遭遇
遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
生きています。
これからは不定期になりますが投稿は絶対に続けます。
今後ともよろしくお願いします。
休暇はもらえた。
団長に話したところ、魔の者との戦闘で精神的なダメージを受けていると勘違いしてくれたようだ。
「案外、あっさりともらえたな」
広が言う。
「そうだね。ゆっくり休んでこい、しか言われなかったね」
「何だか悪いことをしている気分になるな・・」
「ぶっちゃけ悪いことをしているんだけどね。でも、俺たちには必要なことだ」
「そうだな」
俺と広はそんな話をしながら城を歩く。
無事休暇をもらってから、安田さんと井村さんと一旦別れ部屋に戻りここを出る準備をする。
もう準備は終わって、今は二人と合流するために二人の部屋に向かっている最中だ。
ガチャッ。
丁度、二人の部屋の前についたところで扉が開く。
「あ、二人とも早いね」
安田さんが先に出てきた。
そのあとすぐに井村さんも出てきて城を出る。
何事もなく城から出て、街の門に向かう。
門番にギルドカードを見せて街から出る。
「・・・あっさり出れた」
俺の正直な感想である。
「そうだな。まぁ、楽でよかったじゃねーか」
「これからどこに向かうの?」
井村さんが聞いてくる。
「特に決めてないよ、適当に街道を歩いて街に向かう。本格的に動くのは次の街についてからだね」
街道を歩きながら話をする。
数時間ほど歩くと左右が森になっている場所に来た。
「気づいたら囲まれてたとかありそうだな」
「え、怖い事言わないでよ・・」
広と井村さんだ。
「いや、ここは冗談にならないかもね。警戒しながら進もう」
俺はそう返す。
しまったな。あそこであまり時間をかけたくなかったから次の街で情報を集めようと思ったんだけど、せめて街や街道くらい調べておくべきだったか。
後悔しても遅いので先に進む。
「今日中に街に着かないとしても、こんな森に囲まれた場所じゃ危ないから、最低でも森を抜けるまでは進もう」
俺は皆に声をかける。
が、やはりと言うべきか、嬉しくないテンプレが起きてしまった。
「おぉ?なんだよ、ガキばっかだと思ったか女が三人もいんじゃねーか。へっへっへ・・・おい坊主!金目のものと女おいていくんなら逃がしてやってもいいぜ?」
盗賊が現れた。
最初の盗賊が喋っている最中に周りも囲まれている。
・・・・・8人か。
俺は前方の盗賊に向かって衝撃波を放つ。
ドゴンッ!!
盗賊の上半身が”凹んだ”。
「は?」
何人かの盗賊が声を上げる。
盗賊が驚いている間に衝撃波で処理する。
数秒のうちにすべての盗賊が上半身が凹んだ状態で絶命する。
あ~あ、遂に人を殺してしまった。
だが、あっけないものだった。
「真宙、ごめん!」
「へ?何が?」
広が謝ってきた。
「盗賊を倒すのを真宙だけにやらせちまった・・・」
「あぁ、それで・・・まぁ、大丈夫だよ。遅かれ早かれ、いずれ経験するんだから」
「・・・それでも、ごめん」
広は頭を下げ続ける。
「ほら、とりあえず移動しよう!こんなところにいたら、今度は魔物とか来そうだし先に進もう!」
そう声をかけて歩かせる。
その後、無事に森を抜けることが出来たがそのころには夜になっていた。
森から少し離れ、見晴らしのいい場所で今日は野宿する。
野営はまだ慣れていないので二人ずつにした。
夕食を食べて、俺と広は先に寝ることになった。
そして、何事もなく交代の時間が来る。
見張りを始めるが、広の様子がおかしい。
ちゃんと見張りはやっているが、何か考えているようだ。
「・・・広」
「ん?どうした?真宙」
「何か悩んでるのか?」
「・・・・昼間の事だ」
「盗賊の時か?」
「あぁ。・・・強くなりたくて城を出た・・・自分はまだまだ弱い・・・だから、仲間を守れるくらい・・・強くなりたかった・・・」
俺は黙って、広の話を聞く。
「・・盗賊が現れたとき・・・怖くなった・・・人と戦って・・・殺すことが、怖かった・・・・そうやって、うじうじしている間に・・・真宙は動いていた・・・・・終わってから・・思ったんだ・・・城で・・真宙が・・頼りにしてるって・・・・言ってくれたのに・・・俺は・・何もできなかった・・・・」
・・・親友が悩んで、苦しんでいる。
こういう時、どうするのがいいんだろうか・・
俺はどうされてたんだったか・・・
小学生の頃は、よくからかわれたりして、そのたびに母親が抱きしめて慰めてくれたっけか・・・
俺は広に近づく。
広の隣に座って頭を抱え込むように抱き寄せる。
「?・・・・え?」
広が驚いているが気にしない。
「・・広」
「・・・」
「強くなるんだろ?」
「・・・・あぁ」
「そのために、一緒に城を出たんだよな」
「・・・あぁ」
「時間はあるから、少しずつ、強くなればいい」
「・・・うん」
「大丈夫、広は一人じゃない」
「・・・うん」
「またダメになりそうだったら・・その時は、またこうして抱きしめてやる」
「え?・・・うん」
・・・・こいつ、いま喜んだのごまかしたな。
・・まぁいい、今日ぐらいはこの胸を堪能させてやるとしよう。
世話の焼ける相方である。
「ほら!もう大丈夫か?まだ足りないか?」
「お、おう、もう大丈夫だよ・・・・その・・ありがとう」
「・・・・どっちについて?」
「は、話聞いてくれた方に決まってんだろ!」
「俺の胸は礼をする価値もないと?」
「ちょ、いや・・そういうわけでは――――――――」
広の調子も戻ったので、雑談をしながら見張りに戻る。
そんなこんなで、無事に夜も更けていった。
広君にはきっと至福のひと時だっただろう




