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予想外の提案

PVとか調べた事なかったんですが、なんか15万突破してました……えぇ(困惑


 「君らと同じ、冒険者さ」


 君らと同じ?


 「あの、どうして私たちが冒険者だと知っているんですか?」


 気になったので聞いてみた。


 「実は、ギルドマスターに言われてきたんだ。もしかしたら助けがいるかも知れないってね」

 「そうだったんですか……」


 帰ったらギルドマスターにお礼をしないとな。

 この人が来てくれなかったら本当に危なかった。


 それにしても……この人、さっきの魔の者とは別の意味でヤバい気がする。

 全く実力がわからないのだ。

 この世界に来てから様々な人に会い、だんだんとある程度相手の実力を推測出来るようになってきている。


 この人は、俺のには『理解できない領域』にいる。

 そんな風に感じるのだ。


 そして驚くべき事に、俺はこの人を知っている。

 ……多分。


 「間違いだったらごめんなさい。もしかして……アルシオンさんですか?」

 「え?」

 「お?よくわかったね」


 横で広が驚いている。


 「えっと、さっき使っていた『アクセラレーション』って、加速させる魔法ですよね?時魔法を使える冒険者となると、私はアルシオンさんしか知らないです」

 「どうやって知ったんだい?」

 「……ギルドの資料室からです」

 「なるほど、君はなかなか勤勉なようだ。うんうん、勤勉な冒険者は長生きするからね。いいことだ」


 たしか、ランクはAだったはず。

 ……本当に?絶対もっと上だと思うんだけど。


 「いつの間に……」

 「あれだよ、強い冒険者の人たちってどんな能力を持ってるのかなって気になった事があったんだよ。まぁ……想像以上だったけど……」


 さっきの攻撃が本気だったのか、それとも手を抜いていたのか。

 俺にはそれすらも分からない。


 俺たちは、ここまで行けるのだろうか?


 強くなるためにこうする事を選んだのに、全く力が足りていない。

 今回は運が良かっただけ。

 アルシオンさんが来てくれなければ死んでいた。


 「…とりあえず、ここはもう大丈夫そうだから街に戻ってギルドに報告しなといけないね。俺は先に街に行っているよ。それじゃあね」


 そう言って、アルシオンさんは姿を消した。


 「……帰ろうか」

 「うん……」


 俺たちは街へ戻ることにした。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 side.アルシオン


 「それで、どうだった?」

 「どうだったって、何が?」


 俺はギルドマスターの部屋で寛ぎながらギルドマスターの質問の意味を問う。


 「あの冒険者の四人はどうだった、って聞いているんだ」

 「……なぁ、ギルドマスター。その四人の誰かに、トンデモない大爆発を起こせる奴っているか?」

 「俺はBランク上位程度の実力があるという事しかしらん」

 「そうか……」


 戦場が消し飛ぶ。

 よくある事だ。

 圧倒的な力を持つものが最低でも二人居れば、必然的にその戦闘は激化する。

 その際に周囲が消し飛ぶのはよくある事だ。


 ……あの巨大な衝撃の跡はなんだ?

 その衝撃は街まで届いていた。


 「さっきの衝撃を覚えているか?」

 「あぁ、あれには流石に焦ったぞ。だが、魔の者は倒したのだろう?」

 「……あの衝撃は魔の者の仕業じゃない」

 「なんだと?」


 俺にはわかる。

 あの大地に残された跡を見れば……


 「何となく分かるんだ。あれだけの規模の爆発が起きたにも関わらず、魔力の残痕が殆ど残っていなかった。恐らく、あの爆発は何かもっと別の……魔法によって起こされた物ではなく、何かの力で引き起こされた物だ」

 「……要はあれか?魔法で火を起こしたのではなく、薪と木の棒をこすって火を起こした時の違いみたいなものか?」

 「大体あってる」

 「……そんな事が可能なのか?そもそも、それだけの事をあの四人の内の誰かが出来ると?」

 「俺はそう見ている」


 殆どが直感だ。

 後はこじ付けに過ぎない。


 だが、俺の中の何かが、『それで間違いない』と言っているのだ。


 「あの規模の攻撃は、Sランクでもごく一部……それこそ、『大賢者だいけんじゃ』や『黒雷帝こくらいてい』ぐらいしか思いつかない。それほどまでに異常だ」

 「……そうか」


 他に居た勇者がやった、と言う線は薄いだろう。

 あの『現象』を魔の者が起こしたとも考えにくい。


 今まで様々な魔の者と戦ってきたが、あれは魔の者の中にある『本質』からかけ離れている。


 「……その推測は、あながち間違いでもないかもしれん」

 「なんだと?」

 「以前、この街で誘拐事件が起こった。かなり大規模な物でな。ガルマルさえ雇われていた」

 「何!?」


 ガルマル……一度戦ったことがある。

 アイツは戦いが上手いのだ。


 実力は明らかにこちらが上だったのに、奴にはまんまと逃げられた。

 奴は自身の実力を理解している。

 だからこそ上手いのだ。


 厄介な奴だ。

 未だに懸賞金は上がり続けているようだしな。


 「その誘拐事件は、とある少年と少女の手で解決された」

 「少年と、少女?」

 「そうだ。件のパーティーの四人の内の二人だ」

 「!?」

 「ガルマルと交戦して生き残ったようでな。実は、そのころから目を付けていたんだ」

 「まてまて、その話と俺の推測の話にどんな関係がある?」

 「交戦した場所は、とある屋敷の中。その屋敷は内側から『強い衝撃』を受けたように穴だらけになっていた」

 「……つまり、その衝撃と関係があると?」

 「振動までは来なかったが、大きく響くような爆発音が連続的に響いてな。それのお陰で衛兵が出動し、融解が発覚した、と言ったところだ」


 ……一度、見に行ってみるのもいいかもしれない。

 それにしても、あのガルマルと……


 「二人がかりとは言え、その二人は凄いな」

 「殆ど一人で戦った様だぞ?」

 「はぁ!?」


 嘘だろ!?


 「そろそろ戻ってくるだろう。本人たちに聞いてはどうだ?」

 「それが一番、か」


 その前に、例の屋敷に行ってみるとするか。


 「ちょっと出てくる。あぁ、それと……依頼、引き受けさせてもらうよ」

 「助かる。魔の者達のせいで、街の腕利きの冒険者が壊滅してな」

 「ま、しばらくはこの街に滞在するから、何か起こっても大丈夫だろう」

 「お前ほど心強い奴はいない。頼む」

 「あまり期待しすぎないでくれ……」


 さて、それじゃあ行ってみますかね。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 side.真宙


 俺たちは街のギルドに戻ってきた。


 「よく戻ってきてくれた。シオンから聞いている」

 「シオン?」


 シオンとは誰だろう?


 「あぁ~、アルシオンのあだ名みたいなものだ」

 「そうでしたか」


 あの人知り合いにはそんな風に呼ばれているのか。


 「それで……他の勇者たちは?」

 「魔の者は倒したので帰ります。だそうですよ?」

 「そ、そうか……」


 広がそう言うと、ギルドマスターは少しホッとしたような顔をした。

 何を考えていたのだろうか。


 「さて、それでは今回の報酬をと行きたいところなのだが、今すぐに渡す、という事が出来なくなってしまってな」

 「なぜです?」


 広がマスターに問う。

 というか報酬あったんだ。


 「シオンから話を聞いた感じだと、あらかじめ用意しておいた金額では圧倒的に足りないと思ってな。ギルドの貸金庫を使えればいいのだが……いや、そうか!!その手があったか!!」


 ドンッ、とギルドマスターが机に手をつきながら勢いよく立ち上がった。


 「……すまん、つい興奮してしまった」

 「い、いえ、気にしないでください」

 「(ビックリしたね……)」

 「(なんだろうね?)」

 「(さあ?……)」


 ギルドマスターは軽く咳払いをして仕切り直しをした。


 「でだ。君たちのランクをBに上げようと思う」

 「え?でも、依頼を殆ど受けていませんよ?」

 「いまやってきたばかりじゃないか。緊急依頼をな。これを使ってBランクに上げてしまう。Bランクからはギルドの貸金庫を使う事が出来る。そうすれば、直接報酬を渡さなくても、貸金庫の貯金に記録を入れておけば、そこから引き落とせるように出来る。これで解決だ。どうだ!!」


 どうだって……


 「えぇーっと、俺はいいと思うよ?貸金庫が使えるようになるのは便利だと思うし」


 とは広。

 でも、今のままでも不便をしている訳じゃないんだよね。

 亜空間倉庫にお金は入れてるし。


 それのせいで、パーティー資金は俺が管理していたりする。


 「まぁ、いいと思うよ?別に不都合はないと思うし」

 「私もそれでいいと思う」

 「同じく~」


 こうして、俺たちのランクが上がることが確定した。


 それらの手続きを終え、口座にお金が入った事を確認した後、ギルドマスターから思わぬ提案を言い渡される。


 「お前たち、ちょっと鍛えてみないか?シオンに訓練してもらうといい。奴の了解はとっておいたぞ」

 「「「「は?」」」」

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