犬の調教
俺、狗井は今、椛に向かってこういった。
「お手。」
椛の種族は白狼天狗であり、犬ではないのだがまぁこんなピョコッて音がたっているような感じで耳が動いているのが、もうね、メッチャクチャ可愛いの。
(それにさっき文と話している時も尻尾とか、フリフリしてたし。怒られた時なんか、耳がショボ〜んって感じで垂れてたし。やっぱなんかこう、くるね。何かは分かんないけど。)
そんなことを考えていると、椛が、
「あの。一応確認なんですけど、そのお手っていうのは…。」
「ほら、犬とかに芸教えるじゃん?それ。だから今、椛が思い浮かべているので合ってるよ。あっ、呼び方は椛で良い?後、俺は狗井零壱郎。狗井で良いよ。」
「〜〜!?やっぱりですか!なんで私がそんなことをしなくちゃいけないんですか!絶対に、何があってもそんなことしませんからね!」
などと言い出して、そっぽを向いたので俺は奥の手を使うことにした。
「そんなこと、言って良いのかな〜?別に良いけどぉ〜、そんな態度なら天魔の奴にクレームでも言ってやろっかな〜?それとも天狗は嘘つきだー!って言いふらそうかな〜?ねぇ、どっちが良い?何でもしてくれるって自分自身で言ったんだもんね〜?(ニヤリ)」
そう言って俺は実にゲスい微笑みを浮かべた。そうすると文が、
(うわ〜狗井さん、ゲスいな〜。ちょっと巻き込まれたら嫌だから、逃げよっかな〜?)
なんてことを思っているので文もついでにやる事にした。
「おう、文。さっき、言ってたっけ?まぁいいや、続きしてやるからこっち来い。」
と言って俺は文に向けて片手をチョイチョイっとした。
「は〜い、行きます〜。」
そう言うと文は俺の右隣に来て、羽根を文自身の前に持ってきた。
「椛。お前も後でこんなふうに撫でてやるからな?」
そう言いながら俺は、右手で文の羽根を撫でていった。
「そういや文?羽根が弱いとは聞いたけど、付け根とか羽根先とかで違いってあるの?」
「ん〜♪はい、あります〜。それぞれによっては違いますが、基本的にはそのどちらかです〜。ちなみに私はどっちも感じますよ〜。まぁそうなったのは狗井さんのせいなんですけどね?」
「おっ?この状態で俺にそんなこと言ってくるのか?それならもう加減しないからな?頑張って耐えろよ?まぁ椛が見ているからほどほどにしとくからな?それよ!」
そう言って俺は手の動きを早めた。そうすると文の反応がこれまではビクッとした感じだったのが「あはは」や「くすぐったいですって♬」とか、最終的には「ふんふふ〜〜ん♫〜〜〜〜」という感じになった。今では文は息を小さくして俺にもたれかかっている。………どうしてこうなった。椛も最初は両手で顔を覆っていたが途中から指の間から覗いてきたし、最後の方になるとガン見していた。撫でるだけなのに何か恥ずかしいことでもあるのだろうか。
「さて…」
そう言うと椛はビクッと怯えたように反応した。そんな反応を見せられると俺の中のS心が刺激されて、更に顔には加虐的な笑みが出てきた。
「椛?…お手。」
俺はもう一度、椛に同じ言葉を言った。椛は一瞬、差し出した手を引っ込めたが恐る恐るといった感じで俺の右手に左手を重ねてきた。




