ダンジョン初日・前編
執筆作業を始めようと思ったら、ブックマークが200を超えてた( ゜Д゜)
ありがとうございます!これからもよろしくお願いします。(^^)/
今日はいつもよりも早めに起きた。
あまり遅い時間だとダンジョンの浅い層では混んでしまうからだ。
早く起きたせいで宿で朝食を食べれなかったので、移動の途中でパンを買って食べながら歩く。
食べ終わるころにはダンジョンについた。
「ここがダンジョンか~」
井村さんが目の前のダンジョンを見て言った。
ダンジョンは、遺跡ような形で、入り口の横に衛兵らしき人が立っていた。
入り口はそれなりに大きい。
ダンジョンの周りは広場のようになっている。
早く来た甲斐があってか、人はいるがそれほど多くない。
少数ではあるが、並んでいるので最後尾に並ぶ。
そして自分たちの番が来た。
「ん?見ない顔だな。ダンジョンは初めてか?」
衛兵に声をかけられる。
「そうですね、初めてです」
広が答える。
「そうか、ギルドカードは持っているな?」
「はい」
みんなで衛兵にカードを見せる。
「おっ?皆まだ若いのにDランクか~。Dランクなら大丈夫だとは思うが、ダンジョンは初めてなんだろう?けして無茶はするなよ?ダンジョンは逃げないからなw・・じゃ、通ってよし!無事な顔を見れることを祈ってるよ!」
衛兵さんは笑いながら声をかけてくれた。
俺たちは衛兵さんにお礼を言ってダンジョンに入る。
ダンジョンに入ったら、下に続く階段になっていた。
階段を降りると、通路のような場所に出た。
ダンジョンは、地下へ続いていく形が多いらしい。このダンジョンも地下に続いていく物の様だ。
「よし、ここからはダンジョンだ。気を引き締めていこう」
広が皆に声をかけた。
ダンジョンの中では、一番前を広。その後ろに安田さんと俺が並んで歩き、一番後ろに井村さんが歩く形で移動することにした。
俺が真ん中なのは近接戦でも戦えるため、広や安田さんを抜けてきた魔物が来た場合に、井村さんを守るためだ。
ちなみに、ダンジョンには階層主が存在しているらしく、五階層ごとにいるらしい。
階層主を倒すと、稀に宝箱が現れるときがあるらしい。
理由は不明とされていて、ダンジョンについては分からないことが多い様だ。
”ベチャ!”
音が聞こえた。
何かが落ちたような音だ。
「ん?あれって?」
広が何かを見つけたようだ。
「どうした?」
俺は広に聞いてみた。
「あぁ。あれって・・・・スライムだよな?」
広が指さす場所を見る。
「ん?・・・え?キモッ」
広の言う通り、スライムだった。
だがキモイ。
半透明の溶けた顔のようなものが這いずっている。
真ん中あたりに魔石が浮いている。
「せいっ!」
広が剣の腹の部分でスライムを殴った。
スライムが飛び散り、魔石が転がる。
広は魔石を拾った。
拾った魔石を俺に渡してくる。
俺は魔石を受け取った。
茶色い魔石だ。
・・・なんかもう、いろいろ汚いな。
俺は魔石を亜空間倉庫にしまう。
「・・・さっさと次の階層に進もう」
俺の言葉に皆は黙ってうなずく。
結局、この階層はスライムしか出なかった。
まだ一階というだけあって、次の階層へ続く階段はすぐに見つかった。
俺たちは階段を下りて次の階層に向かう。
二階層目を暫く歩いていると魔物に遭遇した。
”グギャギャ!”
ゴブリンだ。
数は四体。
だが、ゴブリンは戦いなれているので戦闘はすぐに終わった。
結局、その階層からはゴブリンしか出なかった。
そして遂に、五階層の階層主の部屋を見つけた。
階層主の部屋は入り口が扉になっていて、今はその扉の前にいる。
「まだ、入ったばかりだからかあっさりついたな」
広が扉の前で言った。
「でもこれから階層主と戦うんだから、油断したらダメだよ?」
安田さんが注意している。
「そうだね!階層主と戦うのはこれが初めてだから、気を引き締めていこう!」
井村さんが気合を入れている。
俺たちは扉を開けて、中に入る。
中は、ドーム状になっていて、かなり広い。
動き回って戦っても問題なさそうだ。
”ビチャ!!”
部屋に何かが落ちた音が響く。
「・・・・でか」
思わず声が出た。
部屋の真ん中にでかいスライムが現れた。高さが二メートルほどある。
色は緑色だ。
戦闘態勢に入る。
戦い方はいつも通り、広が引き付け、安田さんが遊撃し、井村さんが前衛の援護、俺が回復。
「『ハイヒーリング』!!」
俺は戦闘が始まってすぐに、全員に持続回復の魔法をかけた。
「『フリーズ』!!」
井村さんがスライムの真下を凍らせる。
スライムの一部が凍って、移動しなくなった。
”ビュビュ!!”
スライムが何かをあちこちに飛ばしている。
自分の方に飛んできたものを亜空間倉庫でキャッチする。
スライムが飛ばしたものを見てみると、地面に当たったところから”シュー”と音が鳴っていた。
どうやら飛ばしているのは酸の様だ。
そしてスライムは身体から触手のようなものを出し、広を殴る。
「ぐお!!」
すぐさま回復をかける。
「『ハイヒール』!!」
攻撃をくらって怯んだ広が、体制を立て直す。
「やってくれたな!くらいやがれ!『スラッシュ』!!」
広が剣をふった直後、衝撃波のようなものがスライムにぶつかる。
『スラッシュ』は剣技系のスキルを覚えると使えるようになる技で、片手でも両手でも使えるらしい。
さすがに俺と同レベルの衝撃波は出せないが。
”べチャァ!!”
広の一撃で、スライムの一部が飛び散る。
その瞬間、安田さんがスライムの薄くなった部分に手を突っ込み、魔石を引っ張り出す。
”ビチャァ!”
魔石を抜き取られたスライムが崩れる。
安田さんは魔石や腕についたスライムを払っている。
「「「・・・・・」」」
「ん?みんなどうしたの?」
「・・いやぁ。思い切ったことするなぁと」
安田さんに聞かれるまでつい黙ってしまった。
確かに、広がスライムの一部を吹き飛ばしたお陰で、手を入れれば届きそうになっていたが、まさかやるとは思わなかった。
安田さんに渡された魔石は一階で出会ったスライムの魔石よりも、二回りほど大きかった。
「あっ、宝箱」
井村さんが言った。
井村さんが見ている方を俺も見てみると木の箱が置いてある。
いつの間に現れたのか。
「開けてみるか・・・」
そう言って広が近づいて箱を開ける。
「・・・手袋だ」
広が言った。
「手袋?」
俺はそう言って広に近づく。
黒い手袋だ。
宝箱は稀に出てくる物のようなので、おそらくは何らかの魔法効果がありそうだが・・・。
「安田さんに渡そうか」
俺はそう提案する。
「え?私?」
「うん。今回のMVPは間違いなく安田さんだと思うし」
「そうだな、俺もそれでいいと思う」
広も同意する。
「わたしも賛成!」
井村さんもいいらしい。
「ん~、みんながいいんならもらおうかな」
そう言って広から手袋を受け取る。
安田さんは早速、手袋を着けた。
「ふふ、みんなありがとう♪」
どうやら気に入ったらしく着けた手袋を嬉しそうに眺めている。
いつの間にか部屋の奥に階段が現れていたので、俺たちは次の階層を目指して歩き始めた。
(´・ω・`)




