笑みを浮かべると掌を向け、魔法を唱える。
「ファイヤーボール」
魔法を唱え終える前に俺はロゼにバリアを使うように指示する。
「ロゼ! 俺とこいつを囲うようにバリアを張れ!」
「え、は、はい!!」
直ぐにでもバリアが展開されるが、どうやら指示が遅くファイヤーボールがバリアの外側に抜けて逃げ惑う人々に直撃する。
たった一発の魔法で町が火の海と化した。
「なっ! あ…くっ、遅かったか!!」
「ハハハ、良いねぇ最高の光景だ!」
半裸の男は、俺の方へと向き醜悪な表情で告げる。
「よぅ、人間護れなかった気分はどうだ?」
周りからは、人々の悲痛な叫びや悲鳴が谺する
いつも見て頂き有り難う御座います。