もふもふ
誤字報告ありがとうございました。
「お手。…おかわり。……おい、やれよ。(イラッ)」
そう言ってるのは俺、狗井。さっきは一回だけお手ができていた椛がその一回以外ずっと無視している。…若干キレそうである。
「おい。」
声の低さと雰囲気からか椛は身体をビクッとさせた。
「な、何ですか。もうやりましたよ。だからもうお終いです。」
(………この野郎。無理矢理首輪でも付けてやろうか。)
…獣としての勘だろうか。こう俺が思うとまた椛は身体をビクッとさせた。
「よ〜し、これでラストだ。お手。」
俺がラストと言ったからか椛は肩を下ろしながらほっとした。ちなみにお手はしていない。
(…よし、もう我慢しねぇからな。)
そして俺は能力で気配と姿を消して椛の後ろに回り込んだ。椛は急に俺の気配が消えたから俺がさっきまでいた所を見た。
「はぁ〜、やっと行きましたか。…にしても文さんのことをこのまんまにするなんて。まったく、ひどい人ですね。」
(好き放題言ってくるねえ〜。)
俺は早速椛の無防備な脇に手を入れた。コチョコチョコチョコチョ
「ヒッ、な、何ですか!や、やめて下さい!……あれ、誰もいない?…ヒウ!?ア、アハハハハハハハ。や、やめて。やめて下さい。」
今度は耳である。モミモミ、フニフニ、プニプニ
「ハァ、終わっ…た!?今度は耳!?ちょっ、だ、誰なんですか?や、やめてくだ、んんっ。」
…どうやら気持ちよくなりだしたらしい。
(そしてだな、やめてほしい?フッ、だが断る)
「きゃ、ん、んん。や、やめてください。いい加減やめてくださいよ〜(泣)」
俺は手を耳からそっと離す。しかしやめない。次は尻尾である。もふもふ、もふもふ、もふもふ
「ハァ、ハァ。やっと終わっ…た!?尻尾!?んっんん。や、やめて。尻尾は耳よりも弱いんだから!ちょっ!更に激しく!?んんっ。やめて下さい、お願いしますから〜。」
…俺は椛の尻尾から手を離すと椛の正面に立ち、能力を解除して姿を表した。
「どうだ、椛?誰に触られているのかも分からず、次は何がされるのか分からない恐怖は。」
「あ、あなただったんですか!お、お願いします。もうしないで下さい。」
俺は椛の懇願を無視して、また能力で消えようとする。すると
「ヒッ、おね、お願いします。どうかこの通りです。もうあんなのは嫌なんです!」
そう言い、椛は俺の目の前で土下座した。俺はそれをも無視して消えようとする。今度は
「わ、分かりました。もうお手なり、何なりとして下さい。何でもして良いですから。どうか、どうかお願いします。」
そして俺は能力を発動するのをやめた。
「今、何でもっつったな?なら、ほらお手。」
そして椛は間髪入れずにお手をしてきた。
「おかわり。後、いっしょにワンって言え。」
「ワン!」
今度も間髪入れずにおかわりをしてきた。ワンと言いながら。
「…そうだな、これを付けろ。」
そう言って俺は赤い首輪を椛に渡した。
「は、はい。……これで良いでしょうか。」
そして椛の首もとには赤い首輪がはめられた。
「よし、んじゃここに来い。」
と言って今まであぐらをかいていた足を叩いた。すると、椛は恐る恐るといった感じに乗ってきた。
「こっち向け。」
「は、はい。」
そして椛がこちらに振り向くと俺は椛の頭を撫でた。もふもふ
椛はまた身体をビクッとさせたが、しだいに落ち着いてきた。
「なあ、椛?」
「はい?何ですか?」
「俺はこれからお前の主人な。」
「…分かりました、ご主人様。」
そして俺は椛の頭を撫で続けた。