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〜プロローグ〜 残念なオタク

オタクの聖地、秋葉原。

その場所は、二次元を心から愛する存在からしたら無くてはならない場所である。


がしかし、裏を返せば二次元をこよなく愛する人以外の人々には必要がない場所と言う事にも聞こえるが、そんな事はない。


秋葉原には電気街もあり、パソコンのパーツが安く手に入ったり、スペックの高いパソコンを安く購入できたりもするので一般の社会人からの需要じゅようも十分にある。


だが、一つの場所に違う理由を持って集まった人々はどういう状態に至るか。


それは文化の違いに対する嘲笑だ。


一般的にオタクと呼ばれる人々は常識がないと偏見を持たれているが、そんな事もない。

常識があるからこそ秋葉原という、同士が集う地へとおもむくのである。


他の場所でアニメのTシャツを自慢気に着たり、ショルダーバックに二次元缶バッチをつけていたりしたら侮蔑ぶべつの目を向けられる。


オタクとは人目を気にする繊細でシャイな生き物なのだ。


だが、そのオタクが集う秋葉原に一般的な社会人が他の需要で赴いた時、彼らはどんな反応をとるか。


オタクの姿を盗撮し、ツイッターやらLINEのタイムライン辺りに投下して『秋葉原のオタクのマジきめぇwwww』などと呟くのだ。


その一連の行動を心の底から楽しそうにする彼らの姿はさながら、小学生の時に居た何かと先生にチクる構ってちゃんその物だ。


彼らは人をけなすことにより自分の存在価値を実感するという全く持って理解不能な行動をしている。


なので彼らはオタクにとっては敵であり、また逆も然り。


オタク達は聖地を汚されないが為日々頑張っている騎士なのだ。


つまり二次元をこよなく愛し、尊敬している俺、五木いつき幸也ゆきやはオタクの種に分類される。


そして俺は気高い騎士おたくだ。






× × × × ×







時期は真夏、秋葉原の某有名ゲームショップから始まる行列の中間辺りに位置する場所に、俺は並んでいた。


今日は猛暑日の為、気温は熱中症になるのではないだろうかと思う程上がっており、額からは大量の汗が吹き出している。


なぜ俺がこんなバカバカしくなる程暑い炎天下の中、列なす行列に並んでいるのかと不思議に思う方も居るだろう。



だがそれには大事な、本当に大事な理由があるのだ。



そう、今日は大人気恋愛シュミレーションゲーム、『キミガミ2』の発売日なのだ。

俺はこのゲームのキャラクターである愛華たんを愛している。


黒く、少しウェーブのかかった艶やかな長い髪。

若干の幼さを残した相貌はどこか儚さを感じさせ、紺色のスカートから伸びる綺麗な足はこの世の物とは思えない程美しい。


ついでに俺は足フェチです。


えっ、そんな情報要らなかった?


ごめんなさいね。


まぁ、とにかく!


愛華たんはこの世のクソな三次元女なんかよりも断然美しい。


現実の女なんてものは金目的で男と付き合うし、男性に対する大体の評価は顔で決めてやがる。


だって、知ってるか?


あいつら俺みたいなブサメンから告白された時なんて返すと思う?


汚物を見るような目を向けた後、『あっ、ごめん、君は無理』だぜ?


君は無理ってなんだよ!

じゃあ、俺以外だったら誰でもいいのかよ。


まさにビッチの象徴である。


まぁ、その誰とでもヤっちゃうビッチにまでキモがられる俺も大分終わってるが。


などと高校時代の儚い思い出を、思い出しながら悶々としているといつの間にか行列は進み、俺は1番前へと来ていた。


ありゃ、いつの間に。


やはり辛い過去を思い出している時程時間は早く経過していくな。

キミガミ2を片手にレジに並ぶと、とても可愛らしい女の人が担当していた。


「いらっしゃいませー。 このソフトは限定版と通常版の二種類がありますけどどうしますか?」


営業スマイルをこちらに向ける可愛い女の子に俺はドヤ顔で言った。


「フッ………… 両方下さい」


決まった。

きっとこの店員は俺の事をゲームを2つも大人買いしてしまうダンディーな人だと思っている筈だ。


告白されたらどうしよ。


店員さんの営業スマイルは一瞬崩れたが、再び笑顔に戻ると『限定版を持ってまいりますので少々お待ちください』と裏の方へ入って行った。


レジで待ちながら店の中を見回す俺は目ぼしいギャルゲーを見つけたらメモるなどをして時間を潰していた。


ややあって店員さんが『お待たせしましたー』と帰って来ると会計を済ませ、袋に入ったゲームソフト2つを手渡してきた。


それを受け取る際に彼女の手に少し触れてしまった。


すると彼女はついに営業スマイルの壁をぶっ壊し、触んじゃねぇーよ、的な表情をしてこちらを睨む。


俺はその視線に怯え、そそくさと店を後にした。


何も睨む事はないだろ。

わざとやったんじゃないんだから。


男ならみんなした事あるだろ?

コンビニとかで女店員さんに商品が入った袋を渡される時、その手に触れないように気をつける事。

あいつら思いっきり手に触れなきゃ袋を取れないような形で渡してくるが、少しでも触れてしまったら嫌そうな顔をするんだよな…。


あれ………もしかしてこれ俺だけですかね?


だとしたら流石に落ち込む。


自分の人生に落ちこんでいると、キミガミ2のパッケージをどうしても見たくなり、袋から出しながら道を歩く。


袋から出したソフトのパッケージを見ると世界一美しい愛華たんがいた。


……ここは桃源郷ですか?


いや、正確に言うなら俺の視覚に写っているこの絶世の美女は桃源郷ですか?


どっちにしても意味変わらねぇじゃねぇか!

って言うか言葉がおかしい、日本語でおk状態になっている。


キミガミ2のパッケージを道中で見ながらにやける俺は周りからどんな目で見られているのだろうか。


いや、今は…今だけはそういう事を考えるのをやめておこう。


辛くなるだけだからな。


などと考えながら歩いていると、俺は足元にあった石ころに足を取られた。

今考えると、俺はこの時ゲームソフトを道端で開くべきではなかったと思う。

小さい頃にママンから言われたもんだ、『前を向いて歩きなさい』と。


もちろんこの時の『前を向いて歩きなさい』は人生に対してではなく、普通に道を歩く事に対して言われた事だ、勘違いはしないで欲しい。


小石に足を取られた俺は、びっくりする程の勢いでアスファルトにフレンチキスをした。


だが問題はここからだ。


顔面からアスファルトに着地した俺の首は、バキャャッッ!!っと物凄い音を立てて真横へ折れた。

一連の動きを見ていた通行人は悲鳴を上げ、その場から走って逃げる者も居る程だった。



あれ?


首がっ、ていうか身体が動かない。

そして何より首が痛い!


もう本当に痛い、レベルで表すとスネに下敷きの横でスカンッと何度も叩かれている程痛い。

声を上げようとするが……でない。


そのうち意識は朦朧としていき、思考が鈍っていく。


こんな死に方あんまりだ。


せめて誰かを助けてトラックに轢かれて死ぬとか、そんな格好いい死に方をしたかった。

いや、まぁ。 目の前に轢かれそうな人がいた所で俺は助けないがな。


いのち だいぢ


小学生の頃に夏休みの課題を済ます時の作文に書いたような内容を脳内再生する。


その辺りで思考が出来なくなり始める。

あーもう死ぬ。

死ぬ時ってあまり痛くないんだな


すると、頭の中でキミガミ2のゲームソフトが思い浮かぶ。


ゲーム…………やりたかったな。



そして俺は転倒により首を複雑骨折し、死亡した。


どうも、牧野悠です!


まずは作品を読んで頂きありがとうございます!!


頻繁に更新しますので良かったら見ていってください!!

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