ダンジョン初日・後編
また前回から開いてしまって申し訳ない・・・。
「よし、行こう!」
広の掛け声にみんなが頷く。
現在、10階層のボス部屋の前。
結局、7階層からずっとコボルトしか出てこなかった。
だが、出てくるコボルトの持っている武器がそれぞれ違ったり、連帯を組んでくるものまでいた。
弓だけでなく、投石してくるコボルトまで現れるほどだ。
俺たちは、扉を開けて中に入る。
”ワオオォォォォォォォン!!”
扉を開けた瞬間、ボス部屋に犬の鳴き声が響く。
「やっぱりコボルトだったね!」
井村さんがそう言って魔法の詠唱を始める。
道中、嫌になるほどコボルトと戦ってきたので、ボスがコボルトの類の奴だとある程度予測していた。
そして、どうやら今回のボス戦は複数が相手の様だ。
相手の数は12体。
四つの隊に分かれている。
1部隊に一体、上位種のような奴がいる。
4体いる上位種の内、2体が近接型でもう2体が遠距離、それも魔法を使ってきそうだ。
魔法使い型の方は、2体ずつ弓を持っているコボルトがそばにいる。
どうやら護衛の様だ。
前の方で広と安田さんが二人で、合計6体の敵を抑えている間に、俺と井村さんは後ろの敵を始末しなければいけない。
”ボウッ!!”
先にコボルトの魔法使いに撃たれてしまった。
幸いな事に、狙ったのは前にいる二人ではなく、後ろの俺たちを狙ったようだ。
俺は井村さんの少し前に立ち、飛んできた複数の火の玉を”倉庫”で回収する。
「お返しだ!!」
俺は倉庫から飛んできた魔法をそのまま返す。
ついでに何発か、ストックしておいた魔法も撃っておく。
「くらえ!!」
魔法の詠唱が終わった井村さんが叫ぶと、地面から氷の棘が無数に突き出てコボルトを貫く。
これで上位種一体とザコ二体を倒した。
いまだにこちらを狙っている遠距離型の部隊を相手にしようとすると、
「真宙すまん!一体そっちに抜けた!!」
広が叫んだので見てみると、近接型の上位種と思われる一体がこちらに向かっている。
魔法使い型のコボルトは、まだこちらを狙っている。
「井村さん!!俺はいま来てるのを仕留めるから、遠距離型の方を頼む!!」
「りょーかい!!」
井村さんに声をかけてから、俺は長巻を構えてこちらに向かってるコボルトに向かう。
”ガァァァ!!”
コボルトが吠えながら武器を振ってくる。
このコボルトが持っている武器は両手剣だ。
俺はコボルトの両手剣を受け流す。
「っ!!」
攻撃を逸らすことは出来たが、勢いをうまく殺しきれずに、いくらか腕に衝撃が来てしまった。
一応、長巻術という長巻専用のスキルを持ってはいるが、まだレベルが低いせいでうまく扱えていない。
相手のコボルトの方が、筋力もスキルのレベルも上の様だ。
明らかに分が悪い。
「はっ!!」
俺はコボルトの横で空気を素早く圧縮して、横から衝撃波を放つ。
”ガアァァ”
コボルトは大きくバランスを崩す。
「おらぁ!!!」
俺はバランスを崩したコボルトに向かて切りかかる。
キィン!!
「は?」
コボルトはバランスを崩しながらも俺の攻撃を受け流し、勢いよく後ろに飛びのき体勢を立て直す。
だが、俺もただそれを見ているほど素人じゃない。
コボルトが体勢を立て直す隙に倉庫を開き、ストックしている魔法を乱射する。
”ギャン!!”
コボルトは大量に魔法をくらい大きく怯む。
その隙を狙ってもう一度切りかかる。
「はぁ!!!」
”ギャゥゥ・・・・”
胴体を大きく切られたコボルトは動かなくなった。
「・・・・はぁ、こんなにキツイとは思わなかった」
俺は周りを見渡す。
井村さんの方はもう決着がつきそうだ。
広たちの方はかなり優勢になっている。もう少しで終わりそうだ。
俺は念のため、広たちの方に持続回復の魔法をかける。
俺は倒したコボルトを回収しようと視点を戻して驚愕した。
手に持っていた長巻に血が”集まっていた”のだ。
いつもなら、傷口に当てるなり刺すなりしないと血を吸えなかったのに、長巻の方に血が勝手に集まっているのだ。
「・・・・・キモイ」
やっぱり気持ち悪かった。
「やっぱり強くなってるのかな、この武器・・・」
以前は気にして見ないと気付かなかった色の変化が、今でははっきりとわかるようになっている。
強くなる分にはいいのだが、呪われないか心配だ。
長巻が血を吸い終わったころには井村さんも広たちの方も決着がついていた。
残りの11体のコボルトを回収して集まった。
「疲れた~」
「そうだね、結構時間もかかっちゃったからね」
井村さんと安田さんが話している。
「真宙、お疲れ!」
「あぁ、広もお疲れ様」
俺たちはみんなで声を掛け合って、ようやくダンジョンから出ることにした。
ボス部屋を進むと、小さな小部屋についた。
「これが転移の魔法陣か・・・」
それらしいのを見つけた。
その上に立つと、急に視界が歪み気が付いたら別の部屋にいた。
その部屋を出てみると、1階層の入り口の階段付近に出た。
「来たときはこんな通路なかったと思うけど・・・」
安田さんが不思議そうにつぶやいている。
おそらく他の階層も同じようになっているのだろう。
俺たちはダンジョンの外に出た。
外の空気がとてもおいしく感じる。
俺たちはギルドには向かわずに宿に向かって休むことにした。
さすがに疲れてしまった。
執筆しながらいろいろ模索するも、まったく成長しない作者であった・・・。




