ランクアップ試験・前編
遅くなってごめんなさい。
暫くはとくに予定が無いので次は早めに投稿できると思います。
「ランクアップ試験を受けてみませんか?」
初めてダンジョンに行ってから一か月ほどたった。
俺たちは今、冒険者ギルドで呼び止められていた。
ダンジョンに行っては素材を売る、を繰り返していたので実力はかなり上がっている。
Bランクでもやっていけるだけの実力はあるだろう。
だが、まったくと言っていいほどクエストを受けていないのでDランクのままなのである。
「試験・・・ですか」
「はい。あなた方は現在Dランクですが実力はそれ以上であると思われます。よってランクアップの資格あり、とギルドで判断させていただきました」
広と受付の会話を横で聞く。
「試験の内容は?」
「今回の試験内容は盗賊の討伐です。近頃、この街の周辺で物資の強奪などの被害が出てきまして、盗賊については生き残った被害者からの情報です。商人を護衛していた冒険者からも報告が上がっているので、盗賊がいるのは間違いありません」
「試験はいつ、どのように行われるんです?」
「試験日は明日、参加者は3人組のパーティが2組、ソロの方が一人です。そこに試験官が一人、同行する事になります」
ということは、俺たちが入ったら合計12人になるのか、結構な人数だな。
「どうしようか?」
広が後ろの俺たちに聞いてくる。
「いいと思うよ。対人戦もそろそろ経験しないとね」
俺は経験済みだけどな。
「私もいいと思うよ」
「同じく~」
安田さんと井村さんも賛成する。
「じゃあ決まりだな」
「それでは試験に参加するということでよろしいですね?」
「はい」
受付さんが確認を取り、広が了承する。
「それでは、明日の午前8時に街の門に集合してください」
「わかりました」
俺たちはギルドを出る。
特に予定もないので宿に戻った。
そのまま部屋に行って、最近始めた訓練をやる。
「お?また魔法の訓練始めるのか?」
「あぁ、攻撃魔法も使えるようになりたいからな」
そう、最近始めたのは魔法の訓練だ。
魔法について書かれた本を買って、それに書かれた通りにやっている。
その本によると魔法には相性があり、例えば火魔法を使える人は風魔法しか新しく覚えることが出来ないなどがあるようだ。
光魔法に関しては、火と水の魔法と相性がいいらしいが、火を覚えると水が覚えられないらしく、逆でも同じようだ。
俺は攻撃魔法が使えるようになりたいので、火魔法を覚えるつもりだがなかなか覚えない。
魔力を手先に集中して、その魔力を火に変換できればスキルとして魔法を覚えるのだが、火が出来ない。
そういえば初めて火おこしした時もこんな感じだったな。
どんなに木をこすっても煙が出ないし、しかも周りでやってる奴はどんどん火を起こしてるしで時間かけて何とかつけたんだよなぁ。
あの時火おこしのやり方教えてた人、美人なお姉さんだったなぁ。
「おい、真宙!手!手!」
「ん?うぉ!あぶな!」
手から思いっきり火が出てた。
かるく混乱しながらステータスを確認する。
・・・あった。
まさかこんな形で覚えるとは・・・お姉さんありがとう。
「いきなりついたな・・・手、大丈夫だったか?なんか考え事もしてたみたいだし」
「あぁ、美人なお姉さんが火のつけ方を教えてくれたんだ」
「・・・お、おう、そうか。・・・・大丈夫か?」
「ん?問題ないよ」
「そうか・・・ならいいんだけど」
でもまぁ、使えるようにはなったけどまだ実戦では使えないな。
そのあとは明日に備えて、早めに夕食を食べて寝た。
朝。
俺たちは街の門に集合した。
周りを見た感じ、まだ誰も集まっていないようだ。
少しすると、一人の男が話しかけてきた。
「お前たちはランクアップの試験を受ける冒険者で間違いないか?」
背の高いごつい男だ。
いかにも戦士というような見た目をしている。
「はい、間違いありません」
広が答える。
「そうか、俺はBランク冒険者のオスカーだ。今回の試験官だ」
試験官だった。
そしてまさかのBランク。
俺たちは現在Dランクなので二つ上だ。
それから少しして、ようやく参加者が全員集まった。
「それじゃあ俺から、この試験についての説明を行う」
オスカーが話始める。
「といっても説明することはそんなにない。試験中、俺はめったなことがない限り口出しはしない。やり方もお前たちに任せる。だが、今回はいつもと違うメンバーが一緒にいることを忘れるな。以上だ。それじゃあ移動するぞ」
話が終わった。
どういう基準で合否が出るのかよくわからないな。
まぁ、出来るだけ評価されるような行動をとればいいか。
移動は歩きのようで、街から歩いて盗賊の住処らしきところに向かう。
目的地は歩いて一時間ほどの場所にある森だった。
さて、他の参加者はどうするのか。
3人組のパーティ、片方は女性だけだな。
もう片方は男だけ、極端だな。
ソロの人も男だ。
俺たちは二手に分かれて声をかけに行った。
戦闘の際にある程度連帯をとって戦えないか交渉するためだ。
俺と広はソロの人と男3人組に声をかけて、安田さんと井村さんには女性のみのパーティに声をかけてもらった。
話を終えたので一旦四人で集まる。
「そっちはどうだった?」
俺は安田さんたちに結果を聞いた。
「こっちは大丈夫だったよ。もともと声をかけるつもりだったから丁度良かったって言ってたよ。そっちはどうだった?」
「男3人組はダメだった。歳も近そうだったしいけるかなって思ったんだけど、助けはいらないとか言って断られた。この大人数だと勝手に動かれたら邪魔だから声かけたのに理解してなかった。性格が悪いというよりも、ただの馬鹿だった。ソロの人は即答で了解してくれた。戦闘の際は合わせるって言ってたから大丈夫だとは思う」
そんなこんな話しているうちに男3人組は勝手に森の中に入っていった。
俺たちは了承してくれたメンバーに声をかけて警戒しながら森の中に入っていった。




