014話 知らない天井
注)この話では、表現上の都合で、不明な言葉を※で表し、括弧内を日本語で翻訳してお届けしております。
例:『※※※※※』
(こんにちは)
目が覚めると、目の前に木製の天井があった。
体の傷を受けたところには、包帯の様なものが巻かれ、ベッドに寝かされていた。
「知らない天井だ」
うん。一度言ってみたかった。
と、そんな独り言を聞いた人がいるらしい。
呟いたら、慌ててこっちを覗き込んできた。
恥ずかしいもんだ。
『※※※、※※※※※※※※※※※※※』
(オヤジ、お客さん目が覚めたようだぜ)
なんかどっかで見たことがある様な青年が、大声で部屋の外へ叫んだ。
うるさい。こちとら、怪我人だ。
?
というか、何だ。
こいつは一体なんて言ったんだ?
尋ねる暇もなく、人の良さそうなおじさんが、部屋に入ってきた。
『トム。※※※※※※※※※※※※※。※※※※※※※、※※?』
(トム。気づいたばかりだ静かにしな。調子はどうだい、少年?)
にこやかに語りかけてきた。
うん。さっぱりわからん。
言葉の感じからすると、英語とかに近い感じで舌で巻くような音はなかったが、
少なくとも英語ではない。
かと言って、自分が聞いたことがある言語ではない。
顔立ちからして、若干西洋系の気配はしたのだが・・・。
困った、が黙っていては話が進まない。
「すみません。なんて言っているかわかりません。」
はっきり日本語で言ってみた。
・・・きょとんとした顔と静寂が苦しい。
『・・・※※※※※※※※。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※。トム、※※※※※※?』
(・・・こいつは困ったな。どうやらこの子は言葉が違う所から来たらしい。トム、お前は判るか?)
『※※※※※※※※※※。※※※※※※※※、※※※※※※※※※※※※※、※※※※』
(俺が判るわけ無いだろ。俺の専門は剣だぜ、そりゃ多少は魔法は使えるが、専門外だ)
『※※※。※※※※※※。トム、※※※※※、ジーナ※※※※※※※※※※※。※※※※※※※※※。』
(だよな。しょうがない。トム、取り敢えず、ジーナ婆さんを呼んできてくれ。俺らじゃ手に負えん。)
『※※』
(了解)
なんか、トムって呼ばれたっぽい人が立ち上がって出て行った。
顔が似ているし親子っぽい。
『※※※、※※※※※※※※※※※※※※※?※※パッソ※。※※※?』
(さてと、まあ取り敢えず名前位は判るかな?俺はパッソだ。お前は?)
なんだかわからんが、胸に手を当てて「パッソ」とおっさんが言った。
恐らく、このおっさんの名前なのだろう。
その後、こっちに手を出してきた。
何を言っているかは不明だが、多分自己紹介をしていてこっちの名前を尋ねてきていると思われた。
とりあえず、聞いてみよう。
おっさんの方に指をさして「パッソ?」っと聞いてみたら頷いた。
なんか車の名前っぽい。
フム。なんて応えるか?
一瞬、フルネームをいいそうになったが、ここは魔法のある世界だ。
どんな魔法なのかさっぱりだが、一般的なファンタジー世界だと名前=呪いに繋がるとも考えられる。
ココは多少なりとも崩そう。
「ショウ。ショウ カミサカ」
胸に手を当てそう答えた。苗字はともかく名前はアダ名でもよく言われるし、許容範囲なのでこうしてみた。
『ショウ カミサカ※。※※※。ショウ※※※、※※※※※※※※※※※※※』
(ショウ カミサカか。解った。ショウまずは、ここでゆっくりしていてくれ)
なんだかわからんが、待てってジェスチャーをされた。
恐らく、さっき出て行った人が、誰かを呼びに行っているのだろう。
・・・いや、言葉が通じないことをいい事に何か変なことに巻き込まれる危険もある。
用心に越したことは無いか。
待っている間に、パッソおじさんはお茶(?)ぽいのを持ってきてくれた。
色は茶色く、湯気が出ていた。
味は、渋みと苦味があるお茶だった。
恐らく薬膳系の葉っぱを煮だした飲み物なのだろう。
いや、ちょっと警戒はしたんだよ。
だけど、相手が飲みはじめたし、同じ湯のみで勧められたら飲まざるを得ないだろ。
飲んでいるとドタドタと足音が聞こえてきて、部屋のドアが空いた。
3人入ってきた。
一人はさっき出て行った、トムと呼ばれたっぽい兄ちゃん。
もう一人は、確か気絶する前に会った女の子、青い髪が印象的だ。
そして、最後は、なんというか魔女の格好をした、スタイルの良いおばちゃんだった。
うん、ちょっとおしい。
黒い帽子に、黒いロングのワンピース系の服、適度にボンキュッボンで胸元も若干見える。
ちょっと歳はいっている感じもしたが、美魔女って感じだ。
別に似合っていない訳ではなかった。
ただし、持っていたのは杖や箒ではなくキセルだった。
『※※、パッソ。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※』
(やあ、パッソ。なんだか困っているようだから手伝いに来たよ)
『※※※※※、ジーナ※※※。※※※※※※※※※※※※※、※※※※※※※、ショウ※※※※※※※』
(すまないね、ジーナ姐さん。さっきこの子と話してみたが、どうやら名前は、ショウと言うらしい。)
『※※※、※※※※※※?』
(なんだ、話せたのかい?)
『※※※、※※※※※※※※※※※。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※。』
(いいや、身振り手振りでなんとか。言葉が通じてないのは間違いないんだがその他はさっぱりだ。)
『※※。※※※※※、※※※※※※※※。※※※※※※※※、※※※※※。』
(ふむ。とりあえず、話しかけてみるか。どうも初めまして、坊っちゃん。)
『※※、ジーナ・クインドーシャ※。※※※※、※※アリス※。』
(私は、ジーナ・クインドーシャだ。こっちは、孫のアリスだ。)
おばさんとおじさんが、何やら話していると思ったら、突然こちらを向いて自己紹介(?)を始めた。
どうやら、このおばさんがジーナで、女の子はアリスというみたいだ。
喋ったあとこっちを見つめてきた。
・・・こっちの反応を伺っているようである。
取り敢えず、身振り手振りを交え日本語で話してみるか。
通じないだろうが。
「えっと、ショウ カミサカです。この度は、山で遭難した所を助けていただき有難う御座いました。
ジーナさんとアリスさんでよろしいでしょうか?」
『・・・※※※※。※※※※※※※。※※※※※※※※※※※。』
(・・・なるほど。確かにわからん。聞いたことの無い言葉だ。)
『※※、※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※。』
(だが、少なくとも状況と身振り手振りで内容を理解できる判断力はあるみたいだね。)
『※※、※※※※※※※※※※。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※?』
(だろ、だから相談してるんだ。姐さんの知り合いでわかりそうな人はいないか?)
『※※、※※※※※※?※※※※※※※※※※※。』
(さて、誰がいいかな?誰が分かりそうか・・・。)
また、おじさんおばさんコンビが話始めた。
内容はわからんが、多分俺の処遇を決めかねているのだろう。
と、そこに、一緒にきた女の子が驚いた顔で言葉を発した。
『おばあちゃん。私※※※※※、この子※※※言ってる※判る。』
(おばあちゃん。私少しだけど、この子が何を言ってるか判るよ。)
その子の話す言葉は、パッチワークのようだったが、一部が意味の判る様に聞こえてきた。
気分で続きを書きたくなる病発動。
所有者は、気まぐれで文章を書いてしまう。
どうでもいいが、タイトルがパクリっぽい。




