第4話 秋山愛華
どうも皆さん、おはようございます。
身体は高校生、中身は25歳、キモオタの五木幸也です。
俺は今、大事件に遭遇しております。
『詳しく聞いてもいいですか?』
『あれは……俺がラーメンを食べた後熟睡をしてしまい、朝に目覚めた時の事だった。 汗を掻いたのでシャワーを浴びようと思い、服が入ってそうな場所を探していた時に見つけてしまったんだ。』
『一体何をですか!?』
『可愛らしい女性の下着や服を………』
名探偵コ○ンごっこをしながら俺は女性の下着の前で正座をしていた。
ってか俺この歳で何やってんだ。
これじゃあ、身体は高校生、中身は幼児という最悪な組み合わせと化してしまう。それどうしようもない馬鹿って事じゃねぇーか。
急に羞恥心が出てきのでやめる事にした。
とにかく、これは非常事態以外の何者でもない。
俺は黙考を続ける。
えっと……。
女性の下着が一着ある程度なら、現実世界の俺が犯罪に手を染めていたと納得する事も出来るのだが。
出てきたのは沢山の女性用下着の上下と可愛らしい服だ。
つまり………現実世界の俺は女性と同居していた……?
……この歳で?
いやいや、まだ確証がない。
もう少し手掛かりが無ければ何とも言えない。
単に俺が女装趣味を持っていた…とも考えられるしな。
それだけは勘弁して欲しいものだ。
現実世界の俺が女装趣味を持っていない事を願いながら部屋を更に物色する。
しばらく探すが、めぼしい物は何も見つからなかったので諦めモードに入りかけていると、壁に掛かっていたカードを発見した。
そのカードには『面会許可証』と書いてあり、細かい所まで見るとそれが病院の面会の際に必要になる許可証である事が分かった。
「病院?………面会?」
なんだこれは………。
現実世界の俺に入院してる友達がいる…………とか?
なんにせよ、俺はこれからこの世界で生きていかなければならない。
そういった友達が居るのなら、会っておいて損はないだろう。
俺はポケットから携帯を取り出し、高梨さんに電話をかける。
3コール目で電話に出た高梨さんは寝起きだったらしく、昨日とは声の雰囲気が違った。
『あい……もしもし……』
「あっ、もしもし。 朝早くにすいません、五木です。」
『ふぇっ!? 五木君っ!? ごめんなさい、ちょっと待ってて下さい!』
高梨さんはそう言うと、電話のスピーカーからはドタバタと慌ただしい音が聞こえる。
何やってんだろう……この人。
などと思っていると音は静かになり、再び受話器越しに高梨さんの声が聞こえる。
『もういいですよ。 どうしたんですか?』
高梨さんの声音は昨日と同じ、優しい声になっていた。
俺が彼女に聞きたい事は2つあった、まず一つ目。俺の知り合いに入院中の人は居るのかどうかの確認した。
すると高梨さんは『うーん』と唸った後、質問に答える。
『いえ、私はそのような話を五木君から聞いた覚えはありません』
だよな……。
現実世界の俺はこの事を高梨さんに話してなかったらしい。
まぁ、当たり前か。
話す必要がないからな…。
そして俺は二つ目の質問、自宅からこのカードに書いてある病院までどれくらい掛かるかの確認した。
すると、どうやら隣駅の近くにあるらしく電車を乗ればすぐに着くらしい。
高梨さんにお礼を言うと俺は電話を切り、出発の準備をはじめる。
ついでに電車賃は昨日貰った50万円があるので、それを使う事にした。
帰りながらキミガミでも買っていくか。
お金いっぱいあるし。
ってか俺は結局、何の為にこのお金が欲しかったのだろうか?。
未だにこの問題だけは分かっていない。
まぁ、いつか分かる時が来るか。
いざ使う時に、あれ、無いっ!なんて事にはならないように気をつけなければ。
俺は準備が整ったので勢いよく玄関を飛び出す………が。
アスファルトをジリジリと焼く日差しは強く、朝だというのに気温は高かった。
あっ、この世界でも季節は夏だったのね………行くのやめようかな?
一瞬家でゴロゴロしようかとも思ったが、思い直す。
きっと、現実世界の俺は今夏休み中だ。 なので学校が始まってからココドコー!ミンナダレー?となりたくないので1人でも多くの友人と会っておきたい。
いや、まぁ、現実世界の俺がもしかしたらぼっちである可能性もある訳だが………考えないでおこう。
「さて…。 行きますか」
そして俺はクソ熱い炎天下の中で最寄り駅へと歩き出した。
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電車に乗り、神宮寺中央病院まで着いた俺は今、近くのベンチで倒れていた。
来る途中に買ったカルピスは既に冷たさを失い、心地の悪い生暖かさになっている。
「あっつい。 マジで死ぬ」
色々な人は勘違いしがちだが、体脂肪率が多いい人ほど暑さに強いのだ。
仮想世界内の俺は今の俺よりも太っていたお陰でこれほど暑くは感じなかったが。
この身体は細い所為もあり本当に暑さに弱いようだ………。
ってゆうか地球温暖化進みすぎだろ、そろそろ本気で対策を考えた方がいいんじゃねぇーの?
小休憩を取っていた俺はベンチから立ち上がり、病院の中へと入った。
神宮寺中央病院は結構大きかった。
中は人で溢れかえっていて、お年寄りから小さい子供までいた。
外とは大違いで冷房が効いており、『ここは天国ですか?』と錯覚する程の涼しさだった。
こんなんだったら病院の中で小休憩を取るんだった……。
後悔する俺は端っこにある自販機でコーラを買い、飲みながら受付へと向う。
すると、その途中でナース服を着た綺麗なお姉さんが俺の名前を呼びながらこちらへ走ってきた。
「五木くーーん!!!」
えっ!?
なに? 新手のナンパ?
年上かぁー、お茶ならしてもいいですよ?
いや、むしろしたいです。
俺の元へ来た看護婦さんはしばらくハァハァと息をあらくしていたが、ややあって顔を上げる。
「なんで昨日は来なかったんですか? 秋山さん寂しがってましたよ?」
なんだ……ナンパじゃないのか。
ってか誰だよ秋山さん。
まぁ恐らくは俺の友人か何かだろう。 現実世界の俺は毎日面会に行っていたのだろうか。
ここはとりあえず誤魔化しておくか。
「いや、昨日はちょっと忙しくて…。 今から面会に行く所です」
と言って俺は受付へと向うと看護婦さんに呼び止められた。
「あれ五木君どこ行くの? 病室は5階だよ??」
「いや、受付をまだ済ませてないんで……」
すると看護婦さんはキョトンとした顔をして目を瞬いていた。
「いや前にも話したけど、うちの病院は受付要らないよ? 面会許可証を病室の前でかざせば入れるし…」
なんだそのハイテク技術。
絶対受付をした方が安全性高いだろ………やっぱり絶対は撤回して多分にしておこう。
「いや、あー、そうですよね。
俺ちょっとぼーっとしてました。 それじゃあ行ってきますね」
「はーい。 あっ、花瓶の水変えといたから今日は大丈夫だよ」
その言葉に、俺は笑顔で頭を下げるると、エレベーターで5階へと向かった。
よくよく考えれば俺、部屋の番号聞いてなかった……。
まぁ、ハイテク機能を搭載しているくらいだから部屋の前に名前くらいは書いてあるだろ。
確か名前は………秋山…だっけか?
5階についた俺はアホみたいに広いフロアの中で秋山のネームプレートを探す。
すると思いの他簡単に見つかった。
扉の横には高そうな機会が取り付けられていいて、面会許可証をここにかざすと扉が開くらしい。
………………。
よくよく考えたら俺の低いトークスキルで会話を続ける事ができるのだろうか?
やっぱり最初の挨拶はテンション高めにした方がいいのか?
でも俺からしたら最初でも、相手からすれば最初では無いわけだし…。
だぁーー!!
友達いた事ねぇーから分かんねぇーよ!!
現実世界の俺はよく友達なんて作れたな……。
病室の前で頭を抱えて悩む俺を、廊下を歩いていく患者が怪しいものを見るような目で一瞥する。
やめろ!
そんな目で俺を見るな!
高校の時女子の下着が盗まれたと事件になって、みんなから犯人扱いされた時の事思い出すだろっ!!!
あの時は酷かった。
全くの濡れ衣なのに誰も信じてくれる奴などいなく、お陰であだ名が下着男からランジェリアに変わってしまった。
いや、どっちも大して変わんねぇな。
ついでに下着男のあだ名の由来は、俺の顔が下着と似てるかららしい。
どうゆう事だよ……それ。
なに? 俺の顔はもう生き物でさえないの? 布なの?
ってか下着男ってネーミングセンス最悪だろ。
この名前じゃ、俺が下着をきっかけにセレブなお姉さんに恋心を抱く事になっちゃうだろうが!
どうゆう経緯だよ…それ。
人目を気にした俺は覚悟を決めて高級そうな機会に面会許可証をかざす。
すると扉はカチャッと音を立てて開いた。
おぉ!! 未来的!
男である以上こうゆうのってカッコイイと思ってしまうな。
そして女どもはそれを見て『まったく、これだから男は』とか分かったような口を利くんだろ?
お前らの買い物中毒さや、久しぶりに会った友達との反応とか、だいぶ頭のネジぶっ飛んでるからな?
いい加減自覚しなさい!
俺はゆっくりと病室の中へと入る。
室内にはフローラルな香りが立ち込めていて、とてもリラックスする。
この匂い的に、やはり俺の友達は女子なのだろうか?
俺はこのフローラルな匂いを漂わせる自分の友達の顔が物凄く気になった。
ベットの上を見ると……そこには艶のある黒色をした長い髪の綺麗な女の子が窓の外を見上げていた。
俺とは反対側を見ているので、彼女の相貌を確認する事が許されない。
だが、それでも俺は見惚れてしまった。
何故だかは分からない。
言葉を発する事を忘れ立ち尽くす俺の存在に気が付いたのか、彼女はゆっくりとこちらを向く。
そして、その顔を見て俺の心臓は飛び跳ねた。
青色の眠そうな瞳、桜色のしっとりと湿った唇、 パジャマの隙間から見えるのは白く、なめらかな肌。
忘れるはずもない。
何度俺が画面の中へ愛の言葉を発した事か…。
心臓がドクドクと鼓動を早める。
俺の事を視界で捉えた彼女は途端に憂いげな表情から、とても可愛らしい笑顔になった。
「幸也君! 来てくれたんだ!」
俺はその声を聞いて更に驚く。
声まで全く一緒だ……。
この子は……紛れもなく俺が仮想世界内で心から愛していたキミガミのヒロイン 愛華だ。
呆然とする俺の身体は、勝手に彼女の元へと進んでいった。
俺の様子を見た彼女は心配そうにこちらを見据える。
「幸也君……? どうしたの? 顔色悪いよ?」
彼女の目の前まで来た俺は迷いもなく、そして勢いよく、
ーーーー彼女に抱きついた。
「愛華たーーーーーーん!!! やっと画面の外へ出てきてくれたんだねっ! 俺は嬉しいよ! これからどこへ行こうか!? そうだ、新婚旅行に行こうか!! あっ、それ結婚すっ飛ばしてるか………なら結婚しよう!!」
正直に言おう…………。
この時の俺は混乱していた。
この行為はもう訴えられても仕方ないレベルである。
猛烈な抱き着きをキョトンとしながら受け止めていた彼女はやがて頬を染めながら俺の頭を撫でる。
「結婚とかはまだ早いよ。 私、今病気してるし……。 でも…嬉しかったよ?」
その言葉を聞いた俺の脳内にはズッキューーーンと物凄い音が聞こえた。
愛のキューピッドなどと生易しいものでは無く、大砲の弾を身体に受けたのかと思うほどの衝撃だ。
そして俺は、鼻血を噴き出しながら気を失った。
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とても気持ちがいい夢を見ていた。
なんの夢だったのかは分からない……だがとても幸せな夢だった気がする。
俺は病室のベットの上で寝ていた。
眩暈を覚えながらもゆっくりと身体を起こす。
部屋を見回すが、そうした所で出てくる感想といえば『あっ、病室や』くらいしかなかった。
するとすぐ隣から声が聞こえる。
「幸也君やっと起きた。 あの後私も鼻血まみれになって大変だったんだよ?」
世界一可愛いといっても過言ではないほど可愛い女の子はふてくされながらこちらを見上げる。
俺は、彼女と同じベットの上で寝ていた…………。
「うわぁっ!!??」
あまりの驚きにベットから転げ落ちながら、先程の醜態を思い出す。
よく考えろ、冷静になれ…俺。
ここは現実世界だ、あまりにも愛華たんに似ていたとはいえ、友達にあんな事をしてしまえば捕まる。
ここは全ての理由を話し、精一杯謝ろう。
俺は物凄い勢いで床に頭を擦り付け、ジャパニーズドゲザを行使する。
「さっきはスンマセンでしたぁーーーーーー!!!! 言い訳ではなく言い分があるんです! せめて聞いてください!」
その姿をみた彼女はしばらく目をパチパチとさせていたが、ややあって口を開く。
「幸也君? 私怒ってないってゆうかむしろ嬉しかっ……やっぱりなんでもないっ!! 忘れて!!」
顔を真っ赤にしながら慌てふためく彼女は相変わらず愛華たんにそっくりだった。
ハァハァ……萌え死ぬ……じゃなくって!!!
ちゃんと理由も説明しないと!!
記憶を失った事とかを!!
「あの………ちょっと聞いてほしい事があるんですけど…」
「うん…どうしたの? なんで敬語なの?」
「あのですね…………」
俺はこの世界に時からの全ての事を包み隠さず彼女に伝えた。
全てを聞いた彼女の顔色は青ざめていた。
しばらく無言で俯く彼女は、やがて顔を上げ、大量の涙を流しながら床に座る俺を見下ろす。
「じゃあ………私の事も全部忘れちゃったの? 全部……?」
実質何も悪くない俺は、少し罪悪感を感じてしまう。
「はい……何も覚えてません」
すると彼女はベットの上で大粒の涙を流し、大きな声を上げて泣いた。
その間俺は何も言う事が出来なく、床の上で俯きながら座っていた。
長い間泣いていた彼女はやがて『よし……決めた』と呟くと俺に向き直る。
「忘れちゃったなら全部話す。 今までの事………そしてもう一回思い出を増やしてく」
彼女が何を言ってるのかさっぱり分からない俺は困り顔をするしかなかった。
そして彼女は深く深呼吸をした後に現実世界内の俺と彼女の事を丁寧に説明してくれた。
彼女の名前は秋山愛華。
俺と同じ高校に通っているらしく、同じクラスらしい…。
そして、俺と秋山さんは恋人同士だった。
秋山さんは高校三年に上がった頃から病気をしてしまい、それからずっと学校に行けず、入院をしていたとの事。
全てを聞いた俺は驚きを隠せなかった。
何故なら、彼女みたいな超絶美少女が俺と付き合っている事に。
なら、自宅にあった下着とかはやはり秋山さんのだろうか?。
この歳で同居とか………けしからん。
「あの、秋山さん?」
「私達…恋人同士なんだからちゃんと名前で呼んで? あと敬語もやめよ?」
「分かった。 えと、愛華? ちょっと聞いてもいい?」
愛華は納得がいったようで、とても嬉しそうに『ん! なに?』と答える。
なんでもいいけど本当に愛華たんそっくりだ。
仮想世界内の愛華たんは現実世界での俺がこの子を知っていたから現れたのだろうか?
いや、今はそれより聞かなきゃならない事がある。
「愛華って俺と同棲してたりしたの?」
すると愛華の顔はみるみる内に真っ赤になっていき、布団をギュウっと握りながら俯いた。
「同棲………したいの?」
「いやっ! そういう事じゃなくて!! えっと……俺の自宅を探してたら女物の服とかが大量に出てきたから」
すると空気が凍りつくのを感じる。
彼女は俯いたまま固まっていた。
あれ?……何か俺まずいこと言った!?!?
あー、こんな一瞬で空気を凍らせる事が出来るとか、俺どんだけ優れたエアコンだよっ!!!
まぁ、最近のエアコンは空気も読むらしいけどな……。
「幸也君? それどうゆう事?」
「いっ、いや俺に言われても…」
怖い怖いっ!
とても可愛らしい笑顔をしているのに何故か笑っていない。
後ろにゴゴゴとか効果音がつきそうだな。
すると愛華はため息をついたあと、自分が座っているベットをトントンと叩いた。
こっちに来いという事だろうか?
なんか犬扱いされてるみたいで興奮するな……これ。
俺は少し迷いながらも彼女のベットに腰掛けた。
すると突然彼女が抱きついてきた。
豊かな胸が思いっきり背中に当たっており、さすがに恥ずかしくなる。
こういう事やめて下さいよ。
童貞には刺激が強すぎます。
いや、ホントに。
「あまり心配させないでね?」
愛華は俺の背中に顔を埋めながら小さい声で呟く。
って言われてもな。
俺が何かした訳じゃないが……。
「あぁ……分かった」
とりあえず返答はこれでいいか。
答えを聞いた愛華は、俺を抱きしめる腕の力を一層強くした。
「ん、 大好きだよ」
今、俺の脳内で雷が落ちた。
リアル愛華たんの大好きだよキタァーーーーーーーっと、また暴走する所だった………危ない危ない。
でも、俺はこれになんて答えたら良いのだろうか?
俺は愛華の事が大好きだった。
だが、それは仮想世界内の、ましてやゲーム内の話だ。
どれだけそっくりでも別人である事には変わりない。
悩んでいると愛華はパッと俺から離れ、悲しそうに口を開く。
「大丈夫だよ。 これから好きになってくれればいいから。 だから、今は大丈夫」
いや、そうゆう訳じゃないんだ。
愛華の事は本当に大好きなんだけど、さっきも言ったが別人だ。
そんないい加減な気持ちで好きなどといっても良いのかと………。
俺は何も言えなかった。
すると愛華は俺の頭を優しくひと撫でして、少し頬を染めながら笑顔になる。
「今日来てくれてありがと、幸也君。 もし暇があったら毎日でも来て欲しいな……」
「あぁ、 来るよ…毎日」
そう答えると愛華は安心したような笑顔を俺に向け、『それじゃあ、バイバイ』と手を振った。
俺は少し照れながら手を挙げると、病室を出て行った。
外は既に夕暮れになっており、未だに暑いではあるが昼よりは幾分かマシだ。
病院を出た俺はコンビニに寄り、カップ麺とプリンを買い、駅へと向かう。
どうしてだろう。
あんなに可愛らしい彼女が居たというのに何故か心は晴れない。
なんか………こう、モヤモヤするのだ。
多分これはアレだ………罪悪感。
素直に愛華そっくりな彼女が居た事は嬉しいが…、あの子が見ているのは俺ではなく、現実世界の俺だ。
その気持ちを利用してイチャコラしてしまったら、現実世界の俺はどう思うだろうか……。
何故か俺は、俺自身に罪悪感を感じてしまっている。
俺とはいっても。俺ではない、もう一人の俺。
俺はひたすらその事を考えながら帰路に着いた。
どうも、4話目の投稿です!!
良かったら見ていって下さいね!