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ー序章ー 始まり
昔、昔・・・今より大昔の話だ。
ある土地に不思議な力を持つ男がいた。
男が地に手を触れれば緑が育ち、火の玉を操り、その掌からは水が零れ、空を仰げば雨が晴れ太陽が現れた。
男は自分と良く似た力を持った人間を十二人集め、国を作った。
男は王となり、十二人はその配下となった。
王と配下の十二人衆の不思議な力のお陰で国は栄え、豊かな国となった。
王には友人がいた。
何の力も持たぬただの人間だったが、その心優しさに触れた王は大層気に入り、そばに置くようになった。
だがある日、その友人は・・・王を刺した。
王は亡くなってしまったのである。
十二人衆は悲しみ、怒り、憎しみに囚われた。
仕えた王が信頼していた何も力の持たぬ"ただの人間"に殺されたのである。
力を持つ者への嫉妬か・・・力持つ者への恐れか・・・
十二人衆は誓った。
力を持たぬ者への復讐を。
・・・遠い未来で王が復活するその時まで・・・