夜の一時 前編
飯が終わってから俺と椛は皿洗いを、文は明日の新聞を作っている。そろそろ皿洗いも終わりそうだ。
「よし、終わったな。ありがとうな。椛。…さてと、風呂もそろそろ入っただろう。入るか?」
「いえいえ、そんな。私も食べましたし。それとご主人様が先に入って下さい。私は後で良いです。文さんには私から言っときますので、どうぞごゆっくり。」
「そうか。なら、お先に。」
そして俺は着替えとタオルを用意すると俺は風呂場へと向かった。
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カポーン
「あぁ、いい湯だ。それに木製の風呂ってのは良いもんだな。」
そんな独り言をつぶやいていると、洗面所の方から二人の声が聞こえてきた。
「ちょっと文さん。やめた方がいいですよ。気持ち良さそうに入ってるみたいなんですから、邪魔しない方が良いですって!」
「シー!椛、声が大きい。バレちゃうでしょ。(二人共、バレバレな事に気付いてないようだ)そんな事は百も承知よ。でも、よーく考えて見て、椛。あなた、狗井の裸、見たくないの?今が絶好の機会ってあなたも分かるでしよ?それに狗井の驚いた所も見てみたいしね?」
「それはそうですけど…。それとこれとは違う気が……。」
「見たいの、見たくないのどっち!」
「見たいです!見れるものなら、見たいに決まってるじゃないですか!」
「それじゃあ、行くわよ!」
「はい!………(あれ?行く事になってる?)」
どうやら、来るようだ。そして布が擦れる音がすると…。
ガラガラ!っという音と共に二人が勢い良く入って来た。タオルで前を隠して。
「狗井さ〜ん!お背中流しに…ってわぁ!?」
そして勢い良く入って来るという事は滑りやすいということで。
(ハア、しゃあねえな)
そして俺は二人が頭を打つ寸前で頭を抱えてやった。
「あのなー、別に入ってくんなとは言わねえがな、怪我されると困るんだよ。そこらへんは自覚してくれや。」
そして俺は二人をそっと横にさせると、タオルで前を隠した。
何やら、椛の顔が赤い。……見えちまったか。まぁしゃあないだろう。助けたんだから、そこらへんは勘弁してくれ。
「んで文。これで満足か?だったらもう少し湯船に浸からせてくれ。」
「あっ、はい!十分です。ありがとうございます。……ねぇ椛。(ヒソヒソ)」
「何ですか、文さん。(ヒソヒソ)」
「結構筋肉無かったね。」
「そりゃあ人間と天狗じゃ、違いますよ。」
「そうなのかなー?それに見えた?」
「…一瞬だけ。」
「初めて?」
「………はい。」
「おい。」
「「ビクッ。」」
「そろそろ上がるから。」
「あ、なら洗ってあげます。ほら椛も。」
「あっ、はい!」
椛の尻尾がすっごい振られてる。…やべぇ、モフりてぇ。が、我慢だ俺。今から洗って貰うんだろ!
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あれから特に何も無く、今俺は洗面所で服を着ている。文と椛はまだ風呂だ。さて、どうするか。
よし、あいつらに連絡しよう。
プルルルル、プルルルル、プルルルル
「もしもし、狗井?」
「おー、山田。今、そっちはどんな感じだ?」
「あぁ、それがだな。阿求とはうまくいった。」
「おお、やったな。」
「てかお前。あれ、お前の仕業だろ。偶然目の前に阿求の家があるか、普通!?」
「何だ、迷惑だったか?」
「いいや、まったく。だがな、お前。阿求の心とか操ってないよな?」
「あぁ、できるけどそんな野暮なことなんかしねぇよ。後、何か霊夢の声がすんな。何かやってんのか?」
「あぁ、なら良いんだが。それはな、宴会してんだよ。俺らの歓迎会だとよ。すまんな、呼べんくて。」
「いやいや、別に良いさ。後は三沢か。どうしよっかね〜。」
「まぁ、ほどほどにな。そういやそっちはどうなった?家は?」
「あぁ、色々あって今は文の家にいる。さっきまで風呂に入ってた。」
「そうか。まぁ家が出来たら連絡くれよ。」
「あぁ、じゃあな。切るぞ。」
「あれ、狗井さん。誰と話してたんですか?」
「ん?あぁ、山田だよ。何か歓迎会してるらしくてな。それに阿求とはうまくやってるようだし。後、これ使って頭とか乾かしとけ。」
そう言って俺はドライヤーを渡す。例のごとく電気に関しては能力でどうにかしている。
「?何ですか、これ。」
「あぁ、そうか。幻想郷には無いんだっけか。これはドライヤーと言ってな。ここのスイッチを入れると…。」
そして俺がドライヤーのスイッチを入れると、ブオオー、という音と共に温かい風を感じた。
「こういう風に熱風が出てくるんだ。この風を頭に当てて頭を乾かすってわけだ。」
「へえー。外の世界にはこんなのがあるんですね〜。椛にも使わせても…。」
「別に良い。後、櫛か何かあるなら持って来てくれ。作るんはめんどい。」
それから数分後、最初は慣れてないためか、叫び声がしたが音が消えたし終わったようだ。その証拠にあいつらが来た。
「はーい、狗井さん。終わりましたー。後これがさっき頼まれた櫛でーす。」
そう言うと文は少し漆が剥がれた櫛を渡してきた。
「…後で新しいの、やろうか?」
「え?どうする椛。これって確かあたしがあなたにあげたやつだよね。」
「はい。まぁ、新しいのは欲しいですけど。その櫛も大切ですし。」
「ふーん。じゃあ、直すか。」
「「???」」
そして能力を使ってこの櫛の時の流れを巻き戻し、元の綺麗な櫛に戻した。ついでに材質はまったく同じだが、柄が違う俺特製の櫛も作った。
(文が持ってきた櫛は綺麗な朱と黒のうるしで月と夜空があった。俺特製の櫛は黒を背景に赤と黄色の華があるやつにした。)
「ほらよ。これで良いだろ。後こっちの櫛は俺特製だから。大事にしてくれよ?」
「はい!一生大事にします!」
「あぁー、良いなー。私も欲しいなー。」
「はいはい、また明日な。んで、どっちからするんだ?」
「あー、どうする?私は別に椛からでも…。」
「いえいえ、文さんから。」
「いいよ、私は後で。先に椛からしてもらいなよー。」
「いやいやいや、文さんが先ですって。先輩なんですから。」
「…いい加減決めないとやらんぞ。」
「…んもー、しょうがないなー。それじゃあ私からお願いしますね。狗井さん?」
「あぁ、やったことは無いが任せろ。」




