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52鬼 打つ手なし?

「廻場!無事か」


「な、何とか。命に別状はなさそうっす」


「逆に言えば、命に関わらない部分は大問題ってこと?」


「困ったね。もうちょっと遅れてたら廻場はやられてたかもしれないし、これは結構絶望的じゃない?」


命は助かったが、廻場は魔法を受けた影響でボロボロ。もう少し当たるところが違えば脱落してしまっていた可能性が高い。


「とりあえず、ポーションを渡しとく。メリーも使ってくれ」


「ふぅ。やっと傷が治せる!もっと早く渡してよね!」


「そう言われてもな」


メリーは文句を言いながらもポーションをかけて腕の傷を治した。

だが、廻場の方は問題があるようで、


「うぅん。さすがに治らないみたいっすねぇ」


「そうか。ポーションでは駄目、ということなのか?」


ポーションを書けても傷は治らなかった。

それは廻場が唐笠お化けだからそうなのか、それともデュラハンの魔法の影響なのか。理由は分からないが、俺たちが万全な状態に戻れないということも確かだった。


「そういえば増華、さっき通常のモンスターに使った技は一的に強くなる代わりに後遺症が重い物だって話をしてたよな。あれをデュラハンにかけて後遺症で苦しめるとかはできないのか?」


「できなくはないけど、あの防御力を考えるとあんまり意味がないだろうね。私が吹き飛ばしてもすぐに復帰してきてたし、その程度じゃどうにもできないでしょ」


「うぅん。そうか。厄介だな」


敵の姿を見て戦い方が分かれば、もう少し何かできることが思いつくかと思っていた。

しかし残念ながら有効打は何も思いつくことがなく、加えて味方を1人大ケガさせてしまむという結果に終わってしまった


「どうにもならんな」

「これは無理だねぇ」

「ボスも途中でアイテムをいくつかか使ってたけど、効いてなさそうだったからなぁ。アイテムも効かないんじゃ本格的に何もできないでしょ」


皆もうだめだとあきらめざるをえなかった。

しかしそこで、


「なら、オイラから1つ良いっすか?」


廻場が声を上げる。

もうろくに案も浮かばない俺たちだったため、何か考え就いたことがあるというのなら拒否する理由はないと言って良いだろう。


そのため、すぐに話を聞いた後に動き出し、


「さぁ、来いデュラハン!!」


まず俺が真っ先に前に出て、デュラハンの注意を引く。

とは言っても、俺自体はそこまでタンク役ができるわけではないから別のものに頼るしかない。

そこで頼る相手は非常に申し訳ないのだが、


「頼むぞ廻場」


ボロボロになった和傘。

それが俺の近くで開かれる。


廻場が注意を引いてくれると申し出てくれたんだ。正直このまま攻撃をされたら破壊されてしまうと思うのだが、逆に言えばそんな確実にやれそうな相手がいるからこそデュラハンもこちらの数を減らそうと狙ってくれて、


「やらせねぇよ!」


「プルッ!」


俺がここで全力の足止めを行なう。

ここではダストも一緒だ。


まずダストが足止めを行ない、俺がこの相手でも効きそうなアイテムをありったけ使用する。

幾ら防御力が高い相手でもある程度通用しそうなアイテムを使用したため何かしら効果があったようで、その動きが止まる。


ダストも足に絡みついていて、ここで一瞬だが完全に足が止まった。

このタイミングで、


「もらったあぁぁぁぁ!!!!!!」


突如、デュラハンの背後に現れる鎧を持つ剣士。

増華が、ここでメリーの転移を活用して奇襲を仕掛けていくんだ。

もちろんデュラハンもそれに合わせて慌てずカウンターを合わせようとするが、


「アタイがこんなことしかできないなんてねぇ!!!」


そこにもう一度背後への転移を行なったメリーが、膝カックンを行なう。

今まで基本的に行ってきた攻撃はあまり意味をなしていないようだったが、ふきとばしが効果を出したように相手の体勢を崩す程度なら多少はできる様子。

これによりデュラハンもカウンターを上手く出せないと悟ったようで素早く防御に切り替えた。


「まだ崩したりないな!」


そこにさらに俺は膝への攻撃を追加する。

膝カックンどころではない衝撃が片足だけだがデュラハンを襲い、更にバランスを崩した。


とは言ってもさっすがに格が違うためデュラハンの剣は増華の攻撃を遮る位置にある。

その剣の質を考えれば増華が今まで使っていたような剣では意味をなさないことなど容易に理解できることで、


「その程度じゃ、オイラは防げないっすよ?」


そして今回は、その武器が今までとは格段に性能が違ったことから無駄になることはなった。

デュラハンの持っていたいかにも強そうな剣はやすやすと真っ二つにされ、そのまま刃がデュラハンを切り裂く。


「ダスト!止めろ!!」


「プルッ!」


その攻撃の危険性を感じ取り逃げようとするデュラハンだが、ダストがそれを許さない。

多少引きずられはするががっしりとその下半身を捉え、増華の二撃目を当てさせる機会を作った。


更に俺もどこまで意味があるかは分からないがその退路を棒でふさぎ、二撃目の跡も期待できるようにする。

ただそこまでする必要はなったのか、


「これでとどめ!!」


増華の追撃は、デュラハンの胸を大きく切り裂いた。

尋常ではないダメージが出たことは見た目から分かる。


「オイラたちの勝ち、っすね。何で負けたか明日まで考えておけっす」

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