登山
どうも皆さん、狗井です。狗井か、三沢、山田ペアどっちの話を書くか迷いまして、これからは交互に出していこうと、思います。
時は数分後、天狗山の頂上付近の屋敷の中。
「文、もう一度申してみよ。」
「はっ。とある男の居住権を頂きたく存じ上げました。」
「ふむ、その男の名は?」
「姓は狗井、名は零壱郎でございます。」
「文よ。一つ尋ねても良いか。」
「はっ、なんなりと。」
「その男はこの山の何処に住もうと言うのだ?」
「…あっ、いえ。この山では無く、周りの平地に家を建てることと、そこに住むことの許可が欲しいのであります。」
「何故私に許可を求めるのだ?」
「はい?」
「いやだからな?我ら天狗の縄張りはこの山であって、周りは我らの物では無いのだ。なのに何故、我に許可を求めるのだ?」
「失礼いたしました。そこまでは聞いておりません。」
「そうか。なら別に構わんだろう。まぁ、うるさくされるのは勘弁だがな。…して、その狗井とやらは、何処に?」
「おそらくこの山を登って天魔様に会いに来るかと。」
「そうか。それなら、他の天狗達に伝えねばな。うむ、もう下ってよいぞ。」
「はっ、それでは失礼致します。」
「あぁ、文。最後に一つだけ。」
「はい、何でしょう。」
「お前から見たそ奴の印象は?」
「こう言うのも憚られるものですが、そうですね、違和感…でしょうか。」
「…そうか。よし、今度こそ下って良いぞ。では、またな。」
「それでは。」
(ふむ。これまで文のやつはたくさんの者を見てきたはずだが、あやつから見て[違和感]…か。これは少々面倒ごとになるかもしれんの〜。)
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「さ〜て行きますか。」
こう呟いて山を登り始めたのは、狗井零壱郎こと、俺だ。文に頼んで、俺が来ることは知らせているはずなんだが…、まぁ大丈夫だろう。
そして山を登り始めて数分後、
「侵入者よ!ここが我ら天狗の長、天魔様の縄張りと知っての所業か!即刻、立ち去らなければ、斬る!」
そう言いながら白髪で白の犬耳と尻尾を生やした女性は、腰の刀を抜き、それをこちらに向けてきた。
(………あ〜や〜!!!どこか予想してたけど、やっぱり出来て無かったのかよ!…あいつ、後でどうしてくれようか。)
(ちなみにこの山の何処かにいる黒髪黒羽の女性は、今、この瞬間に途轍もない恐怖を感じたという。)
そんなことを考えていると、立ち去らなかったためか、白髪の女性が斬りかかってきた。それを俺は難なく躱す。そして、
「あのさ〜、質問なんだけどさ〜。」
「侵入者の話なんぞ、聞かん!」
「え〜、まぁいいや。それでさ〜、文から何か聞いてない〜?一応、天魔にも話は通ってる筈だし。そこらへんさ、ちょっと確認してくんない?」
「お前!侵入者である上、天魔様を呼び捨てだと!?ええい、お前は絶対に斬る!」
そう言いながら彼女は激しく刀を振り降ろしてきた。それを俺は余裕でキャッチ。能力で手を守っているから、切れてもいない。
「なっ!?は、離せ!」
「ハァ、もう一回だけ言うぞ。文から話を聞いて無いのか?それとも、ただ単にお前が聞いて無いだけか?まさかそんなことはないよな〜?犬走椛さん?」
「なっ!?何故お前が私の名前を知っている!?」
「そりゃあおめぇ、当たり前だろ。オタk……」
「あっ、居た!って、もうやってる!?ちょちょちょ、ちょ、ちょっと待ってくれませんか?狗井さん。ほら、椛も謝って。」
「なっ!何で私がこんな奴に!?いくら文さんでも、侵入者に謝るなんて、真っ平ごめんですよ!」
「彼は侵入者じゃなくて、天魔様のお客様として来てるの!」
「………えっ?」
「いいからほら、謝って。」
「は、はい!」
途中で文が入って来たが、どうやら椛に俺が来るということが、伝わって無かったらしい。
「あ、あの!先程までの数々の無礼、申し訳ございませんでした。」
「はぁ、やっと分かってくれたか。……ねぇ、一つだけお願いしても良い?聞いてくれたら、許すからさ。」
「はい!私が出来ることなら、何なりとお申し付け下さい。」
「文、さっき言ってたアレ、やっても良いよね?」
「あっ、アレをここでやるんですか?…まぁ、椛の失態ですし、仕方ないですよね。椛、頑張って!」
「あの〜先程からのアレとは?」
「ん?あぁ、アレっていうのはね…」
そして右手を出しながら、こう言った。
「お手。」
何処かキャラクター達の喋り方が可笑しかったら、教えて頂ければありがたいです。