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本当の始まり

いやもう本当に申し訳ない。

また時間が空いてしまいました。

生活落ち着く詐欺ですねホント……

もうそろそろ愛想をつかれたんじゃないかとビクビクしながら投稿しました。

文章の書き方とかに変化があったりしますが、最後までやり遂げようと思います。

 「ひ、広?どうしたんだよ……」


 何だ?広が凄く怒っている。


 そして次の瞬間……


 ドカッ!!


 「グアッ!?」


 広が劉軌をいきなり殴り飛ばした。


 「広?」


 広は俺の呼び声に答えない。

 そのまま広は劉軌に近づいていく。


 「大石……ッ、僕を殴ってただで済むと「黙れ」ッ!?」


 広は劉軌の言葉を遮り、そのまま続ける。


 「いいか劉軌、よく聞けよ。こんど『俺の真宙』に暴言を吐いてみろ。真宙が気にしなくても俺がゆるさねえからな。次はこの程度じゃ済まさねぇぞ……わかったか?」

 「お、前ッ」


 何か広が凄い事言い出した。

 でも、そっかぁ。


 「その……ありがとう、広」

 「……いや、ごめん。余計な事しちゃったかな」

 「そんなことないよ。嬉しかったから」

 「……気にするなよ」


 すると、後ろからこんな会話が聞こえた。


 「あの、安田さん?あの二人は……」

 「お察しの通りだよ、遠藤君」

 「でも、ああなったのつい最近なんだよねぇ」

 「マジで?嘘だろ……」

 「本当だよ。少なくとも、表向きであんな風になったのはねぇ。私たちはもっと前からそういう関係なんじゃないかって思ってたんだけど」

 「そうだよね。でも多分、本当につい最近だと思うよ?この間、お付き合いすることにしましたって報告に来たから」

 「……砂糖吐きそう」

 「同じく……」


 このやろう……


 「フンッ、ゴミが身を寄せ合っている間に気でも狂ったんじゃないか?」

 「死ね」

 「あっ、待っ」


 ドォオン!!!!


 こりもせずに暴言を吐いた劉軌を、俺が止める前に広が魔力を込めた蹴りで劉軌の顔を蹴り飛ばした。


 「……やっぱ、劉軌は連れてこない方が良かったな」

 「そうですね。次があったら同行することを拒否しましょう」


 吉田と遠藤がそんなことを言っている。


 見た目も性格も真面目不真面目の正反対なのに前よりも仲良くなっている気がする。

 何だか面白い二人だ。


 「『スリープヒール』」


 俺は劉軌に魔法をかける。


 「なるほど」


 広は俺が何をしたのか分かったようだ。


 「逢沢、何をしたんだ?」

 「魔法をかけたんだよ。簡単に言うと、深く安眠出来る魔法だよ」

 「ん?どういう事だ?」

 「つまり、劉軌は安らかに眠って暫く覚めることは無い、という事ですよ。そうですね、逢沢さん?」

 「そういう事」


 吉田は遠藤の言葉でようやく理解できたらしい。


 「……そうか、君たちも勇者だったのか」


 ギルドマスターだ。

 流石にバレたらしい。


 「すまん、俺のせいだな」

 「気にする必要はないよ」

 「そうだよ。広君が怒ってなかったら私が殺っちゃってたよ」

 「あれの言い方はカチンとくるよね~」

 「あ、あぁ。ありがとう、みんな」


 広が詰まりながら感謝を伝える。


 広も安田さんの発言に違和感を感じたのだろうか?

 ……最近安田さんが過激になってきた気がする。

 気のせいだと思いたい……。


 「しかし……そうか」


 ギルドマスターは少し考え込むようなしぐさをしている。


 「先ほど魔の者を戦ったことがあるといった君たちに一つ問いたい。魔の者は……倒せるのか?」

 「不可能ではない……としか言えませんね。あくまで、ここにいる全員が協力してくれるのであれば、の話ですが……」


 広がギルドマスターにそう答え、来てくれたみんなの方を見る。


 「おいおい、俺たちが何のためにここに来たと思ってんだ?」

 「そうですね。当然、僕たち全員協力しますよ。大方、大石君達が城を出たのは、早く強くなりたかったからでしょう?なら、城に残った僕たちだって強くなっているっていう所を見せてあげますよ」


 吉田、遠藤の二人がそう言うと、他のメンバーたちもそれに同調するように声を上げた。


 これは本当に頼もしい限りだ。


 こうして、魔の者を討伐することが決まり、具体的にどうするのかを迅速に話し合った。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 「なぁ遠藤」

 「なんです?吉田君」


 俺たちのすぐそばで二人が話している。


 現在、俺たちは森の中を移動中だ。

 目標はもちろん、魔の者の元に行き討伐する事。


 結局、魔の者の討伐は俺たち四人を含めた勇者メンバーで向かう事になった。

 残念ながら劉軌もいる。


 流石勇者を言ったところか、思ったよりも早く目覚めてしまった。

 非常に残念だ。


 「俺さ、こんな時なんだけど、ワクワクしてんだ」

 「何を言っているんですか。恐らく今までの戦いの中で最もつらい物になるかもしれませんよ?」

 「そんなことは分かってるさ。それでも、何故かワクワクするんだよ」

 「……実を言うと、僕もです」

 「ハハッ!!だろ!?なんかこう、気が高ぶるっていうかさ!!」


 実に楽しそうな二人だ。

 

 「あの二人、実は小学生のころから一緒らしいぞ?」

 「え?そうなの?」


 広が教えてくれた。

 これは驚きだ。


 「俺たちと同じだね」

 「そうだな。……アイツらじゃないけどさ、実は俺も、結構高ぶってるんだ」

 「そうなの?」

 「あぁ……多分、皆と一緒だからだと思う。俺たちが居るのって、異世界だろ?俺たちの故郷を知っているのは、勇者メンバーだけ。何だか、つながりみたいなのを感じるんだ。多分、これが『仲間』なんじゃないかなってさ」

 「……そっか」


 そう聞くと、何だかそんな気がしてくる。


 でもそうだ。

 一緒に召喚されてしまったクラスメイト達だけが、この世界での数少ない理解者であり、仲間なんだ。


 「そうだね……なんだか、そんな気がするよ」

 「だろ?」

 「でも……」

 「?」

 「俺は別に、広と一緒に居られれば、それでいいと思っているぞ?」

 「…………」


 広の顔が固まってしまった。

 何かおかしい事を言っただろうか?


 「……そういうの反則だと思うんだよ」

 「え?何が」

 「……明希ちゃん、あたし砂糖吐きそう」

 「私もだよ……」


 周りを見ると、他にも数名二人と似たような表情をしている。

 誰だ今爆発しろって言った奴、聞こえてるぞ。


 そんなつもりは無かったんだが……


 「よくそういう事素直に言えるよな。真宙のそういうとこは本当に尊敬するよ」

 「……別に恥ずかしい事じゃないよ?『好きな人』にそういう気持ちを伝えるのは大切な事だと思うし、自分自身のそういう気持ちに嘘をつきたくないし、大切にしたいと思ってるから」

 「……やっぱ、真宙は凄いよ」


 えぇ……別に、考え方は変わっていない。

 俺は召喚される前からこういう考え方で生きている。


 正直に思いを伝える事を、怖いと思わない訳じゃない。

 俺はただ、『正直に伝えた』だけで壊れるような関係なんて要らないだけだ。

 そんな軽い物に意味はない。

 大切な人が沢山いる必要なんてないのだ。

 素直になりたいと思える人が、一人でもいれば、それだけで幸せに生きられるものだ。


 少なくとも、俺はそうやって生きてきた。

 きっと、これからも変わらないだろう。


 「なんか……あそこフラグっぽい話してて怖いんだけど」

 「なら、何かあったら僕たちで助けてあげましょう」

 「……ハハッ、そうだな!!最っ高にカッコよく決めてやろう!!」

 「ええ、クールにいきましょう」


 あっちはあっちで、お互いに拳を合わせている。

 あれが男の友情か。アツいな。


 「ッ!?全員!!気を引き締めろ!!近づいて来るぞ!!」


 広が突然そう叫び、戦闘態勢に入る。

 直感か。


 俺たちにとってはいつもの事なので、落ち着いて戦闘態勢に入る。


 そんな俺たちを見て、周りの奴らも慌てて戦闘態勢に入った。


 「なんだよ。俺は何も感じないぞ。どうせゴミの戯言だろ?」

 「劉軌もさっさと体勢を整えろ!!急げって!!」


 馬鹿かアイツは。

 吉田が注意した事で、武器を抜くぐらいはしたようだ。

 吉田が居て良かったな。


 ”……………”


 この感覚、忘れる筈もない。


 「いよいよだね」

 「あぁ、嫌な感じだ」

 「うぅ、緊張してきた」

 「大丈夫だよ、美紀ちゃんは私が守るから、ね?」

 「もちろん、俺だって精いっぱいやるぞ。俺はこのパーティーのメインの前衛だからな」

 「回復なら任せてよ。ガンガンやるよ」


 それぞれが、自分に言い聞かせるように発する。


 「いつも通りやろう。俺たちなら出来るさ」

 「頼もしいリーダーだ」

 「真宙君の彼氏だもんね」

 「ねー」

 「あっはっは……」


 こんな時まで茶化さないでくれよ……人に言われるのと自分が言うのは違うんだ……。


 俺たち全員が体勢を整えた瞬間、ついに奴は現れた。


 ”イア……イア……”

次回の執筆も始めています。

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