表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/56

48鬼 転移不能

昨日は投稿を忘れていました

もうし訳ない!

転移が発動しない。

それは由々しき事態だった。


メリーの転移能力は基本的に距離の制限なんてないし、今まで一度も転移ができないなんていう事態に陥ることはない。


「ボスの後ろに行くのは…………うまくいった」


「近い距離ならどうにかなったか。なら、ダンジョン外ならどうだ?驚かせそうで悪い気はするが、モベヤの背後に転移するなら問題ないはずだが」


「やってみる…………うぅん。無理っぽいかも」


首を横に振るメリー。

それはつまり、メリーが思ったような転移が使えないことを意味していた。


「何が起きている?そんなことがあるのか?もしや、妖怪や妖怪退治をする人間か何かが降りてきている連中に含まれているとか…………いや、今はそんな細かいことを考えていても意味がないな。俺たちもできる限り離れるように動こう。増華は情報収集と案内に集中してくれ」


「了解」


逃げ込める場所があるならそこに行く。

難しいならいけるとこまで奥に行く。

巻き込まれないように最大限の動力をするつもりだ。


「さすがにブラッドオーシャンズが動いているなら、すぐに片付いてくれるだろ。この規模で戦ってるなら、あそこのトップも動いてるってことなんだろうし」


「そうっすね。あの人が動いているならどうにでもなりそうっす」


ブラッドオーシャンズのトップの事を考えれば、そちらが負けるということは考えにくかった。

だからすぐに戦闘は終結するだろう。

そう考えてある程度安心できるかと考えていた俺たちに、


「いや、そうでもないかも。とりあえずあの大きい悪い人は来てないっぽいし」


「そうなのか?」


増加が否定をしてきた。

さらに増華はトップが来ていないこと以外にもどうやら気付いたことがあるようで、


「ブラッドオーシャンズと戦ってるの、例の探索者の人達かもしれない?」


「例の探索者?」


「うん。スキルを奪える探索者」


「なっ!?あいつをここで襲ってるのか!?」


衝撃の事実だ。

まさか、こんなダンジョンで襲撃を行なうとは。

確かに階層が深く成ってくると人が少なくなる上に救助も間に合わないだろうからそうした手段に出やすい場所であることは分かるのだが、


「そういうことか。俺たちも使うつもりだな?」


「そうなの?」


俺はブラッドオーシャンズの思惑を理解する。

俺たちが最近共闘を持ちかけられていたのは俺たちと仲を深めたいからではなく、


「俺たちがこのダンジョンに来るように誘導されてたのか。ここなら、組んでくれる相手がいて攻略がやりやすいと感じさせて」


「え?そうなの?」

「でも、そんなの何のためにやるんすか?」


「決まってるだろ?俺たちを、あの激ヤバ探索者と戦わせるため、もしくは殺した後にその罪をかぶせるためだろ」


「ひぇっ!?」

「そ、そういう話だったんすか!?」

「最初から向こうはこっちを信用してなかったってこと?」


最初から、なのかは分からない。だが、俺たちが倒してしまったメンバーが帰ってきていないことは把握しているはずだ。

俺たちを襲うということは事前に話をしていたらしいし、そうなるとその犯人として筆頭候補となるのが俺たちとなり、


「まとめて片付けるではないにしろ、けじめをつけろとか言うつもりだろうな。あの激ヤバ探索者に関する何らかを俺たちにやらせてそれで手打ちか何かにするつもりなんだろう」


「うへぇ。それは面倒くさいね。じゃあ、もしかすると私たちの方にあえて追い込んできてるっていう可能性もあるの?」


「ありえるんじゃないか?発信機とか知らない間につけられている可能性があるな」


「本当に?さっきそういえば私は肩を触られた気がするけど…………あっ、本当に何かついてる!?」


発信器か何かだと思われるものを発見。

これは確信犯だと結論付けることになり、


「まずはそれをメリーが強そうなモンスターにでもつけておいてくれ」


「分かった。すぐやっとく!」


「俺たちは自分に何か仕込まれてないかチェックしながら離れるぞ!」


向こうの思惑は分かる。

だが、その通りに動いてやるつもりもない。

幸いなことに向こうはこちらが大した探知能力は持っていない(一応あるが、割と勘に頼ってる)と言う風に勘違いしている可能性が高い。

ごまかすことはそう難しくはないはずだ。


「スキルとかでマーキングされている場合はどうにもならないかもしれないけど、そこまでは考えなくていいよね?」


「おそらくな。確実にそうだとは言えないから怖いが、さすがにそこまで考えてもいられないな」


「一応変化の術とか使っておいた方が良いかな?」


ここからどうするかを相談しつつ、モンスターを倒して進んでいく。

向こうの方が降りてくるペースが速いが、それでもこちらも頑張って距離を詰められないようにしていると、


「1人減ったね。ブラッドオーシャンズの方が誰かやられたっぽい」


「ついに被害が出始めたのか。それなら少しは状況が変わりそうだな」


ついに人的被害が出たらしく、俺はここから流れが変わるだろうことを感じ取る。

さすがに俺たちに何かさせたいにしても、仲間がやられたことを黙っていられるブラッドオーシャンズではないだろうからな。


「向こうの予定通りのタイミングで押し付けられるよりは、マシな状態になってるだろう…………たぶん」


「何人かあの探索者の人達を減らしてくれるといいんすけど」


理想を言えば、勝手に全滅させてくれればそれでいいと思う。

だが、それは無理でもパーティメンバーの数人は減らしてしまっておいてほしいところだ。


「欠ける役割によっては、押し付けられてもかなり楽に対処できるはずだよな」


「私たちがスキルを奪われて使い物にならないなんてことにならなければ、だけどね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ