表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カワミドリ  作者: 向井
第一章 都市伝説
9/63

第一章都市伝説 アカカラス

「誰か!!助けが必要な方いませんか!」



黒助は大声で呼びかけながら駆けていた。思っていたよりは被害は少なかった。


怪我人や逃げ遅れた人がいないか見て回っているが、皆かすり傷程度で己の足で逃げれている。


恐らく、斬の能力で人が集中しているエリアの赤紙は処理された・・・或いは犯罪組織アカカラスが爆弾設置が下手なだけなのか。



「だ・・・誰か・・・助け・・・」



黒助の耳にか細い声が聞こえた。



「今、行きます!!」



声の方向に向かうと、そこに足から血が大量に流していた女性がいた。



「突然自販機が爆発して・・・。」



足には破片が刺さり、歩くのは難しいだろう。



「大丈夫です・・・今治しますから、少し目を閉じていてください。」



女性は戸惑いながらも目を閉じる。


確かに斬や人吉のように強い能力は持っていない・・・だが。


黒助は女性の足に手をかざすと、優しい光が降り注ぐ。



「もう大丈夫だ、歩けるかい。」


「え、あ、はい・・・。」



目を開けた女性は自分の足を見て驚いた。


怪我どころか、破片すら足から消えていた。



「他に怪我している人いるか知らないかい。」


「もう少し進んだところから悲鳴は聞こえました。では、私はこれで・・・。」


「そうか、ありがとう。」



女性は逃げるようにそう言い残し、去った。


無理もない。


目を閉じている間にあれほどの大怪我を治した。


つまりは、目の前にいる男は超能力者だということだ。


人を治す以外のなんらかの能力を持っている可能性もある。


油断していれば、何されるか分かったもんじゃないだろう。



「僕は・・・これ以外の能はないけどね・・・。」



黒助は悲しげな表情を浮かべたが、今はそれどころじゃない。


一人も多くの人を助けなければならない。


女性の言ってた方向に進んだ。


そこは・・・



「これは・・・酷いな・・・。」



集中的に赤紙を設置されていたのか、一面焦げたような跡から煙が立っていた。



「うぅ・・・。」


「なっ・・・大丈夫ですか!!?」



その場所に一人、全身に火傷を負った者が倒れていた。


意識は失っているが、辛うじて息はしているが危険な状態だ。



「大丈夫・・・今助けるからな。」



黒助は先ほどと同様に手をかざし、治癒を始めた。


だが、それを見計らったように、一枚の赤紙がひらりと飛び、近くで着地し爆発した。



「おいおい・・・何者かと思ったら・・・お仲間じゃん。」



爆発を見届け、その場に現れたのは、両手にたくさんの赤紙を携えた男だった。



「随分かっこいいヒーローみたいな奴がいるなと思ったら・・・同じ能力者じゃんかよ。危うく殺すところだったよ。・・・で?あんた、今何してるの?」



男の視線の先では、怪我人を庇うように火傷の人に覆いかぶさった黒助がいた。


頭の何処か怪我したのか、額に血が流れ出ていた。



「そいつ、能力者じゃねぇ・・・能力なしのクズだ。本当は明後日にテロ決行のはずなんだがな、赤紙をばら撒く途中でそいつは絡んできやがったんだよ。ちょっと仲間との打ち合わせで仲間が能力使うところを見てよー、犯罪者が何してるんだって、缶を投げつけて来やがったんだよ・・・オマケにご丁寧に?警察まで呼んできてよ・・・。」



手の赤紙を握り潰しながら、



「誰が俺らを犯罪者に仕立て上げたんだぁぁぁあぁぁ!!!!てめぇーらみたいな能力なしのクズが俺等みたいな能力者をそうさせたんだろうが!!!!ただ能力を持って生まれてきただけなのによぉぉぉ!!!!俺らが何したってんだぁぁぁ!!!!」



手にした赤紙を天に撒く。



「だったらよぉ・・・お望みどおりにこの力を使って・・・犯罪で染めてあげてやるよ・・・。」



そして、黒助を睨みつけながら、



「だから・・・そこをどけ。」



だが、黒助は男に目もくれずに治癒を続けた。



「聞いてるのか、おい!!どけって言ってんだろ!お前も同じような事あっただろ!いくら人に!世界に!!優しくしようがあいつらは俺らを受け入れはしない!!俺ら超能力者の居場所は世界に存在しない!!なら、んな世界なんざぶっ壊してやるよ!!」



男は合図を送った。


その合図で男の仲間が赤紙を操作し、黒助の周りをぐるりと囲った。



「どく気がないのなら・・・クズもろとも死ね。来世があるのなら、せいぜい賢い生き方をしろよ。」



黒助は逃げる素振りもせずに、淡々と治癒を続けていた。


その目は生きるのを諦めた目ではない、男への怒りの目でもない。


ただ目の前の事に必死な真っ直ぐな目をスッと男に向けた。



「世界は平等だよ、僕ら能力者にも能力を持たない人にも。どちらにも人を傷つける力を持っているよ。それをどうするかは・・・僕らの行動次第だ。」


「・・・死ね!!!」



男は赤紙に信号を送った。


赤紙が爆破し、黒助もろとも吹き飛ばす・・・はずだったのだが、それは起きなかった。



「なっ・・・!!?」



赤紙は爆発する事なく、黒い空間に吸い込まれ消えた。



「クロを・・・傷つける奴は・・・」



少年の瞳には怒りと憎しみが宿り、



「許さないぃぃぃいぃぃぃ!!!!」




無数の黒い空間が出没させた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ