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疾風迅雷の術(ロメロちゃんはもっと遊びたい)

戦闘描写難しい!

 インベントは集中する。

 縮地のその先へ。


「忍法――――疾風迅雷の術」


 インベントは反発移動リジェクションムーブでロメロの幽結界かくりけっかい二メートル手前まで接近し、そこから縮地を発動した。

 ロメロもインベントの動きに慣れているため、しっかりと反応している。


 縮地は盾を使って収納空間から反発力を引き出す技だ。

 インベントが引き出せるマックスに近い反発力を引き出している。

 縮地だけでこれ以上の速さを出すことは現時点では不可能。


 だが―― 


(更に加速!! アルファ空間!)


 インベントは縮地で使用したゲートを使用後すぐに閉じた。

 すぐさま再度ゲートを開き、忍者小手を収納させるフリをしてアルファ空間から反発力を発生させる。


 ちなみにゲートは複数開くことはできない。

 インベントにとってはゲートの高速開閉はお手の物だが、他の【ペオース】使いには到底理解できないレベルの早業だ。


 そもそも速い縮地に、アルファ空間からの反発力を加える。

 結果、ロメロの想定よりも速く幽結界かくりけっかいに侵入することに成功した。


 ロメロは一手遅れる。

 だがロメロは極めて冷静に、幽結界かくりけっかいに侵入してきた黒い塊に対応する。

 体を少しだけ左に捻り、左から右に水平斬りでインベントを排除しようとした。


 インベントはロメロの攻撃が左からくるのか、それとも右からくるか、それだけを見ていた。

 そしてインベントから見て右からくると判断した瞬間―― 


(ここだ!! もっかいアルファ空間!)


 再度ゲートを開き、収納空間から更に反発力を得る。


 今日まで何度も何度も練習した動き。

 忍者小手がボロボロになるまでひたすら練習した動き。


 これまでのように剣や盾を使って反発力を得るのではロメロの反応速度に敵わない。

 だから手に装備した小手を収納するフリをすることで、極限まで反発力を得るレスポンスを上げたのだ。



 ロメロは息を呑んだ。

 実際には呼吸する余裕も無いので、息を吞む余裕さえない。


(い、インベント君が俺の剣から遠ざかる!?)


 斬って落とそうとしたロメロだが、インベントが空中で動く。


 そもそも収納空間から発生するエネルギーを利用して急接近など誰もやったことがない。

 だがスピードだけなら幽結界かくりけっかいを持つロメロは反応できる。

 そして一級品の技術も反射神経も持っている。

 早打ち一発勝負のような戦い方では勝ち目が無いのだ。


 圧倒的なバケモノ。それがロメロ・バトオ。


 一発勝負では勝てない。

 だったらフェイントを入れるしかない。

 だが剣技は初心者に毛が生えたレベルのインベント。


 そこで考案したのが『疾風迅雷の術』である。


 装備している忍者小手を収納対象にすることで、空中で細かく移動することができる。

 縮地ほどのスピードは無いが、加速中に更に加速することや動きを思い通りに変化可能。



 結果、ロメロの攻撃をすり抜けることに成功する。


(更にアルファ! アルファ! そして! ベータ空間!!)


 インベントは幽結界かくりけっかい内を疾風迅雷の術を使い高速移動する。

 幽結界かくりけっかいはロメロにとっては庭のようなものだ。

 これほど庭を荒らされたことは人生で一度も無い。


 アルファ空間を使う事で、ロメロの後ろ側面に回り込む。

 だがこのままでは幽結界かくりけっかいから出てしまうので、ベータ空間を使用する。


 ベータ空間は、アルファ空間と同じく砂が敷き詰められているが、密度が違う。

 ベータ空間の用途はインベントを停止させるための空間だ。

 つまりアルファ空間が加速や方向変換用であり、ベータ空間はブレーキ用なのだ。


 ロメロは完全に体勢を崩されている。

 だがここは庭の中。インベントの位置は把握している。

 ロメロの眼光がインベントを捉えた。


(クソ! 間に合え!)


 ロメロは強引に体を捩り、インベントを切り払う。

 ロメロに余裕は無い。もはやロメロチャレンジであることを忘れている。


 インベントにも余裕はない。

 ロメロは反応速度も攻撃スピードも異常であり、疾風迅雷の術を使ったとしても攻撃が成功するかは未知数だった。


 だが縮地からの攻撃よりも、疾風迅雷の術からの攻撃のほうが一手速い。

 なぜなら縮地は盾を使うため、盾を処理する工程をどうしても挟まないといけないからだ。


 インベントは収納空間から刀を取り出し――


武器加速アクセルウエポン居合斬り!!)


 収納空間を鞘にみたて、加速させた刀での居合斬り。

 一般人相手であれば命を奪える攻撃。


 インベントが本気で戦えるのはモンスター以外には、ロメロしかいない。

 それほどまでにロメロの強さを信頼している。



「はああ!」


「ハッ!」


 インベントの刀攻撃にギリギリ間に合ったロメロの木剣が交差する。

 超高速の斬撃がぶつかり合った。


「痛ったあ!!」


 衝撃に耐えきれずインベントは刀から手を放してしまった。

 収納空間から抜刀する空間抜刀は、基本片手で剣を握らないといけない。

 片手でロメロの重く速い斬撃を受け止めることはできなかったのだ。



 だが……インベントの剣はロメロの上腕部に肉薄していた。

 当たってはいない。だが幽壁は発動していた。


 ロメロは意図的に幽壁を発動できる。

 だが本来、幽壁は危機を感じた際に自動的に発動する。


 つまり、インベントの攻撃は――疾風迅雷の術からの攻撃はロメロに危機感を与えるレベルだったのだ。


 インベントはロメロに幽壁を使わせた。

 ロメロチャレンジでは幽壁を使ってはいけない。

 つまりインベントはロメロチャレンジ再度クリアしたことになる。


 ――だが、ロメロはそんな()()なことはどうでもよい気分だった。


「アッハッハッハ! いいぞ! すごくいいぞ! 細胞が踊るようだ!」


 ロメロは一端後ろに下がった。

 後退ではない。仕切り直しだ。


「さあ……いくぞ! インベント君。いや……インベント!」


 これまでと違う。

 ロメロチャレンジにおいて、ロメロは相手を待つスタイルだった。

 だが、ロメロはインベントに対して向かってきた。


「え!?」


 約束が違う。そんな気分になるインベント。

 ロメロはいつの間にか接近し、インベントまでは距離は六メートルといったところ。

 これまでなら幽結界かくりけっかいの範囲、半径四メートルより外であれば安全だった。


 だが、ロメロは動いている。

 動かざる山が動いているのだ。


「ハッ!!」


 大きなストライド――

 股関節を経由し、腰、背骨、肩、肘、手首、そして手から剣に。

 全てが最大限連動し放たれた斬撃。


(よ、避けれ――

 死ぬ――!)


 木剣だが死を感じた。

 思考する時間さえない。

 インベントは咄嗟に丸太を出した。


 ――丸太ドライブ零式


 相手の攻撃を利用し、反発力を発生させ丸太をお見舞いする技。

 どれだけ強力な攻撃だとしても――いや強力であればあるほど強大な力を発揮する技。



 丸太がロメロを襲う。

 だが。


「ハハハハハハハ!」


 丸太が切り刻まれていく。

 木剣で丸太を切り刻むなど無理である。

 いや名刀であっても無理であろう。インベントが出した丸太は武器にも使われるアイレド産の高級な丸太だ。


 だがロメロにとっては丸太を切り刻むなんて朝飯前。


(そ、【太陽ソエイル】!?)


 ロメロの剣に幽力が纏わりついている。

 圧倒的な圧力がロメロの剣に宿っている。


「ふっふっふっふ! 楽しいなあ! インベント!?」


「た、楽しくないです!!」


「そういうな! まあ立て立て」


 そう言ってロメロは再度後退してく。

 仕切り直し。


「いくぞー!」


「ちょ、ちょま」


 いいや、待たない。

 ロメロちゃんは遊びたい。


「ハハハー!」


 考える時間も無い。

 どうにか初撃を避けるインベント。

 追撃するロメロ。


 疾風迅雷の術で空中移動し、距離をとるインベント。

 追うロメロ。


 終わりのない鬼ごっこ。

 インベントの体力が尽きるまでロメロちゃんは遊び続けるのだ。

没案として「レスポンスを上げる」→「マグネットコーティング」を思いつきましたが没にしました。

これにてロメロチャレンジは終わりの始まりです。

次回からは新展開でーす。


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もしかして、宵闇って身に余る力を持っただけのガキの寄り集まりなのだろうか
[良い点] ハハハハハ [一言] 能力バトルたのちぃー
[良い点] めっちゃおもろい! [一言] ヒロイン誰か知れるのか?!って思っちゃったわ!ww
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