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遠征二日目・後

評価、感想、お待ちしてます。

 ”キャハハハハハハハハアハハハハハ”


 子供の笑い声だ。

 だが、目の前にいるのは子供なんて可愛いものじゃない。

 人間の目や口で覆われた鳥の形をした化け物。

 ダメージを受けているのか体中から、赤黒い血のようなものが流れ出ている。

 あれだけの攻撃を与えたのだから受けてもらっていないと困るが。


 「ハァー!!!」


 エオルンドさんが化け物、魔の者に突っ込む。


 ズシャァー!!


 エオルンドさんが突っ込んだと思ったら化け物が斬られていた。

 斬られた場所から液体が噴出している。


 ”アハハハハハハハ”


 それでもあいつは笑っている。


 「ハイヒーリング!」


 俺はエオルンドさんにハイヒーリングを唱える。

 ハイヒーリングは一分間の間毎秒HPを15回復してくれる光魔法だ。

 ないよりはマシだろう。

 広と安田さんにもかけておく。

 だが、光魔法を連発できるほど俺は魔力を持っていない。


 ”キャハハハハハ”


 突如、氷の槍のようなものが飛んでくる。

 俺は急いで亜空間倉庫を開き、氷の槍に向かて炎の槍を飛ばす。


 ジュシャァー!!


 水の蒸発する音と共に氷の槍と炎の槍が消える。

 相殺したようだ。


 「ハァッ!」


 いつの間にか魔の者の下に回り込んでいた安田さんが斬撃を入れる。

 そしてすぐさま身を隠し、また別の場所から斬りかかる。

 ヒットアンドアウェイで行くようだ。


 ”キャハハハハハハハハハハ”


 だが、あの化け物もやられっぱなしではなかった。

 化け物のおそらく頭であろう場所にある口から、白い霧のようなものを吐く。


 パキパキパキッ


 霧の当たった地面が凍っている。


 「オラァッ!!」


 離れた場所からエオルンドさんが両手剣をふる。


 ズバァッ!!


 斬撃が飛んだ。

 その斬撃の風圧で霧が消え去り、化け物の顔にとんだ斬撃が直撃する。


 ”キャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!”


 初めて、化け物から悲鳴のようなものが聞こえた。

 化け物は怯み、大きくのけぞる。


 「ハァァ!!」


 化け物の側面に回り込んでいた広が大きく飛び、のけぞった化け物の首に向かって切りかかる。


 ズバッ!!!


 化け物の首が落ちる。


 「頭が落ちている隙に体を狙え!!真ん中にあるコアを破壊しろぉ!!急げぇ!!」


 おそらくコアを破壊しないとまた復活するのだろう。

 あの衝撃波ではコアが傷つかなかったのか。

 俺はまた亜空間倉庫を開き、今度は単発ではなく乱射する。


 エオルンドさんはまた斬撃を、今度は大量に打ち出す。

 広や安田さんは騎士の人と一緒に側面を攻撃して回復を遅らせている。

 井村さんは氷の槍をいくつも同時に飛ばしている。


 ブシュゥーー!


 そんな音と共に魔の者の体が崩れ始める。

 後には黒い炭のようなものが残った。


 「死んだ・・・のか?」


 「あぁ、これは完全に死んだな」


 広のつぶやきにエオルンドさんが返す。


 「はぁ~、怖かった~」


 井村さんがそう言いながら座り込む。

 一度、周りを確認する。

 森はまだ、あの化け物が放っていた冷気であちこちが凍っている。

 エオルンドさんは騎士の一人に拠点に報告に行かせるようだ。


 「さぁお前ら。今度こそ拠点に戻るぞ。休むにしろ、一度戻ってからだ」


 そう言って、移動を開始する。

 パーティのみんなも疲れた身体で歩き始める。


 「なあ、真宙」


 「なんだ?」


 広が話しかけてきた。


 「今回の戦い、どう思った?」


 「・・・俺ら弱すぎないか?まだ召喚されたばかりってのもあるけど、俺の場合、あの衝撃波で殺せなかった時点で他の攻撃はたかが知れていた。攻撃手段が少ないし、そもそもレベルも足りていない」


 「・・・そうだな」


 「いっその事逃げるか?今なら逃げれるかもよ」


 「それは意味ないって真宙が言ったんだろ?どうやって生きていくにしろ魔の者との戦闘は避けられない。今どうしようが遅かれ早かれ、また戦う事になる」


 「じゃあ、どうする?次また戦闘になったら確実に負けるぞ?今回はたまたまエオルンドさんがいたから運よく勝てただけだ」


 「・・・なら次は勝てるように強くなればいい」


 「どうやって?少なくともあれと一対一でやりあえる位にならないとこの先、生き残れないと思うぞ」


 「城でもっと鍛えてもらう」


 「無理だね。間に合わない」


 「じゃあ、どうやって!」


 「まぁまぁ落ち着けよ広。方法がないわけじゃない」


 「・・・そうなのか?」


 「あぁ。そもそも広は最も簡単な方法を見逃してる」


 「?」


 「城を出よう」


 「へ?」


 「なぁ、広。ゲームだとさ、強くなるためにはなにをする?」


 「・・・レベル上げだろ。・・・あっ」


 「そう。レベル上げだ。せっかく俺たちは『経験値UP』なんて言うチートを持ってるんだぜ?獲得経験値が5倍になるんだぞ?使わなくてどうする」


 「そうだな。技を鍛えるよりもレベルを上げた方が早いか。でもどうやって城をでる?」


 「まぁ、ここまで来て何も言わずに出ていくつもりはないよ。一先ず遠征から帰ったら、エオルンドさんとメアリーさんに話そう。許可を貰えなかったらこっそり出ていく」


 「でもどうやって出ていくんだ?」


 「こんな時のために冒険者になったんだろう?ギルドカードがあれば街から勇者としてではなく、ただの冒険者として出られる。だからエオルンドさんとメアリーさんに話すときは冒険者の事は伏せるぞ」


 「よし、わかった。安田さんと井村さんは?」


 「後で聞こう」


 「わかった」


 そのまま俺たちは拠点に戻りクラスのみんなに何があったのか聞かれたりしながら休みに入る。

 魔の者の事は一応伏せてある。エオルンドさんが皆に話していないようだったので俺たちからは言わないことにした。


 こうして、問題は起こったが生きて遠征二日目を終えることが出来た。

 ちなみに食料はエオルンドさんに譲ってもらった。

 オオカミ二匹じゃ足りなかったからね。

少し短くなってしまった・・・

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