Q.7 友人三人で飲み食いしたらどうなりますか? 学生時代の延長みたいなノリで騒ぐ
「マジか。え、何? 結婚を前提に同棲始めたん?」
あれから引っ越しぎょーしゃの人たちが来て、夏葉の家具とか荷物なんかを運び込んでもらった後、折角だからとゆーことで、そーまを呼んで、三人でご飯食べて飲も~、とゆーことになった。
それで、その席でボクと夏葉が一緒に暮らすことを話すと、そーまは少し驚いたよーな、やっとか、みたいな感じの顔を浮かべて、そんなことを言った。
「YES!」
「やー、ただのどーせーだよ~。結婚まではいかないよ~」
そーまの言葉に対して、夏葉はそー言ったけど、ボクははむはむと夏葉おてせーのおでんの大根をパクリと食べててーせーを一つ。
「またまたぁ。陽ちゃんってば照れちゃってぇ~」
「ぬぁ~~、むにむにしにゃいで~」
ボクのほーをむにむにぃ~ってこねくり回す夏葉にこーぎする。
あと、すごくテンション高い。
「なるほどなー。つまり、俺は用済みってことか……」
ボクと夏葉のやり取りを見て、そーまが少しだけ寂しそーに肩を落とした。
でも、ボクとしてはここではいさよならをするわけはないので、フォローを入れる。
「そーゆーわけじゃないよ~。そーまのご飯も美味しーし、何より男どーしの会話は、やっぱりそーまとしたほーがいーからね~」
「そうか? なら、ちょくちょく遊びに来るわ」
「おっと、鈴里君! マイハニーとの仲は邪魔しないでもらえるかい?」
「ハニーじゃないよ~。ダーリンじゃないかな~」
「そこじゃねぇだろ」
「ん~?」
だって、今のボクが女の子になってるとはいえ、中身はれっきとした純度100%の男だから、ハニーじゃなくて、ダーリンのはずだし~。
間違ってないよね~?
「まあでも? 鈴里君がどうしてもって言うなら? 私と陽ちゃんの愛の巣に来て、ご飯を作ってもいいよ?」
「何目線だよそれ。だがまぁ、俺としてもこいつとは長い付き合いだし、いきなりはいさよなら、ってのも嫌なんで、普通に遊びに来るわ」
「りょーかーい。いつでも来てね~」
そーまが来なくなるのは、ふつーに寂しいので、来てくれるのは素直に嬉しー。
やっぱり、しんゆー兼幼馴染は大事~。
「おう。……あ、そうだ。陽、お前のチャンネル、また伸びてんぞ」
「こくこく……ほんと~?」
お酒が入ったコップを、りょーて持ちして飲んでいると、ボクのチャンネルが伸びたと教えてくれた。
「おう。たしか……お前すげぇな。登録者数、爆伸びして、5万弱まで行ってんぞ」
「へぇ~。それってすごいの?」
ボク自身、あんまりそーゆーのに詳しくないから、すごいのかすごくないのかがわからない。
どーなんだろ?
「企業勢ならわからんでもないが、個人勢でこの伸びはバグってる。しかも、たった一夜でこれだしな。そう考えりゃ、相当すげぇな」
「そっか~」
ボクはすごいのか~。
ん~……あんまり実感はわかないかな~。
「まーでも、ゆるゆる~っとマイペースに頑張るよ~」
「既にマイペースだけどな」
「えへへ~」
それもそーでした。
「ねね、チャンネルって何? もしかして陽ちゃん、動画投稿始めたの?」
Vとしてのあれこれを話してると、そのじじょーを知らない夏葉がポテトフライをもむもむと食べつつ、こてんと首をかしげてそー訊いてくる。
「ん~? あ、そーいえば、夏葉には言ってなかったね。えーっとね、んーっとね……あ、あったあった~。これ~。このVTuber、ボクなんだ~」
そー言ーながらスマホをそーさして、微睡ねむりのチャンネルをひょーじして、それを夏葉に見せると、びっくりしたよーに目を見開いた。
「え、マジで!? って、あ、これ、なんかV界隈でちょっと話題になってたねむりちゃんじゃん! マジ? あれ、陽ちゃんだったの!?」
「そーだよ~。もしかして、見てくれてた~?」
驚く夏葉に、そー尋ね返してみると、夏葉は破顔してこくこくと頷く。
「まあね! っていうか、私はほら、そこのVオタ君に散々布教されまくったからね。と言っても、見てるのはらいばーほーむくらいだったんだけど」
「ん? そんなら、なんで陽の配信を見てたんだ?」
「なんとなく? 私、たまーに個人の人とか見たりしててさ。んで、たまたま見かけたから見た」
「なるほどな」
「でも、そっか~。なんだか、そーやって友達が見てくれてるのはすごく嬉しーな~。あ、面白かったかな?」
「めっちゃ面白かった。あと、チャンネル登録もした!」
「わ~、ありがと~」
満面の笑みで褒めてくれる夏葉の言葉に嬉しくなって、えへへぇ、と緩んだ笑顔を浮かべる。
なんてゆーか、こうやってシンプルな感想が、なんだかんだ一番嬉しかったりするよね~。
「でもそっか。陽ちゃんが配信を始めて、私がこの家に住むとなると……炎上が起こりかねない、というわけかっ……!」
「いやなんでそうなる」
「ばっかやろうっ! 鈴里君バーカ!」
「何で今罵倒した!?」
「この私をV沼に落とした鈴里君ならわかるはずぅ! そもそも、陽ちゃんって男性って公言してたイラストレーターじゃん?」
「そーだね~」
「んで、そんな男性が、TSしてVやってたと、暴露したわけじゃん? 昨日」
「だな」
「んでんで、陽ちゃんことねむりちゃんが突然、実は女性と二人暮らししてましたァァァ! とかなんとかバレたらどうなるよ!?」
「えんじょーかな?」
「その通りぃ! んでんでんで」
「そのフレーズ聞くと草を三つ生やしたくなるな」
「え? なんか今の意味あったの?」
「ん~、昔のとあるラノベのアニメで使われたオープニングの一フレーズのこと~」
「あ、そういう……って、今はネタをする場合ではなくてですね? ……まあ、つまるところ、あれですよ。この私が陽ちゃんの配信中に入り込むぅ! なんてことがあれば、陽ちゃんがそれはもうネットの怖い部分に晒されることに!!!」
「ぶっちゃけ炎上はしねぇと思うけどな」
握りこぶしを作って力説する夏葉に、そーまがお酒を飲みながらだいじょーぶと言わんばかりのひょーじょーでそー返す。
「え、なんで?」
「まだまだだぜ、三橋。いいか? Vだけじゃなく、配信者としてスタートを切った時の最初の性別によって、ある意味変わると言ってもいいだろう……。最初から男でやって、途中から女になった配信者だったら、案外炎上する恐れはあったが、こいつの場合女で始まっている……。つまるところ、仮に中身が男だろうが、肉体的性別は女性というわけだ」
「ふむふむ」
「ということは、だ。……こいつがたとえ中身男だろうが、同居してるのが女だったら炎上のしようがない! というわけだな! ってか、単純にあれ。こいつの場合、普通に中身が男とは思えないくらいに緩いし、話し方もあれだしな。最初から女にしか見えなくね? ってレベルだからな」
「なるほど。たしかに」
「そこはひてーしてほしーんだけどな~」
ボクだって、れっきとした男なんだけど。
「でもお前、性欲あんの?」
「おー、すごくどちょっきゅーな質問が来たよ~」
これがキラーパスってゆーものなのかな?
ん~……んや~、ちょっと違うか~。
「鈴里君。陽ちゃんと私という、美幼女と美少女がいる食卓で聞くことじゃないでしょぉ!」
「お前少女って年齢じゃねぇだろ。あと、普通に学生時代下ネタぶっこんでたじゃねぇかお前」
「えぇぇぇ? 何のことにござるかぁ~? 私の学生時代と言えば、それはもう驚くくらいのモッテモテ美少女で、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は」
「ゴ〇ラ?」
「そうそうゴ〇ラ……っていやそれただの巨大生物! あと、人類の敵じゃん!」
「お~、いーノリツッコミ」
「いや、昭和シリーズには人類の味方してたゴ〇ラもいただろ」
「知らんがな! ってゆーか、鈴里君ゴ〇ラ好きなの?」
「んや、職場の友人がファンっていうかマニア。ってか、特撮好きだな。戦隊とか仮面〇イダーとか」
「あれ~、ウル〇ラマンは?」
「対象外的な?」
「へ~」
そーゆーこともあるんだ~。
ボクはウル〇ラマン派だったな~。
某スラッガーが頭にあるヒーローの息子までしか知らないし、そのあとのシリーズは見る気なかったけど。
「私、プリ〇ュアしか見てなかったなぁ……」
「「でしょうね」」
「くっ、この仲良し幼馴染コンビめっ。なんかこう、私だけ疎外感を感じる! っていうか、二人は見なかったの? プ〇キュア」
「俺はバイク乗ってる方だった」
「ボクは巨人のほー」
「全員見事にばらけてる……」
「ってか、今は普通に男も見るっちゃ見るけどよ、俺らの子供時代って言えば、男であれ見てると、めっちゃからかわれる時代だったしな」
「だね~。そもそも、オタク趣味もからかわれたり、バカにされることがおーくて、人権がなかった感じはあるよね~」
「だな。お前もイラストの趣味はなんだかんだで馬鹿にされてたろ」
「まーね~。でもまー、今のボクのほーがあっとーてきけーざいりょくを持ってるから、既にボクの勝ち~」
「うんまあ、そりゃそうだわな。ってか、俺らの代だと、お前が一番大成してんじゃね?」
「そーかな~? まだ、大学そつぎょーしてない人もいるし、その人たちがせーこーしてるかのーせーはあるんじゃないのかな?」
「「それはない」」
「おっとー」
二人揃って全力ひてーされた。
「まともな奴が大半ではあったが、まともじゃねぇのもそこそこいたんだぜ? しかも、そう言う奴らがお前をバカにしてたし、あいつらが成功するとは思えないしなー」
「うんうん。っていうか、陽ちゃんって学生時代からすでにプロだったじゃん? ほかが勉強したり遊んだりしてる間に、陽ちゃんはスタートダッシュを切った後で、既にお金を稼いでたし。あと、陽ちゃん普通に人気イラストレーターじゃん。年収すごいじゃん」
「お前去年はいくらだったんだ?」
「ん~、イラストレーター業とどーじんかつどーセットで……大体600くらい?」
「軽々とイラストレーターの平均年収超えてやがる……」
「ボクは運がよかっただけだよ~」
もちろん、ちっちゃい頃からイラストを描き続けたからこそだけどね~。
けーぞくは力なり、ってね~。
それ以外だと、単純にボクのイラストを見つけてくれた人とか、どーじんかつどーでせーこーしたからかな。
うん、やっぱり運がよかっただけ。
「運も実力のうちだが、お前のイラストはマジで上手いからなー」
「私、陽ちゃんのイラスト好きだよ。可愛いし」
「えへへ~、ありがと~」
「……ところで何の話してたんだっけ?」
「ゴ〇ラ?」
「陽ちゃんそこじゃない。してたのは炎上しないかどうかって話」
「そーだったそーだった」
そーいえばそーゆー話だっけ。
でもまー。
「えんじょーしても問題はないよ~。ボク、別に人気になりたくてやってるわけじゃないしね」
「まあ、お前のスタンスはそうだな。……いやそもそも、あれじゃね? 仮に三橋の存在がバレてもなんか人気になりそうだな。お前ら、普通にいいコンビしてるし」
「お? お? そう思うそう思う!? 陽ちゃんの幼馴染兼親友な鈴里君がそう評する時点で私たちの相性は完璧! あ、体の相性とかもいいのかな?」
「やっぱお前も普通に下ネタ言うんじゃねぇか!」
「フハハハハハ! 好きな人の相手のことならば問題なしぃぃぃ! っていうか、同棲族ぞ? 私、同棲族ぞ!? 単純に、私たちの愛がそこにあれば下ネタにあらず。単なる愛し合う行為ってもんよ!」
ん~、これ絶対夏葉お酒が回ってるな~。
顔赤いし普段の三割り増しくらいでテンション高いし。
「お、そうか。……ちなみに、陽的にはこいつに食われるのはどうなん?」
「別にいーよ~」
「お前が言うならまあ、大丈夫なんだろう。……今後、普通にいろんなのにモテそうだけどな、お前」
「そーかな~。でも、男の人にモテるのはやかな~」
「それは普通に私も嫌かな! 女同士なら許す! 男は……許さんっ! 陽ちゃんの純潔という名の処女は私のもんだいっ! んぐっんぐっんぐっ……ぷはぁ~~!」
「お前のテンション普通にやべぇよ」
「大人になって、色々とタガが外れたよね~。こくこく……もきゅもきゅ……」
「んで、お前はずっと飲み食いしてんな。……そういやお前、今の体になってから、酒の強さとか変わったのか?」
「ん~? ん~……ボク自身、強いってわけじゃないけど、甘めのお酒で弱かったらあるてーど飲めるからな~。こくこく」
そーまの質問に返しつつ、コップに入れたお酒をりょーてで持って飲む。
やっぱり、果実けーが一番おいしー。
「はむはむ……こくん。あ、そーいえば、そーま~」
「むぐむぐ……ごくんっ。なんだ?」
「次の配信、なにやろーかな~、って思ってるんだけど、なにかないかな~」
「ん? そうだな……あー、普通に雑談でいいんじゃね?」
「それでいーの?」
「おう。お前の場合、まだ二回しか配信してねぇし、なによりお前の情報があんまし出てねぇからな。ここでがっちりファンとか掴んだ方がいいんじゃね? ってことよ」
「あー、なるほど~」
「初回でハマる奴もいれば、二回目、三回目と動画を見なきゃ判断できない奴もいるからな。アニメで言う、三話切りするかしないか、みたいな」
「ふむふむ、そーゆー考えか~。んま~、ファンは増えるのはいーことだし、ファンを増やすほーこーでがんばろーかな~。もくひょーは、そーだな~……10万人?」
一番わかりやすいし、たしか銀色のアレを貰えるんだよね、10万人になると。
今が5万人みたいだし、そこ狙いで行ってみよーかな。
「いいんじゃないか? そういうのは、一番手が届きそうな目標を設定して、そこから徐々にデカいのにしてくのが一番いいだろうし」
「だねぇ。っていうか、陽ちゃんなら、その魅力で数多の人間たちをメロメロにできるはず! まあ、核兵器が別名の神薙みたまちゃんとか、魔乃闇リリスちゃんとかがいるけど、陽ちゃんはまったく別種の存在だからぁ! 行ける行ける! めざせ100万人!」
「あはは~、さすがにそれは無理だよ~」
「お前なら普通に行けそうだと思うけどな、俺は」
「そんなまさか~」
100万人なんて、それこそおーものになっちゃうし、ボクにはそこまでの面白さや魅力はないと思うからね~。
「んっ、くふあぁぁ~~~~~……んにゅ……」
「陽、眠そうだな。そろそろ死ぬ時間か?」
「鈴里君言い方ァ!」
「間違いじゃねえだろ。こいつ、マジで死んだように寝るしな! ごくっごくっ……ふはぁあ~~! おーし、もっと飲むぞ飲むぞ~~~! あ、陽、今日泊まって行っていいか?」
「いーよ~。てきとーな来客よーのお布団使って~」
「やったぜぃ!」
「何ィ!? 鈴里君きさまぁ! 今日から私と陽ちゃんの愛の巣になる家に泊まると申すかぁ~~~!? 許すゥ!」
「いや許すんかい!」
「あははは~~~」
前と変わらないノリと勢いに、ボクは笑った。
この後も、三人でどんちゃん騒ぎして、気が付けば全員倒れるまで飲んで食べた。
楽しかった~~。




