※異空間
「俺に異世界での力が戻ったが、いったい何をさせたいんだ」
「すみませんが、もう説明している時間はないようです」
【リズールのパーティに加入しますか】
・Yes
・No
『Yes』
突然視界が暗転して『迷宮の中』に移動した。
目の前には[スライム]、[ゴブリン]が、合計20体ほどいる。
あの異世界で戦っていたモンスターだ。
どうなっているんだ?
視界の上には2分57秒のカウントがドンドン減っている。
きっとこの数字が0秒になったら、戦いが始まるのか……。
リズを見るとネコ耳が存在している。そしてリズの職業は〈村人〉だった。
「ご主人様、あの頃の私の職業を覚えていますか」
「確かリズは〈魔法使い〉だったな」
俺がリズの職業を口に出した瞬間、リズの職業が〈魔法使い〉に変わった。
いったい何が起きたんだ?
「やはりこの世界では、ご主人様が思い出せれば、それが現実になるようです」
「んじゃゲームの中にあった、最強の武具を思い浮かべたらどうなるんだ……」
何も起こらなかった……。何か恥ずかしい。
「並行世界で起こっている出来事までしか呼び起こせられないようです」
「もう1人の俺が経験して、それを俺が受信できれば、ドンドン強くなれるということか」
「そうです。ただし、私からは一切のヒントを出すことができません。それがルールです。破ると現実世界に戻れなくなり、もう二度とご主人様と会えなくなってしまいます」
「そういえば、最初にリズは俺の記憶を戻すために首輪とかリボンとか見せたが、あれはルール違反にはならないのか」
「ご主人様が力を取り戻す前だったので、大丈夫です」
なるほど。言われてみれば……。
残りカウントは2分か。
俺は異世界のリズの装備を思い浮かべた。
「んじゃリズには『ステッキ』と『皮の服』と『お守りのリボン』をあげよう」
俺が口にするとリズの服装が変化した。
「少しずつ思い出せているようですね」
「あぁ、残り1分でどこまで呼び起こせられるか……」
あのゲームはモンスターを使役するゲームだ。つまり、俺には優秀なモンスターがいたはずだ……。
確か野球好きで……。ドロップを拾うのが大変だったな……。
「パンダ様。待たせたな。また俺に力を貸してくれ」
俺が声をかけると今まで横で待っていたのか、竹を装備して立っていた。
「もしかしたら、俺が気が付いていないだけで、まだこの空間にはたくさんの人や物、装備が待っているのか……」
「そうなりますね」
「みんな、もう少しだけ待っていてくれ。俺は必ず並行世界を認識してみんなを呼んでみせる」
もうすぐカウントが0秒になるな……。
「俺は〈モンスターテイマー〉を目指す〈獣使い〉だ」