第1話 これから旅に出るんだと思う
TVのスイッチを消した後、もうひと眠りしようと寝室に向かった。
世は日曜日である。
ベットに伏して、心地いい微睡みの中に堕ちかけていた時
「ーーーッ!」
枕元に置いておいた携帯のバイブレーションに現実へと連れ戻された。
「ックソ!誰だよ。」
携帯の画面には身に覚えのない番号からだった。
普段なら無視して、携帯の電源を落とすところだが、なにぶん安寧のひと時を奪われた腹いせに1つ文句を言ってやろうと電話に出てしまった。
「もしもし。どちらさんで…す……か?」
やられた。
電話に出た途端、視界は俺の部屋から一変して秘密結社の会議を行うような薄暗い部屋へと切り替わった。
「やあやあ!君が御堂 恒だね??」
(雰囲気をぶち壊す快活さだな。)
「それがなんだ?ってかそもそもどーやって……いや固有能力か…。」
「ピンポン!ピンポン!私のじゃないけど、誰かさんの固有能力だよ!」
(その言い方だとあんたも持ってるのかい!固有能力って1000万人に1人っておそわったんだが?)
「んで、その選ばれし固有能力持ちのお方が私になんの御用でしょうか?」
最大限嫌みたらしくいってやったぜ!
「その前に自己紹介をしよう! 私の名前は百瀬 百合!みんなひゃくひゃくさんて呼ぶよ!」
(あだ名とかどうでもいいし!目的言えし!でもどこかで聞いた名だな。)
「あ!あんた神樂坂 椎名の側仕えしてるやつか!通りで名前を聞いた事があったのか。」
「またまたピンポン!ピンポン!正解した恒くんにはここに呼んだ理由を教えてあげよう!」
(呼ばれたというより拉致られただな。)
そう心の中で反論していると、急に彼女 百瀬 百合の顔が険しいものへと変わった。
「お願い!この世界を守るために、世界を繋いで!」
「へ?それってどうゆう…。」
「さっき中継見てたでしょ?椎名様の説得だけでは、他種族は協力してはくれないの!」
(あ〜、あの後の説得は失敗したのか)
「つまりは俺に他種族を説得し、協力関係を築け と言いたいんだね?」
「よ、よく今の会話だけで分かったわね。」
(自分で言っちゃ世話ないわな)
「話は分かった。」
「そ、それじゃあ!」
「だが断る。」
「え、な、なんでよ!」
「まず、何故俺なんだ?他にも適任者はいるだろう?」
「他種族、特に竜人族と魔族を説得するにはそれ相応の力がいるわ!君、SSランクでしょ?」
(っち、知ってたか。)
世界にも数えるほどしかいないとされるSSランク。
剣術・体術・魔術の全てが一流以上の力を持ってしてもSランクにはたどり着けない。
Sランクの壁を超えるには固有能力かまたはそれに準じる力を持っていないと超えられない。
俺はその壁を2枚も越えている。
ちなみに俺は固有能力もってないよ!
「どうか君のその雷神の力で世界を1つに」