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54鬼 クービナイ

「オイラの本名、というか銘は国宗。全体としては戒杖刀(かいじょうとう)と呼ばれていたりもするっす」


「うぅん。国宗って言うと昔の刀鍛冶の人で有名な人はいるけど、その名前の方はあんまり知らないなぁ」


落ち着いたところで始まる廻場の名乗り。

戒杖刀だから廻場と名乗っているのだろうかといろいろ推測はできるが、それを超える驚きが俺にはある。


「戒杖刀って有名な仕込み刀だな。上杉謙信が使っていたやつじゃないか?…………ただ、確か傘ではなく杖に仕込まれていたはずだが。ついでに、上杉神社かどこかで保管されてるんじゃなったか?」


「おぉ~。詳しいっすね。その通りっす。ただ、ずっと蔵に押し込められてるのが面倒で抜け出してきちゃったんすよ。中身は適当に似たような形をしてる刀に変わってもらってるっす」


有名な仕込み刀の1つ。

「越後の龍」とも言われた戦国武将である上杉謙信が持っていた杖型の仕込み刀であり、現存している貴重な美術品だ。


そのはずだというのに、外に出てきてしまったようだ。


「仕込み刀が妖刀になってしまったということか?」


「どうなんすかねぇ?別にそういうつもりはないっすけど…………一応それっぽいことはできなくはないっすよ?使用者に人を切りたくさせたりとか」


「へぇ?そうなんだ?それをされたらすぐに祓うしかなくなっちゃうね!」


「ヒッ!?絶対にやらないっす!!」


必ずしも妖刀になっているというわけではないらしい。もしかしたら付喪神とかそういう系統のものになっているのかもしれないな。

そうした部分などいろいろと気になる部分はあるのだが、


「まず聞きたいのはこれからのことだな。これからも唐笠お化けのフリはするつもりなのか?それとも刀として?」


「とりあえず新しいタンク役が見つかるまでは唐笠お化けのフリをしておくっす。ただ、意外と刀として使われるのも悪くない気がするんでその後は必要なら刀もやるつもりっす」


「なるほど。刀の状態だと火力も高くなりすぎるし、しばらくは引き続きタンク役を中心に働いてもらった方がよさそうだな。もしもうやりたくないということだったら変更しても問題ないが」


「それはないから心配してもらって大丈夫っす」


刀であることを隠してたから刀として活動することは嫌なのかと思っていたがそういう言わけでもなく。ただ、だからと言って唐笠お化けでいることが嫌になったのかと言うとそちらもそういうわけでもないようだ。


「そうか。俺もタンクはできるからバランスも考えてそっちに回ろうと思っていたんだけど、必要なさそうだね」


「そっすね…………ん?ちょっと待ってくださいっす。今の、誰の声っすか?」


突然聞こえてきた、男性の声。

その口調は俺に似ていると言われるとそんな気もするが、少し違う。もちろん、声色などは全くの別物だ。


「あっ、そういえばここまで全然声を出してなかった。俺はクービナイ。一応デュラハンをやらせてもらってる」


俺と廻場が声のした方向を見てみれば、そこには俺がテイムを成功させたデュラハンが立っていた。

しかも、そのわきには顔を抱えている。滅茶苦茶イケメンフェイスだ。


「「デュ、デュラハンが喋ったぁぁぁぁ!!!!?????」」


「ん?別にモンスターだからって喋れないわけではないんだけど。知り合いにはけっこう話しができるモンスターはいるよ?」


人の言葉を話すデュラハンに驚愕する俺たち。

それにデュラハン、クービナイは苦笑して返してきた。


ただ今はそれも気になることが、


「メリーと増華は全然驚いてないよな?なんでなんだ?」


「え?私はさっきからクービナイが起き上がってたの見てたし」

「突然頭が出てきたからアタイもびっくりしたけど?」


「ああ。驚かせてしまったか。それはすまないな」


「いや、気がついてたなら言ってくれよ!?」

「そうっすよ!自分たちだけで情報を完結させないでほしいっす!情報共有は大事なんすよ!?」

「起き上がったの分かったなら、すぐに体調の方確認しなきゃいけないだろうが!あんなに大ケガさせたんだから、いくらポーションで治したとはいえまだ傷が残ってる可能性があるだろうが!」


「大事なところはそこなんすか!?」


幾ら品質の良いポーションだからと言って、それですべてが解決したかどうかなんて俺たちには分からない。

本人に確認する必要があるわけだ。その機会を先延ばしにするなんて、仲間としてやっちゃいけない行為だろう。特に、今は緊急時でもないんだから。


「「ごめんなさい…………」」


「ハハハッ。気にしないでくれ。俺はすっかり元通りになっているから」


「そうはいってもな。こういうことを大事な時にもやられたらパーティー全体の一大事になりかねないんだぞ?」


「それは分かるけど、反省しているようだし今回は俺の顔に免じて許してあげてくれないか?」


「ハァ、仕方ないか。お前の顔に免じて…………いや、よく見たらお前イケメンだな。やっぱり許さん」


「そんな理由で顔に免じてくれないことがあるんだ!?」


「…………変だと思ってるのがオイラだけなのが納得いかないっす」

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