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44鬼 詫びの品

大男と別れた後は何事もなく帰還できた。

思うのだが、俺たちが関わる探索者にはろくなやつないと思う。探索者って、そういう職業なんだろうか。


「モベヤお姉ちゃんは大丈夫だった?襲われたりとかしてない?」


「襲われる?そんなことはされてないけど、もしかして増華たちは襲われたの?」


「そうなんだよぉ。大変でさぁ」


自宅兼クランハウスに居たモベヤには特に何もなかったらしい。

安心して良いのかはまだ分からないが、とりあえず何もないのであれば増華のメンタルケアをしてもらうとしよう。まだ増華は人の命を奪ったことから完全には立ち直れていなさそうだし。


「今回はオイラもかなり実力不足を感じたっすね。モンスターは兎も角、人から襲われるとかなり危ういってことを理解したっす」

「アタイも、転移以外の力もちゃんと通用するように仕上げないとだめだね」


増華がメンタルケアをしてもらう間、メリーや廻場は自分たちの実力をどうすれば向上させられるか考えていた。

特に、廻場はダンジョンで襲ってきたかなり強めの暗殺者相手に何もできなかったから悔しい想いをしているんだろう。


俺も実力不足は感じたし、本来であれば鍛えたりとかするべきところなんだろうが、


「あいつらの事、もっと詳しく知らなきゃだめだよな。多少どういう性質なのかくらい分からないと、下手すれば地雷を踏みかねん」


俺は情報収集を優先した。

ブラッドオーシャンズの事を調べたかったんだ。もちろん、そのトップである大男、吾久能租雨に関してもな。

あの様子だとまた会うことになるのだろうし、できるだけ敵対することを避けるためにも向こうが敵対を確実とするような行動は避けなければいけないと思うわけだ。


そうして情報収集を始めると、やはり出ている情報の大半では悪い方面のことが書かれており、


「うわぁ。探索者どころか、一般人にまで結構手を出してんのかよ。容赦とか一切ないし…………俺たち、よく生きて帰れたな」


ネットに書かれていることだからどこまで信じていいかは分からないが(ダンジョン攻略の事となると話は別)、結構手当たり次第に人を襲っているという話もある。

これを読むと、あのユニークスキルを狙ってるヤベェ冒険者も、事が公に出たところで世間から抜針はあまり受けないのではないかと思ってしまうんだよな。

ブラッドオーシャンズのユニークスキル持ちなんて、世間からすれば嫌なものでしかないだろうから。


「仲間内の結束がかなり強いのも面倒な要素か…………俺たちが返り討ちにしたことがバレたら確実に消されてたな。やはり余計なことを口走らなくて正解だった」


恐らく、今確認した限り先ほどの会話で俺は失敗をしていないように思う。

ただ、向こうも相当ひねくれてるし気難しそうだから油断して良い相手ではないな。


「明日から調査するとは言っても、さすがに結果が出るのは数日後と言ったところか。なら、さすがに会うことになるのは数日後だよな?」


できれば調査に時間がかかりまくって俺たちの事なんて忘れてほしい。

俺はそう願いながらも、対策を覚えていった。


そうした俺の呟きがフラグとなったのか、


「よぉ。待っていたぞ。お前たちが言っていたこと、どうやら間違いじゃなかったみてぇだな」



「…………早くね?」


翌日、俺たちの前にまた大男が表れた。

しかも、また圧推の前に突然現れた形だ。

急に人影が見えると事故ったと思うからやめてほしい。


「だが、俺たちが無罪だってわかったなら何よりだ。とりあえず、疑いが晴れたならもう俺たちに用はないな?」


「ああ。迷惑をかけたし、お前たちを対象にした依頼はブラッドオーシャンズで受けることは禁止するということで昨日のわびにしてくれ。ついでに、今のお前たちには手が届かないだろうアイテムもやるよ」


俺の言葉にうなずき、大男はアイテムが入っているらしい袋を投げてくる。

それを受け取って中を見てみると、その大男の言葉通りかなり品質のいいレアそうなアイテムが確認できた。


「分かった。それで解決と言うことで構わない。こっちとしてはあまり変あことに巻き込まれたくもないからな」


「そうか。じゃあ、死なない程度に頑張れよ」


そこまで言うとまた大男は去っていく。

前回と同じく、跳躍してどこかへと消えていった。

そうして周囲から誰もいなくなったことを確認したら俺たちはまた圧推へと乗り込んで走り出し、


「何貰ったの?強いアイテムって話だったよね?」


「結構数があるから、どれがどうと言うのは言いづらいな。ただ、1人1つは使えるアイテムや装備があるだろう」


「結構数は揃ってるね…………このナイフとか良さそう。アタイがもらうね!」

「オイラもこの盾をいただくっす」

「私は剣が入ってないからどれでもいいけど…………とりあえず装備品1つと砥石をもらおうかな」

「あっしにも使えるものがありやすかね?」


「お前らはまた好き勝手に…………」


俺から袋を奪い取り、その中身を取り出して皆好き勝手取っていく。

しっかり話し合って誰が持つか決めておいた方が良いと思うんだが、こいつらはそういうことをしないな。

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