12 ルンダの勘違いと冒険者登録
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連休なので連投します。
子猫は、網戸を半分まで登れるようになりました。
大きく空いた穴からは虫が入ってきます。
ジュリアが風呂から上がってきたのは、それから間もなくのことだった。
湯気の上がる頭を借りもののタオルで拭きながら、早朝だったため貸し切り状態で湯舟に浸かれたジュリアはご機嫌で三頭の待つ部屋へと戻ってきた。
大浴場は冒険者のために24時間使用出来るようになっており、こんなことなら寝る時間を入浴に使って人気のない深夜にとっとと入ってしまえば良かったと、ジュリアはいらぬ気苦労に小さく肩を落とした。
この世界の便利なものは、その殆んどが魔石が付加された魔具によって動いている。風呂の湯も魔具によるもので、ちょうど良い温度に保たれていた。
シャワーが無く、魔具の付いた桶から溢れ出る湯を掛け湯しなくてはいけないのは少し面倒だが、それでも温かい湯で身体を流し、湯船に浸かれるというのはやはり良いものである。
「お風呂は心の洗濯って、誰かが言ってたな~♪」
鼻歌を歌いながら、風魔法で器用に髪の毛を乾かしていく。火魔法を少し加えて温風にすれば、腰まである黒髪はあっという間にピカピカのサラサラになってしまった。
「贅沢な力の使い方ですの」
「確かに・・・」
アーテルとアルゲントゥムの言葉は聞こえない振りだ。
「さて、お風呂も入ってサッパリしたし、朝ごはん食べに下に行こうか!」
準備が整うと、昨日着ていた黒いローブを手に取る。ジュリアの身体には、しっかりとオリハルコン製の防具が着込まれており、いつでも出発できる状態だった。
「人間は、もっと遅くから活動するんじゃないの?まだ朝の6の刻だよ」
ルーフスが可愛く首を傾げているが、どうやら冒険者は朝が早い者も多いらしい。朝食の準備が出来ているという知らせのプレートが大浴場の外に掛けられていたので、きっと朝出する人たちのために早めに準備しているのだろう。
「大丈夫だよ!朝食出来てますのプレートが掛かってたから」
「そっか、じゃあ大丈夫・・・だけど、ジュリア様、ローブ被らずに下に行くの?また囲まれるんじゃないかな?」
「え?魔力の制御も出来てるし大丈夫でしょ?」
どうせいつかは姿を見せなければいけないのだからそれが今でも問題ないだろう・・・という気持ちは、ジュリアの中にまだちゃんと残っていた。
隠れていたって仕方がない。冒険者になるのなら、姿を見せて堂々としていた方が怪しまれずに済む。興味津々に皆に囲まれるなら、いっそのこと愛想を振りまいて自分の味方につけてしまえば良い。
そんなことを、風呂に入りながら考えていたのだ。
と言うよりも、風呂に浸かることで何もかもが面倒に感じてしまったというのが本音だったが・・・
「それよりも、君たちが肩と頭に停まるのを禁止しないとね」
「「「え・・・!?」」」
三頭が驚いた顔を見せる。
実は、頭に停まるルーフスはまだ良いが、肩に停まるアーテルとアルゲントゥムは両手でジュリアの肩と腕を掴んで斜めに停まっていた。
きっと、はたから見たらかなり無理をした停まり方をしていたに違いない。なので、目立たないためにも三頭がジュリアの身体に停まることを禁止しようと思ったのだが、三頭の眼がみるみるうちに涙で満たされるのを目の当たりにし、ジュリアは慌てて自分の発言を取り消すことになった。
「あー!うそ!今のは嘘です!!今まで通り、頭と肩に停まってて良いから・・・」
途端に嬉しそうに尻尾を振ってジュリアに飛んできた三頭は、自分の定位置にしっかりと停まる。
どんなに見た目がおかしくても、これだけは無しに出来ないなぁ・・・と、再び肩を落とすジュリアであった。
ローブを小脇に抱え、ジュリアが二階の階段から降りてくると、フロントには既にルンダの姿があった。
「おや、早いじゃないか・・・ジュリ・・・ア?」
朝の挨拶も御座なりに、ルンダの眼がこれでもかと見開かれる。
昨夜には気付かなかった、黒目・黒髪の珍しい色彩の姿に驚いているのが良く分かるが、ジュリアは全く気にしていないという態を崩さなかった。
「ルンダさん、おはようございます!朝ごはん食べにきました」
ニコリと笑って挨拶をすると、ルンダの意識がハッと戻った。
「あ、ああ。すぐに準備するよ。それにしても・・・綺麗な子だとは思ってたけど、こりゃあ珍しい色を持ったもんだねぇ。その髪色と瞳の色だけでも目立つだろうに・・・し、しかもアンタ!その防具は・・・オ、オリハルコン製なんじゃ・・・!?」
髪と瞳の色に関しては驚かれると思っていたが、それよりも防具に驚かれたことに、ジュリアの方が驚いてしまった。
「え?オリハルコン製?そうなんですか?えっと・・・村を出て来た時に貰ったものだから良く分からないんですけど・・・」
オリハルコンと聞いて、ジュリアは少し戸惑ってしまう。オリハルコンと言えば、前世の小説や漫画の知識でも硬度が高く希少で高価であることが常識だ。
そんなものをまさか自分が身に着けてるとは思えなかったが、古龍の巣にあったものだし、もしかしたらあの躯の中にかなり良い防具を身に付けていた者がいたのかもしれない。
だが、ここでは誤魔化し一択だと、ジュリアは何も知らない振りをして困った顔をしてみせた。
「そ、そうかい・・・もしかしたら、オリハルコンに見た目似ただけの別の素材なのかも・・・しれないね」
少し顔を引き攣らせながら、それでもルンダはジュリアの言葉を都合の良い方向へ解釈してくれたようだった。
「はい!多分そうなんだと思います!」
元気に言い切ったジュリアに、ルンダは心の中で「そんな馬鹿な話は聞いたことないけど」と独り言ちするしかないのであった。
昨夜賑わっていた酒場にはまだ誰も座っていなかったので、ジュリアは窓際の日が当たる場所を選んで席に着いた。
昨夜食べた夕飯は鶏肉に似た味の、とても美味しい煮込み料理だった。この世界の食べ物は、存外舌の肥えたジュリアにも合っているようで、食事の楽しみが出来たことに内心喜んでいた。
朝食にも期待が持てると確信していたジュリアは、先に出てきた温かいお茶を飲みながらゆったりと食事が運ばれてくるのを待つ。
お茶を持ってきた給仕の獣人の青年が、顔を真っ赤にして少し震えていたことには全く気付いていない。
そんな状況を、三頭の古龍たちは呆れ顔で見ていた。
『ほんと、ご自分の姿に頓着が無い方ですの』
『・・・ほんと』
『その通りですね』
ジュリアに届かないよう三頭はこっそりと念話で会話をし、ジュリアを守るのは自分たちだと、その意思を更に固くし目を合わせて小さく頷いた。
朝食は、二階から少しずつ降りてくる宿泊客に囲まれて挨拶をされ、黒目黒髪に驚かれるくらいで、思いの外スムーズに終わることが出来た。
防具に関してはオリハルコンを見たことがある者があまりいなかったせいか、それほど突っ込まれることもなく、やはりルンダの勘違いだろうということで丸く?収まった。
「今日はどうするんだい?」
食後のお茶を足しに来たルンダがジュリアに問いかけると、少し悩んだように間を開けて「冒険者登録をしに行きます!」と元気よく答える。
「そうかい。それならこの宿からも近いから、心配ないね。この窓からも見えてる、あの屋根の建物が冒険者ギルドだよ」
ルンダが指さした窓の外には、緑色の大きな屋根が他の建物より頭二個分ほど高い場所に見えていた。
「へえ・・・大きい建物ですね」
「王都のギルドだからね。商業ギルドも大きいし、興味があるならそっちも覗いてみると面白いよ。あと、冒険者ギルドと言えば、新人に絡んでくる輩が必ず居るから気を付けるんだ。まぁ、うちの常連もいるしジュリアは大丈夫だとは思うが、警戒しておくことは損じゃないからね」
「はい、分かりました」
やはり、前世の小説や漫画の様に、新人の可愛がりはテンプレ通りあるらしい。
争いごとを好まないジュリアではあるが、理不尽な言動や暴力には真っ向から対抗していきたいと思っている。
それに関しては神云々と言うよりも、鞍馬芽依としての性格が許さない。理不尽はジュリアが一番嫌う言葉でもあり、暴力である。
事実、この世界に転生する直前、鞍馬芽依は前世で殺されたのだ。理不尽に。
犯人の顔も見ていないが、知らない人間でも顔見知りでも、特に人に恨まれるような生き方をしてこなかった鞍馬芽依にとって、その死は理不尽以外の何物でもない。
こうして彼の神に新たな命を授かるチャンスを与えて貰えたが、前世の記憶が残る自分には理不尽というものは絶対に許せない。
なので、冒険者ギルドで新人イビリに合った場合は、ちょっと非常識なことになろうとも必ず相手を仕留めると決めていた。
その時点で普通の人間からはかけ離れてしまうかもしれないが、理不尽を許すくらいなら少しくらい非常識でも良いと思う。それほどまで、ジュリアの意志は固かった。
黒いローブを羽織ると、ジュリアは三頭の龍を乗せて酒場を後にした。
その後ろ姿を見送ったルンダがその場で腰を抜かしそうになり、声も出せずに驚いていることには気付きもせずに・・・
※※※
「あ、あのローブに織られた背中の紋章・・・失われた都の・・・伝説の紋章じゃないか。あの子・・・あの珍しい色とあの容姿・・・失われた民の生き残りなのかい・・・そりゃあ、防具がオリハルコンなのも頷けるってもんだ。こりゃ心配する必要なんて、これっぽっちも無かったってことかね・・・」
フロントのカウンターに身体を預けるようによろめいたルンダは、今自分が見た光景が信じられないでいたが、そもそも信じられないくらい容姿の整ったジュリアが現実にいること自体がその事実に信憑性を与えているとも考えていた。
ルンダは元冒険者だ。オリハルコンを見たことがある彼女が、それを見抜けない筈がない。
そもそも、未だ冒険者登録もしてない少女がオリハルコン製の防具を身に付けていること自体おかしなことだが、何か訳ありなのだろうとルンダは自分を無理やり納得させようとしていたのだ。
なのに・・・・・・
失われた都・・・失われた民・・・伝説の紋章
かつて存在していた『才能の都』と言われた古都ラングドーザ。才能のある者たちが多く、魔法や剣技、体術だけでなく知力智謀に長けた者も溢れていたと歴史には残っている。
誰もがラングドーザで学ぶことに憧れ、ラングドーザの血筋と家を興し子を残すことを望んでいた。
だが突如、信じられない程大きな岩が空を割いて降ってきたという。
何人もの魔法士が属性に関係なく結界を展開しその勢いを止め、岩を砕こうと全力を尽くすが、炎を纏ったそれは全ての魔力を吸い込み、さらに大きくなってラングドーザを一瞬にして消し去った。
古都ラングドーザの消滅と共に、ラングドーザの民は殆んどが滅亡した。元々、都からあまり外へ出ない民だったため、その一瞬でほぼ全ての民が消え去ったのだ。
かろうじて生き残った民でさえ、今はもう生きていない。岩が降ったのはおよそ500年も前の話。末裔は存在するが、ラングドーザの力は完全に衰退し、その片鱗を見せる者は勇者や賢者と呼ばれていた。
今ではラングドーザの民の力が伝説として文献や物語に出てくるだけだ。失われた都、失われた民、そして更に他と比べて力の強かったラングドーザ王家の伝説の紋章。
伝説の夢物語が目の前に現れ、その紋章を目の当たりにするなど奇跡に近い。
勇者や賢者と呼ばれる者たちでさえ、王家の紋章を身に付ける者は誰一人としていなかった。
ルンダは、驚きのあまり腰を抜かしそうになっていたのだが、それよりなにより、自分が生きている間に伝説の人物と出会うことができたことに感極まっていた。
その目は涙に濡れていたが、誰かに見られる前にすぐさま豪胆な女将の顔に戻すと、自分がジュリアの身分を守ってやらなくてはと心に決めていた。
自分の宿にジュリアがやってきたことには、必ず意味があり運命なのだと疑わずに。
神である事実がそうさせるのか、ジュリアの容姿がそうさせるのか・・・この世界の者たちは何故だか勝手にジュリアを守ろうと決起するのだが、それを知るのは本人のみで、ジュリア自身は全く気付かず「親切な人だな~」と思うだけなのだった。
※※※
ルンダからの忠告を胸に、朝6の刻から開いているという冒険者ギルドにジュリアはやってきていた。
早朝ではあるが意外に人出は多く、その容姿と黒髪黒目に道行く人の視線がジュリアに集中しているが、もうそろそろ慣れたもんである。
それともう一つ、伝説の紋章を物語や文献で見たことのある者にとっては、興味よりも驚愕が先に立ち、声を掛けることも出来ずにただ佇んでその後ろ姿を見送ることしか出来ないでいたが、そんなことも彼女は一々気にしてはいない。
何も知らない本人と三頭は、暢気に冒険者ギルドの扉を開けて中へと入っていく。その足取りはスキップでもしそうなほどとても軽い。
カランコロンと独特な鐘の音がギルド内に響き渡ると、騒々しかった音が一瞬鳴り止む。早朝とはいえ、ギルドにはそれなりの数の冒険者が居た。
その目が全てジュリアに向いている。その容姿と色に息を飲む者、感嘆の息を吐く者、失礼なほど凝視する者など視線の種類は様々だったが、ジュリアと三頭は全く気にしない。集まる視線の中を真っ直ぐ歩き、空いてるカウンターに向うと呆けたようにジュリアを目で追う受付嬢へと挨拶をした。
「おはようございます!私、テイマーとして冒険者登録に来たのですが、お願いできますか?」
丁寧に挨拶をすると、猫耳の獣人がハッと我に返ったように焦点を合わせた。
「は、はい!冒険者登録ですね!!で、ではこの用紙に名前と職種を・・・従魔は小竜が三頭・・・え!小竜が三頭!?」
自分で言っておきながら自分の言葉に驚く受付嬢に、ジュリアは少し笑ってしまった。
「はい、従魔はこの三頭です」
「そ、そうですか。では、従魔の名前もここに記入してください」
言われるがまま、ジュリアは用紙に記載していく。この世界の文字が書けるか不安であったが、何故か前世の文字を書いているのにこの世界の文字に変換されているようで、特に問題はなかった。
便利である。
書き終えて目の前の受付嬢に渡すと、震える手で受け取ってもらえた用紙は水色の魔玉に翳され、一瞬にして燃え上がって消えた。
すると、受付嬢の前に置かれた透明な名刺サイズのプレートにはジュリアの名前とFランクの文字が浮かび上がり、更にFランクの証である銅の色に染め上がっていく。
「おお・・・すごい」
素直に感心していると、受付嬢が嬉しそうにはにかんだ。
「あ、あの、先ほどはジロジロ見てしまい、すみませんでした。あまりにも貴女が綺麗だったので・・・それにその髪色と瞳の色・・・真っ黒なんてとても珍しいです。あの、とても、似合ってます!」
女性からの賛辞は普通に嬉しい。ジュリアは受付嬢の言葉にフワリと笑い、謙遜するのではなく素直に「ありがとうございます」とお礼を言った。
謙遜はあまり良い文化ではない。褒められたら、ありがとうとお礼を言うべきなのだ。
「い、いえ、そんな・・・あの、ジュ、ジュリアさん、私はクロエと言います。どうか、この街にいる間だけでも、ギルドとしてお手伝いさせてくださいね」
自分よりもいくつか年上であろう受付嬢は、年下のジュリアにもとても丁寧で好感が持てた。だからこそ、ジュリアは満面の笑みで「はい!よろしくおねがいします!!」と元気に返事をしたのだった。
冒険者の証であるカードを受け取ると、まだ少し挙動が怪しい受付嬢にギルドの説明を受ける。
冒険者カードは見えなくても良いが、常に携帯しておく必要があるらしく、大体が皆首から下げているのだという。確かに角に小さな穴が空いており、鎖を通せるようになっていた。
誰でもFランクから始まること、依頼のランクは冒険者ランクの一つ上までが受けられること、同ランクの依頼よりも上ランクの依頼を受けた方が成果が優遇されるためランクが上がりやすいこと、パーティーランクと個人ランクには関係がないこと、赤紙と呼ばれる緊急依頼時には、ランクが見合っていれば必ず参加になること、政治的な依頼は断ることが出来ることなど、全知神が知ることを放棄したジュリアの知らない内容を次々と教えてもらう。
「あと、ジュリアさんの従魔である小竜は、どのようにして契約をしたのか聞いてもよろしいですか?」
「え、何故ですか?」
ギルドの説明から突然ジュリアについての話になり、少しばかり面食らってしまう。しかも龍についてだ。
「あ、いえ、あの決して詮索とかではないのですが、竜種の従魔を三頭も連れているのはかなり珍しいのです。私も初めて見ましたが、話によると伝説の賢者様も何頭か竜種を従えていたとあります。でもそれは賢者様の魔力量がずば抜けて多かったから出来たことであって、これから大きくなる小竜を三頭もジュリアさんが養うとなると・・・かなり無理があるかもしれません。いつか、どの子かを手放すことになってしまうかも・・・それなら、まだ情が薄いうちに手放してしまうことも考えなくては・・・」
どうやら受付嬢のクロエは、この先ジュリアが龍たちを養えなくなり、泣く泣く手放さなければいけなくなると考えているようだった。
神であるジュリアにその心配はないが、自分の行く末を案じて掛けてくれる言葉に悪い気はしない。
「この子たちは、私が卵から孵したんです。三頭と契約出来たのは刷り込み・・・って言うやつですかね。それでも、やっぱり卵から孵したこの子たちを手放すことは出来ませんから、頑張ってレベルを上げて養えるように努力します!」
さらりと嘘をつくジュリアだったが、それを咎める者は誰も居ない。龍たちですら、手放す気はないと言い切ったジュリアに感動して、嬉しそうに喉を鳴らして頭を擦り付けていた。
「そうですか・・・そうですね!頑張って、この子たちを養えるようになりましょう!!もし、本当にダメだとしたら、魔素の濃い街へ移り住めばなんとかなるかもしれません」
受付嬢は心配そうな顔を、明るい笑顔に変えてジュリアを応援してくれた。
自分の未来のことまで考えて心配してくれるなんて、なんて親切で優しい人なんだろう・・・よし!依頼の受付と達成報告は、クロエさんのカウンターでやろう!
ジュリアはウンウンと胸中で頷き、クロエに笑顔を返した。
そのやり取りをずっと目で追っていたギルド内の冒険者たちの中に、黒く歪んだ感情を持った者がいることに気付きながら・・・




