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ロメロの手の上で

 運命的な出会いは人生を大きく変えることがある。

 不幸な人生をバラ色にすることもあれば、平凡な日常を崩壊させる最悪の出会いもある。


 さて――インベントとロメロとの出会いはどうか?


 ロメロからすれば、素晴らしい出会いだった。

 ロメロは一貫して、『自分が楽しめる存在』を探している。

 インベントは出会った頃から『楽しい』存在だった。


 【ペオース】を使った初めて見る戦い方には心躍った。

 そしてインベントの様々なアイディアはロメロを飽きさせない。


 イング王国を探せば強い奴はいる。

 だが一旦格付けが終われば、大抵は諦めてしまう。

 強ければ強いほど、ロメロとの圧倒的な差を痛感してしまうのだ。

 それだけ圧倒的な強さのロメロ。


 それに対しインベントは『変化し続ける面白い少年』。

 更に何度でも無謀に挑んでくる。

 ロメロチャレンジを押し付けても、なんだかんだ付き合ってくれるのだ。


 インベントにとって強力なモンスターに挑むのは当然のことだからである。

 ロメロを『人型モンスター』と無意識に認定した時点で、ある意味ゲーム感覚で何度も何度もチャレンジしてくる。


 フラウのようにロメロに憧れロメロから学びたいというスタンスでは無く、インベントは常に『どうやればこのモンスターを狩れるか?』というスタンスで挑み続けてくる。

 挑み続けてくる無謀さ。だが常に変化しつつ挑戦してくる勇敢さ。

 そんなインベントが面白くて仕方ないのだ。


 希少なおもちゃだからこそ。駄々こねてでも手放したくないのだ。



 インベントからすれば、ロメロは『人型モンスター』である。

 強すぎて無理ゲーレベルのモンスターだが、無理ゲーも楽しめる男。それがインベントなのだ。


 だが結果からみれば、インベントの人生はロメロによって大きく捻じ曲げられたと言っていいだろう。


 森林警備隊一年目の新人が、『宵蛇よいばみ』の『陽剣』に目をつけられた。

 そしてなぜか行動をずっとともにしている。

 普通の新人に戻れるわけがないのだ。


 まあ……空を飛ぶ変な少年が、普通の新人として過ごせたかどうかは微妙な線ではあるものの、『普通』の隊員ではなくなってしまったのはロメロが大きな原因である。


 しかしながら飛躍して強くなったのも事実である。


 ロメロはイング王国最強である。他を大きく引き離して圧倒的に強い。

 そんなロメロが高い壁になってくれたことでインベントは試行錯誤をせざるをえなかった。


 最強相手に技を磨いたインベント。

 強くならないはずはない。

 ただし、防御不可攻撃を持つロメロに対し、高速戦闘特化型に進化していった。



 しかしクラマが登場したことによりロメロとインベントは引き離されてしまった。

 あまつさえスピード重視な戦い方にケチまでつけだした。

 ロメロとしては面白く無い。


 インベントがオセラシアに連れていかれてしまうし、ロメロは萎えに萎えていた。

 『仕方ないから『宵蛇よいばみ』に戻ろうか』なんて考えていた。


 だが――オセラシアから帰ってきたインベントを見て、ロメロは驚愕する。

 不格好な反発制御リジェクションコントロールを練習しているインベントを見て、驚愕したのだ。


(装備の重さは増えているのに……速さが変わっていない。

 いや……抑えている。抑えているのに……今までと遜色ない速さ)


 ロメロはピンときた。


(インベントがなにをやろうとしているのか、全容は見えていない。

 だが……俺がけしかければ……! 俺の高みまでくるかもしれない!

 それにうっとおしいジジイは……恐らくすぐには帰ってこないはずだ。

 今のうちに……手を付けておけば!!)



 神様からのプレゼント。

 思いつきをすぐさま行動に移すロメロ。


 ロメロウォーキングでインベントの得意技である死角からの攻撃を対策する。

 続いてインベントの修業に付き合う。

 さっさとある程度形になるように、柄にも無く懇切丁寧に教え、協力を惜しまない。


 そして――満を持して模擬戦をけしかけるロメロ。

 インベントは修業の成果が発揮され反発制御リジェクションコントロールで思い描いた動きができるようになっていた。


 だが――思い描いた動きでは、ロメロには届かないことを知る。


 反発制御リジェクションコントロールはロメロに勝つために習得しようとしたわけではない。

 だが、絶妙なタイミングで、インベントはロメロのことを強烈に意識してしまった。



 翌日――


 ロメロはひとりお散歩している。

 その顔は嬉しそうであり、悪い男の顔をしている。


「ハッハッハ」


 笑い声が森の中に木霊する。


(インベント。

 今頃お前はこう思うはずだ。

 どうすれば――――)



**


(どうすれば…………ロメロさんに勝てる?)


 ロメロの思惑通り、どうすれば『死角』という小さな弱点を塞いでしまったロメロに勝てるか考えている。

 唯一の有効手段が封じられたインベント。

 『無理ゲー』から『クソゲー』に変わってしまった。


 だがインベントは諦めない。だって相手は人型モンスター。

 モンスター相手なら何度でもチャレンジするのはインベントにとっての当たり前である。

 なぜならモンブレの世界では、強敵であっても――いや強敵だからこそ何度もチャレンジするからだ。



(準備が必要だ……。ドウェイフさんにお願いしよう)


 ドウェイフ工房のドウェイフは、短納期で無理難題を押し付けられる。

 インベントの熱意に押されて仕方なく対応するドウェイフ。



(もっとロメロさんを観察したい……。有効な攻撃があるかもしれない)


 ロメロは四日に一日模擬戦をしてくれる。

 インベントは模擬戦でロメロをじっくりと観察する。

 自分の手の内は晒さず、ロメロをじっくりと観察する。




 そして――四回目の模擬戦の日の夕刻。


「そろそろ――本気マジでやってみるか?」


 とロメロから提案されたインベントは――「はい(準備は整ったよ!)」と応えた。




 戦闘馬鹿とモンスター馬鹿の衝突の時――

目の上ピクピク病になってしまい、投稿遅れました。

ついでに引っ越しもあるのでちょっとバタバタしてます。


感想いつもありがとうございます。

返信遅くなっちゃって心苦しいですが、目がピクピクしてるのでご容赦ください。


ピクピクピクー!

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― 新着の感想 ―
[一言] 完全に混ぜるな危険の組み合わせ… クラマの爺さんが早く戻ってブレーキかけないとこの二人に人類がおいてけぼりにされそう
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