ロゼと宿屋で二人きり
今回はリヒターの妄想回になります。
「戦闘はスキルが全てというわけじゃないし、得意な魔法とかはあるか?」
「えっと、バリアの魔法だけしか使えませんが…」
ロゼは俯きながら目を泳がせている。
「バリアだけか?」
「はい、バリアだけですが何度も練習して使えるようになった魔法です! 絶対壊れない自信があります!」
(努力して覚えた魔法か、使えるな。)
「使い方次第ではサポート役としては優秀だな、さてと日も暮れてきたし宿屋にでも泊まりに行くかな。ロゼは、この後どうする?」
「私も宿屋に泊まります。」
冒険者ギルドから宿屋へと俺達は移動したのたが、宿屋のフロントで開いてる部屋が一つしかないと言われる。
「申し訳ありませんが、開いてる部屋が一つなので相部屋になさいますか?」
「ふむ、それじゃロゼが借りるか?」
「アタシは、別に相部屋でもかまいませんよ? 先程助けていただいたお礼もしたいですし。」
(あれ? 確か俺は魔王の呪いでモテないはずなんだが、これって相部屋で二人きりになるよな? いや、もしかしてロゼって俺に惚れてる? いや、まさか…)
等と思考を巡らせていると肩をゆさゆさとロゼに揺らされていた。
「あの、大丈夫ですか!? リヒターさん!!」
そう心配した声でハッと我に返る。
「ああ、大丈夫だ! 問題無い。」
「でも、涎が凄いですよ!?」
フロントの受付の人はドン引きしていたが、相部屋にすることにした。
部屋に入るとベッドが左右に離れて二つ有り、窓辺には机と椅子が一つあった。
「じゃあ、リヒターさん椅子に座ってくれますか?」
ロゼに促されるまま、椅子に座ると肩を揉み始めた。
(あれ、お礼って肩揉み?)
「リヒターさんって結構、肩凝ってるんですね。」
「ん、ああ、そうだな…ところでロゼは馬車の護衛みたいな事してたが依頼か?」
「そう、ですね…リヒターさんになら話しても良いですかね。」
この時の俺は、話半分に聴きながら肩を揉まれながらロゼの胸が当たっていたら最高なんだけどなと思っていた。
「実は、聖剣を運んでいたんです。」
「ふーん。」
「聖剣を狙う魔族をカモフラージュする為に兵士も新米の人達で構成されましたが盗賊相手にやられてしまいまして…」
「へぇー。」
「……、リヒターさん? 聴いてます?」
「ほぉ。」
適当に返事をしていたのが悪かったのかロゼはムスッとしたふくれ面になり、肩揉みをやめる。
「ん、どうした?」
ロゼは不機嫌になり、ベッドに向かいながらに言う。
「おやすみ、リヒターさん!」
そのまま、もう眠れと言わんばかりに電気を消される。
「………」
(あれ、お礼は?)
俺は、一緒の部屋に泊まるくらいだからエッチなお礼をしてくれると期待していたのだが違ったらしい。
おそらく本来であれば、そうなっていたに違いない
そうならなかったのは魔王の呪いのせいだと決め付けた。
(おのれ、魔王め!!)
次回あたりは勇者サイドにする予定です。