ダンジョン初日・中編
今回は少し短いです。
俺たちはダンジョンの中を進んでいる。
”ワォーーーーン”
「またコボルトか!」
俺は思わず声を上げる。
ここは7階層目。
コボルトとは、ゴブリンくらいの背丈の魔物で犬の頭が付いているのが特徴だ。
一度に襲ってくる数はゴブリンと変わらないが、素早さがゴブリンとは段違いだ。
襲ってくるコボルトを倒す。
「ふぅ、コボルト自体は弱いけど、こうも断続的に来られると休めないな。常に警戒しているから、体力的にも精神的にも消耗が激しい」
「そうだね。せめて、どこか休める場所を見つけられればいいんだけど・・」
戦闘が終わって、広と安田さんが話している。
食料などの消耗品は俺の亜空間倉庫に買いためてあるから問題ないが、まともな休憩が取れないため、精神的な疲れがたまっている。
コボルトを回収してから、休める場所を求めて移動する。
”ワォーーーーン”
少し移動したら、またコボルトの鳴き声が聞こえた。
「またか!」
広が思わず声を上げる。
ダンジョンの中なので、音が響いてどこから襲われるか分かりにくい。
それぞれが、別々の方向を警戒する。
「くっ・・なんだ?」
突然、右足に激痛が走る。
痛みのする場所を見てみると、脹脛に矢が刺さっていた。
「みんな気を付けろ!弓持ちが混じってるぞ!!」
俺は皆に注意を促す。
「真宙は大丈夫なのか!?」
「大丈夫、これくらいならすぐに治せるよ」
広に心配されたが、大丈夫と返事をする。
”ワォーーーーン”
「見つけた!!」
井村さんがコボルトを見つけたようだ。
「数は目視で6体!弓持ちがいない!矢に警戒しながら近づいて来たのを仕留めるぞ!!」
広が皆に指示を出す。
俺はいったん下がり、足の治療をする。
脹脛に刺さった矢を抜いた。
「くっ・・・思ったより痛てぇ・・『ハイヒール』」
出血が止まり、傷口が塞がる。
広たちはすでにコボルトとの戦闘に入っている。
「広!俺は弓持ちをやる!」
「了解!任せた!!」
俺は声をかけてから行動に移す。
矢が飛んできた方向を見てもコボルトは見当たらない。
どうやら陰になっている所に隠れているようだ。
俺は亜空間倉庫から火の魔法を一発撃ち出す。
飛んで行った火の玉は離れた場所を照らし、隠れていたコボルトをはっきりと見つけることが出来た。
俺はコボルトがいた場所に向かって、火の玉を撃つ。
当たるか不安だったので、念のため三発撃っておく。
”キャン!”
どうやら当たったようだ。
もう一度火の玉を打ち出し、生きているかどうかを確認する。
「・・・・仕留めたか」
どうやらコボルトは、仰向けになって倒れているようだ。
「弓持ち仕留めたぞ!」
「あぁ!こっちも丁度、終わったところだ!」
どうやら広たちも無事に終わったらしい。
俺は仕留めたコボルトを回収しに行く。
「うわぁ・・・」
俺の仕留めたコボルトは、火の玉が顔面にクリーンヒットしたようで、焼けただれて大変なことになっていた。
とりあえず回収する。
広たちの所に戻り、皆が仕留めたコボルトも回収する。
「まさか弓を持ってるコボルトまで出てくるとわね~」
「そうだね、これからはもっと警戒しないと」
「休憩できる場所か、もしくは次の階層に行く階段を見つけないとな」
井村さん、安田さん、広がそれぞれ話す。
そして、移動を再開した。
暫くして、ようやく階段を見つけた。
「やっと見つけた~」
広が階段のある部屋に入って、壁に背中を預けて腰かける。
あれから何度か戦闘になったが、弓持ちとは遭遇しなかった。
「そういえば、帰る時もまたここ通るんだよね?」
「え~、嫌だ~この階層二度と来たくな~い」
「いや、10階まで行けばここを通らずに帰れるよ」
「そうなのか?」
「あぁ。ダンジョンって10階層ごとのボス部屋の奥に、魔法陣みたいなのが設置してあるらしくてそこから一階の入り口付近まで転移出来るらしいよ?逆も出来るらしくて、一度来たことのある階層なら10階層ごとに転移できるみたいだよ?」
「あぁ、だからダンジョンの入り口入ってすぐの所に人がたまってなかったのか」
「そういう事だな」
「じゃあ、今回は10階まで攻略するの?」
「おそらくその方が早く帰れるだろうし、次来た時にそこから始められるからその方がいいだろうね」
「じゃあ、休憩するついでに食事をとろう。ダンジョン攻略はそれからだな」
食事をとりながら、これまでの反省点など色々話し合う。
食事を終えて腹を休めてから、俺たちは階段から次の階層に向かった。
(´・ω・`)




