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第2話 馬鹿とかいてピュアと読みたい

前半ドシリアスです。


 

 

 さてさて、意気込んだものの具体的にどうするかというのは全然決まってない。

 

 「んー、幸ちゃ…………あ、これからは私って言わないと変だね」

 

 改めてまじまじと部屋を見てみる。どうやらここは幸ちゃんの暮らしているマンションのようだ。学生さんが暮らすには充分な広さのように思える。でも、どこか寂しさを感じるような気がする。

 勉強机の上にはライトと1冊のノート以外何にもおいてない。引き出しは2つありけど、上段は文房具等の予備らしきものが置いてあるだけ。下段には例のストーカーから来たのであろう手紙や写真等が入っていた。その量に嫌悪感を抱いたけど、幸ちゃんの心の強さに驚いた。これらは物証となりうる貴重な証拠品だから、気持ち悪くて捨てるよりもこうして保管することのほうが大切だとどこかで聞いた気がする。私は脂汗をかきながら引き出しを閉めた。

 そこでようやく机上のノートの存在を確認することになった。普通のノートだ。私が勉強で使うような普通の。私はノートを開いた。

 

 『

 誰も信じない。

 誰も信じてくれない。

 どうして。なんで。

 辛いよ。』

 

 『今日も無視された。

 机のなかにゴミを入れられた。

 帰り道に罵声を浴びた。

 痛い。』

 

 『信じてくれそうな人ができた。

 友達、って行ってくれた。

 明日からもう少し頑張りたい。』

 

 『悪い噂を信じないで私を信じてくれた。

 嬉しい。

 諦めないで良かった。』

 

 「これ、……幸ちゃんの日記?」

 

 日記と言うには日付が足りていないけど、一定の間隔で吐露されているこれは幸ちゃんの記憶の痕跡とも言えるもの。私は無言でページをめくる。幸ちゃんはいじめられながらも必死に頑張っていたんだ。そして、そんな幸ちゃんのことをわかってくれる子までできたんだ。幸ちゃん凄いや。私じゃそんなことできない。

 大分めくったところで私はその文字に目を止めた。


 

 『私を騙してた。

 裏切ってた。酷い酷い。

 どうして。

 怖いやだ助けてやだやだ。

 私からこれ以上奪わないで。

 もういや。いや。いや。』

 


 裏切られた。幸ちゃんは先程よりも強い筆圧で文字を書いていた。ノートには所々滲んだような跡がある。きっと書きながら泣いていたんだろう。

 私は自分の愚かさを突きつけられたような気がした。偽善のおままごとでヒーローになりたいのか、そう言われても仕方がないほどに私の決意と意思は安直だったから。

 私はページをめくった。このときの私はきっと救いの手を求めていたんだ。

 

 

 『死にます。さようなら。

 

 

 

 

 最後に皆で笑いあいたかった。』

 

 

 幸ちゃんの、助けを乞うその手を。

 

 

 だから、決意し直せた。

 

 

 「私がどうにかするんじゃない。私が幸ちゃんの願い、皆で笑いあうことを叶えて見せるんだ!!!」

 

 

 見ててね、幸ちゃん。

 貴方のことはまだまだわからないけど私が貴方を最高のハッピーエンドにつれてってあげるから。

 

 

 「何を叶えるって?」

 

 

 私が凄くカッコいい主人公のような決意を胸にしているなか聞こえたのは若い男の子の声だった。恥ずかしい。

 振り替えると見目麗しい茶髪の男の子が不機嫌そうにこちらを見ている。

 

 誰?

 

 

 「は?誰?お前とうとう弟の顔も忘れたのか?」

 

 

 あ、声に出てた。

 てかそれよりも今なんていった。私の聞き間違いじゃないなら目の前の少年は弟っていったよね?

 

 

 「貴方が、私の、弟??」

 「嘘だろ。冗談きついぞ」

 「え、まじなんだ………」

 「なんなんだよ。気持ち悪い。構って欲しいからってそういうのやめろよ」

 「だって髪の毛の色違うよ?」

 「染めてるんだよ馬鹿。てか会話の流れ無視すんな」

 

 

 息を吐くように言われる毒舌に思わずガムテープを取り出しかけた私を許してほしい。ガムテープの場所わかんないけど。というか、今の私に必要なのはガムテープよりも弟くんからの情報だ。

 

 

 「えっと、取り敢えず色々話したいから、リビングでお茶飲もうよ」 

 「はぁ?嫌に決まってんだろ。なんでお前みたいな最悪女と」

 

 最悪女頂きました。でもそこでぶちギレるほどやわな神経はしてません。

 ここは大人の対応を見せつける!

 

 「貴方の気持ちは尊重したいけど、こちとら貴方の名前も知らないからさ。それは凄く困るんだよね。自称弟(仮)」

 「お前なんなんだよ!!自称弟(仮)って!!!嫌がらせか!!こっちだってお前なんかの弟お断りだわ!!!!……………って、は?お前………まじで全部覚えてなのか?」

 「だから最初からそういってるじゃあないですか自称弟(仮)よ」

 「…………確かに昨日までの姉貴とは話し方も雰囲気も全然ちがう…………。キモい。………おい、リビング行くぞ」

 「お、行く気になってくれた感じ?」

 「うるさい」

 「うるさいついでにキモいはないんじゃないかな自称弟(仮)」

 「うるさい最悪キモ女」

 

 

 ガムテーーーープ!!!!!

 ガムテープ先輩はどこですか!!!

 この自称弟(仮)の整ったお口を塞いで下さい!!!

 

 「おい、お茶いれっから先座っとけ」

 「え、あ、うん。ありがとう」

 

 

 ………普通に良い弟じゃん。

 

 私はお言葉に甘えてソファに腰を下ろした。ふかふかする。きっと高品質だ。

 

 これでようやくいろんな事がわかりそう。にしても、この家の人は美形なんだなー。幸ちゃんもだけど弟くんもすっごいカッコいい。遺伝って恐ろしい。

 

 

 そんなどうでもいいことを考えてる私の耳には弟の「ありがとうって言った………?やっぱまじなんだ…」という呟きが届くことはなかった。

 

 

 

 

 


弟くんのお名前はもう少し待っててください。

ちょっと主人公のキャラがすでにぶれぶれしている気がしますが、気にせずいきましょう。そういうキャラということにしましょう。(THE 適当)

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