46鬼 共闘
ブラッドオーシャンズとのちょっとした揉め事が解決してから少し。
俺たちはひたすら自分たちに足りていないものを探し技術を磨きレベルを上げ、ついでに圧推とも連携をとれるようにしたりしながら過ごした。
模擬戦なども定期的に行ったおかげで皆それなりに対人戦の能力も高まった気がするし、
「やっと武器に実力が追い付いてきたか」
「そうだね。後は、敵の強さもかな?」
「ここまで一気に武器の質を高めても、もう一撃で倒せなくなったっすからねぇ。困ったものっす」
強くなったが、まだまだ先がある。
これがダンジョンの恐ろしいところだな。
ただ逆に言えば、
「あっちに人の気配があるね。もうちょっとしたらモンスターと接触しそう」
「よし。見に行くか。さりげなくやるぞ」
「了解っす。じゃあ、オイラはおとなしくしておくっすね」
俺たちより強い探索者の動きなどから学ぶことだってできる。
目標も参考にする者も数多くあるのだから、途中でモチベーションが低下したりしないところは良いよな。
今回はそうして他人の戦闘なども見られるようにするために少し大きめのダンジョンに潜っている。
そこは初心者から中級者まで戦える超大型のダンジョンで、何でも噂によれば100階層くらいまであるのだとか。
「きいっとあの悪い人は100階層でも戦えるんだろうね」
「たぶんな。俺たちが今40階層くらいにいることを考えれば、単純に2倍以上の実力差になるわけか」
「とはいっても、向こうがここの100階層と同程度の能力であるとも言い切れないっすからねぇ。ここは中級者までが対象らしいっすし、おそらくあの人の実力から考えればこのダンジョンのクリアできる階層なんて何も目安にはならないのでは?
「…………そうかもな。とりあえず、俺たちの2倍以上は最低でも強いっていうことが分かっただけってことか」
このダンジョンの最下層を余裕で攻略できる上位勢がまだまだいるということにショックを受けそうになるが、俺たちだってまだ探索者を始めてから半年もたってない。
ちょっとずつ上の人間から技術なりをこのダンジョンで吸収していって、更にここから実力をつけていくんだ!!
なんて思っていたところ、丁度その技術を盗ませてもらっていた探索者から話しかけられて、
「…………へぇ?お前ら、このダンジョンにもう来れるようにったのか」
「ん?俺たちを知っているのか?」
「ああ。そりゃそうさ。俺たちは、ブラッドオーシャンズのメンバーだからな」
「なるほど」
ニヤリといかにも悪そうな笑みを浮かべて見せる探索者。
一度あれだけ人を使って追いかけてきたわけだし、知られていることは当たり前と言えば当たり前かもしれない。
そんな探索者達だが、
「もしよければ、俺たちと組んでもう少し深い階層まで行ってみるか?」
「ん?良いのか?俺たちは部外者だが」
「構わねぇよ。近くにクランのメンバーがいないときくらいは、部外者と組んだって誰も怒りはしない。それより、俺たちが少しでも強くなることの方が大事だからな」
なんと共闘の誘いをしてきた。
こちらとしてはメリーの転移脳力だったり廻場の事だったりと色々見せられない部分はあるが、一緒に組むというのはその戦いを間近で観察できるということ。
俺たちの技術習得の大きな進展につながることも間違いない。
「なら、今日限りだが臨時で組ませてもらおう。こっちは日程を合わせにくいから、継続して組むことは少し難しいんだ」
「見たところお前たち学生っぽいし、それも仕方ないか。いいぜ。ここで俺たちの力を見て、ブラッドオーシャンズに入りたいと思わせてやるよ」
「おいおい。勘弁してくれ。こっちはもうクラン作ってるんだぞ」
「別にクランが他のクランの下につくことは問題ないんだぞ?ブラッドオーシャンズの傘下となれば、誰にも舐められなくなるぜ?」
「それ、好意的に思われることもほとんどなくなるんじゃないか?」
勧誘もされたが、それは断りつつお互いできることなどを話して陣形などを組んでいく。
幸い向こうにはタンク役も遠距離職もいるらしいのでそういうところとの連携もさせてもらいつつ、
「嬢ちゃん。俺が隙を作る!」
「了解!ボスは右の抑えをよろしく!」
「分かった!」
「俺が魔法で後ろの奴はケガさせるから、近づいてチビは仕留めろ」
「はぁ!?誰がチビだってぇ!?」
「いや、チビはチビでしょ」
「増華!?あんた表出なさい!アタイが身の程ってのを分からせてやるんだから!!」
普段とは違う戦い方と言うものをさせてもらった。
廻場とは違う、盾を使い敵の攻撃を受け止めるしっかりしたタンクも、魔法使いも、両方なかなかに一緒に戦うのは新鮮だった。
幸い向こうもこちらの実力がおかしいとは感じなかったようで、
「すごいなチビ。麻痺の腕は一級品だな」
「坊主の妨害もいい感じだった。嬢ちゃんの剣も、一撃が重くてビビったぞ。良いパーティーじゃねぇか」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい。そっちも、合わせやすい良いパーティーだな」
「魔法使いがいるのはやっぱり違うねぇ。うちのパーティーも遠距離攻撃できる人員が欲しいかも」
「麻痺の腕は、って何?それ以外も天才的な一級品に決まってるでしょ?」
和やかに、探索を続けることができた。
今回の事が上に伝われば、ブラッドオーシャンズとはいい関係を作っていけるかもしれない。
あんまりかかわりすぎると俺たちも悪い噂に巻き込まれかねないから、やりすぎには注意だけどな。




