※妹乱入・続
「赤さん、緊急事態が発生しました」
赤さん? ご主人様ではなく?
「そりゃ、予定の時刻と違う時間に……」
「いえ、あちらを見て下さい」
俺はリズが指差す先を見ると……。
「なんで、葵までここにいるんだ?」
「私に言われたって知らないわよ。ここはどこで、その子は誰よ!」
今度は葵がリズを指差す。
「落ち着いて、よく聞いてくれ。ここは『異空間』で、あれは倒すべきモンスターたちだ」
うん、家族に説明するのってテレるんだよな……。
「全然意味わかんない。私が聞いたのはこの子よ!」
「大丈夫だニャ。私が葵ちゃんを守ってみせるニャ」
「その呼び方……、リズルさんなの? でも獣みたいに……」
「リズは俺が行方不明になっている間に行った『異世界』の住人だ。そしてこの空間では、その世界の常識が適用される」
「なるほど……」
「今の説明で納得できるのか?」
「お兄ちゃんとリズルさんの仲に納得しただけよ。道理で今まで彼氏を作らないはずよ……」
そっちか……。
「リズ、さっき上手く倒せたから、今回も大丈夫だよな?」
「モンスターは同じですが……、全員戦えるのと守るべき者がいるのとでは……」
確かにな。
「誰か……」
仲間を増やせないものか……。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん、あのパンダは何?」
「俺のテイムモンスターだ」
「あのゲームにそんなのいたっけ?」
「俺も見たことなかったんだが、やっぱりいなかったよな?」
あれ?
「なんで、葵が『モンスターテイム・オンライン』の事を知っているんだ?」
「ネットに載ってたのよ。『迷宮踏破は異世界の入口』って……。それで……つい……」
「もうすぐ始まります」
リズは後衛だから、遠距離攻撃で狙撃すれば良いように思えるが、守りながらだと狙いやすい位置にも移動できず、俺たちは苦戦する。
「お兄ちゃん、怪我してるじゃない。治せないの?」
「回復か……」
思い出せない。ここまで出かかっているのに……。
「もうMPがないニャ」
「異世界の常識は……錬金術師のモズラ様に……」
「遅いですよ。呼んでもらえないのかと思いました。リズさんこちらの薬を。ご主人様はこちらを……」
「人が急に現れた……。それに、ご主人様?」
「話は後だ!」
「逃げるなぁー!」
葵の言葉は、みんなに無視されるのであった。
異空間だと葵が元気すぎる気がしますが……。気のせいですよね?