遠征一日目
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朝だ。
遠征の日。準備をして訓練場に向かう。
出発する前にエオルンドさんから皆に話があった。
「改めて説明する。今日から三日間、魔物がいる森で遠征をおこなう。お前たちにとって初めての実戦となるだろう。今回の目的は、実戦はもちろん、仲間との共闘の訓練でもある。今回行くのは比較的弱い魔物がいる森だが、何が起こるかわからない。常に細心の注意をして行動するように」
それから皆で移動してそれなりの人数が乗れる馬車にのる。
何台かに分かれて乗るようだ。
馬車では、山崎先生と吉田のパーティと一緒に乗ることになった。
もちろん遠藤もいた。どうやら、山崎先生と吉田と遠藤、その他女子三人でパーティを組んでいるようだ。
馬車は移動し始める。
「逢沢のパーティは四人なんだな」
吉田に話しかけられた。
「まあね、結構バランスのいいパーティだと思うよ」
「こっちはバランスを人数で補ってる感じだ」
「六人もいると連帯して戦闘するのもたいへんじゃないか?」
広が吉田に聞いている。
「あぁ、そうなんだよな~。だから昨日、訓練場使って動きを確かめたり色々話し合ったりしてたんだけど・・そういやお前らいなかったな。ほとんどのパーティが訓練場使ってたけど、お前らどこ行ってたんだ?」
「そうですね~、僕も気になります。ただ休んでいたわけではないのでしょう?」
遠藤も会話にはいってくる。
「俺たちは武器を買いに行ってた」
広が答えた。
「え?マジで?てことは広の後ろに背負ってるやつ買ったのか。金はたりたの?」
「給料だけじゃ足りないな」
「ん?じゃあどうやって買ったんだ?」
「真宙が金を持ってきた」
「逢沢、どうやって稼いだんだ、教えてくれ。俺も武器欲しい」
物凄い真剣な顔で吉田が金の稼ぎ方を聞いてきた。
「教えてもお前じゃ出来ねーよ」
「俺じゃ出来ない・・・まさか援k」
「ちげーよ!言わせねーよ!」
「なんだって!?逢沢さんいくら性別が変わったからって先生、そういうのはよくないと思うよ」
「先生もなに真に受けてんですか・・・違いますよ。メアリーさんから譲ってもらいました」
「メアリーさんから借りたんですか?」
遠藤が聞いてくる。
「いや、ゲームで勝負して貰ってきた」
「どんな勝負だ?」
「教えないし、教えても意味がない」
吉田に聞かれたが答えない。教えちゃうと魔法乱射の仕組みがばれちゃうからね。
その後も雑談して時間を潰し、馬車は無事に森についた。
皆を降ろし馬車は街に帰っていく。
「それではこれより森に入る。森の中には魔物がいるから移動中も気を付けるように。ある程度進み、森の中に拠点を作る。そこを中心に活動していくことになるだろう。それでは移動を開始する」
エオルンドさんはそう言って森を進み、皆はその後ろについていく。
俺たちは最後尾になった。
誰も見ていないうちに、武器を取り出しておく。
すると、前から誰か来る。メアリーさんだ。
訓練場にはいなかったが、他の馬車に乗っていたようだ。
「あら、マヒロちゃん・・あなたも最後尾だったのね?」
すこし怯えている。ちょっとやりすぎたか。
「別に何もしないので落ち着いて下さい。魔法師団長がそんなんでどうするんですか?」
「そ、そうよね、わかったわ。その武器どうしたの?槍・・ではないようだけど」
「長巻という武器ですよ。純ミスリルで魔法の補助もしてくれるんですが、使い手がいなくて大金貨一枚で譲ってもらいました」
「その大きさの純ミスリル・・・本来ならどれほどの値段がつくんでしょうね」
「知りませんよ。まぁ、杖として使えるので結構な掘り出し物でしょ」
「そうね、ちなみにあなた、それの使い方は知っているの?」
「知りません」
「ダメじゃない」
「うるさいです。これから使えるようになります。それに近接戦はメインじゃないですし」
「まぁ、それもそうね・・・後ろから何か来てるわね」
「何体ぐらいです?」
「おそらく三体ね」
「じゃあ、初の実戦と行きましょうか。広、後ろから三体来てるって。二体お願い、一体は俺がやるよ」
「了解」
広に声をかけて二人で構える。
せっかく武器を買ったので使えそうなら使ってみたい。
「どうやらゴブリンね。二人でやるの?」
メアリーさんが声をかけてくる。
「もともと、この遠征はこれが目的ですからね」
広が答える。
「わかったわ。でも、危なかったら助けるわよ?初めての実戦なんだから無理しないでね?」
メアリーさんが心配してくる。
「見えた!」
広が言った。
「子供みたいな大きさだな」
「でも、筋肉すげーついてるな」
俺のつぶやきに広が返す。
そして、ゴブリンが近づいてきた。
「右と真ん中任せた!」
「おう!」
広に声をかけて身体強化を使い、敵に突っ込む。
「ガァ!!」
一体のゴブリンが手に持っていたこん棒のようなものを振ってくる。
遅いな。これなら慣れない武器でも余裕をもって戦えそうだ。
「ハッ!」
俺はこん棒をかわし、空振りして体制を崩しているゴブリンに、首に向かって長巻を振る。
ズバッ!!
ゴブリンの首が落ちる。
よく見ると首だけを狙ったつもりが、肩にも傷がついている。
思っていたよりも難しかった。
ゴブリンを見ていると殺した瞬間を思い出して気持ち悪くなる。
魚はさばいたことがあるがそれとは違う。
人型というのもかなり来るものがある。
これになれないとこの世界じゃやっていけないな。
武器についた血を払おうと思って長巻を見る。
血が付いていない。
いや・・・よく見ると血を吸っている。
そしてまた、綺麗な状態に戻った。
「え?・・・キモッ」
思わず言ってしまった。
ついさっきまで気分が悪かったのに、こっちのインパクトが強すぎてそんな気分は忘れてしまった。
広の方はもう終わっている。
すこし呼吸が荒いので声をかける。
「広、大丈夫か?無理するなよ?」
「真宙・・・あぁ、大丈夫だよ。真宙を見たら落ち着いた」
「ハハッ、なんだそれ。ま、それで落ち着くんなら安いもんさ。ほら回収して戻ろう」
「あぁ、そうだな」
そう言って二人で戻る。
もちろん、ゴブリンの死体は回収した。
「おかえりなさい。大丈夫だったようね?」
メアリーさんが声をかけてくる。
「えぇ、なんとか。ちょっと気分が悪くなりましたが真宙のおかげで助かりました」
「見えていたわよ。・・・あなたたち付き合ってるの?」
メアリーさんに聞かれる。
「いえ、付き合ってないですけど・・・」
広が答えた。
「そう・・・あれで付き合ってないの・・・?」
メアリーさんが何かつぶやいているがよく聞こえなかった。
それからは魔物の襲撃などはなく、森の開けた場所に出て簡易的なテントのようなものを張りその日は終わった。
テントは広と二人で使った。
騎士団と魔法師団の団長が不在で大丈夫だろうか<大丈夫です。まだ出てきていませんが副団長さんも出してあげたいです。




