妹乱入
「リズの家って隣だから、この窓から見えるあの家だよな……」
「そうですよ」
「空き家だったか?」
「いえ。引っ越してもらいました」
俺の部屋は角部屋だから窓が道路側と庭側の2つある。道路側は交通量が多いので、閉めていることが多かったが……。
「俺の部屋がここだって知っていたか?」
リズは気まずそうにしているので、なでる手を止めた。
「……はい。知っておりました」
「正直に答えたからな、なでるのを再開しよう」
気になったことが1つある。
「なんで、向こうの窓も丁度同じ高さで同じ幅なんだ?」
「それは……。この部屋と壁を作らないためです。ちなみにあの部屋に私が寝ています」
だろうな……。話の流れからそんな気がしたよ。そのうち渡り廊下でも作るのか?
「これはやっぱりアレだ。リズはストーカーだ」
「もう恋人ですからセーフですよ。親公認ですよ。もうキスもしましたよ。耳も触られましたよ。責任をとってもらわなくてはいけません。明日婚姻届をもらいに行きましょう」
リズは別れたくないので、必死だ。俺まだ18歳じゃないからな。
俺はリズを抱きしめて黙らせる。
「そうだな。リズは俺のために生きているもんな」
「そうですよ。ご主人様と一緒になるために生きて……」
俺はリズにキスをした。
「ご主人様、ズルいですよ。まだ私の気持ちを言っていません」
今度はリズからキスをしてくれた。
どのくらい抱きしめあっていただろう。
リズは目が合うたびに『キャッキャ』しているので、ずっと顔が赤い。
心臓に悪そうだな……。
俺たちの甘い時間は唐突に破られることになった。
「ただいま~。お兄ちゃんが帰ってくるの今日だったよね~。玄関に靴があったからもう帰ってきてるの~」
俺は急いでリズを隣に移動させた。
「お兄ちゃん、おか……え……り……。リズルさん、こんにちわ」
妹も母と同じで、リズを見ると声が小さくなった。
「おかえりなさい。葵ちゃん」
※妹の名前です。
「え~っと2人はどういうご関係ですか……」
俺の妹はブラコンだ。状況だけで大体わかっているけど、認めたくないから質問したってところか。
「お付き合いをしています」
リズは淡々と事実を伝える。
「なんで今日初めて会ったお兄ちゃんとリズルさんがお付き合いできているんですか」
リズの『男嫌い』『潔癖症』は妹も知っていたか。
「その前にどうして、葵とリズは知り合いなんだ……」
「もう愛称ですか……」
怒気がすごい上がったな……。
「リズルさんは何でもできるので……、女性には優しいんですよ。たまに勉強をみてもらったり、料理を一緒にしています。なので感謝はしています。ですが……」
そろそろ爆発しそうだな……。
「2人で赤さんを共有しましょうか」
「「え」」
俺と葵が驚きの声でかぶった。
「私は葵ちゃんが、赤さんの事を好きな事は知っていました。会うたびに……」
「あああああああああああ、バラさないで~~~~~」
「待て、お前のブラコンはさすがに気が付いていた」
葵はバレていたことにショックを受けて床に崩れた。
「私は葵ちゃんから赤さんをとる気はありません。だから一緒に共有しましょう。ね」
あまりのショックで思考がうまく働いていないのだろう……。リズの声が天使に聞こえたようだ。
「リズルさん、お兄ちゃんをとらないなら許します」
親に続いて、ブラコンの妹まで攻略しやがった……。
そして2人が俺に抱き付いてきたタイミングで午後4時を迎えて、俺たちは異空間に飛ばされた。
「異空間に飛ばされるのは12時だけじゃなかったのか……」