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40鬼 収穫

誰が敵なのか。そして味方なのか。

それが分からない以上俺たちは迂闊に証拠を抱えた状態で人に近づくことはできず、逆に人目を避けるようにして奥へと潜っていった。

全パーティーメンバーがそろっていることから分かるように今回俺たちのいるダンジョンはそれなりに難易度が高いところだから奥へ行くことはかなり自分たちを苦しめることになる。


はずなのだが、


「格上の経験値って、うまいんだな」


「アタイ、ものすごくよくない方向に行ってしまいそう」

「オイラもなんだが今までの事がばかばかしくなってきた気がするッス」

「さ、さすがに勘弁して。できれば二度とやりたくないから」


格上の、それこそ俺が緊急時用に買ったはずのそれなりに性能の良いアイテムを食らってもまだ生きているどころか動けるようなかなり格上の相手を倒した。

その結果得たものは、膨大な経験値。今までで1番と言って良い量の経験値だった。

おかげでモンスターにも対処できるくらいには強くなっている。


増華はやりたくないようだが、俺を含めた妖怪のメンバーは人を経験値に変えることに目覚めてしまいそうだな。

しばらく襲われないように気をつけなければいけないだろう。

そのためにも、


「結局、なんで俺たちは襲われたんだ?成長が著しくて目障りだから…………って感じでもなかったよな?」


「分かんないね。人に恨まれるようなことはやってないはずだけど」


「ハッ!もしや、アタイの美貌に誘惑されて自分だけのものにしたくなった連中が集まったとか!?アタイって罪な女」


「もしお酢なら相当こじらせた変態だぞ。あの実力があってそういうタイプならわざわざメリーは狙わないだろ」


メリーはそういう目で見るには完全に見た目がアウトである。それこそ探索者として連れていくときも「正気かこいつら。クズ過ぎるだろ」みたいな目で見られるような見た目なんだ。

さすがにそれはないと信じたい。


「アタイじゃないってことは何?ボス?それとも廻場?」


「ちょっと!?そこでなんで私の名前を入れてくれないの?」


「増華を対象にするなら、アタイが入らないわけないでしょ。だから、男連中が目的だと思うわけ」


「オイラを対象にするって、よっぽど変な方に拗らせちゃってる人だと思うっすけど。もしかして、ボスとかが持ち歩いているから特殊なアイテムだとでも思われたっすか?」


ふざけた理論だ。

その場合対象になるのは、


「俺が狙われてるとでもいうつもりか?」


「そうなっちゃうね」


「考えにくいだろ。そこまで自分の顔を卑下するつもりもないが、俺は毎日のように告白されて遊びに行くたびに芸能界へのスカウトが来たことなんてないぞ?」


「うん…………じゃあないね」

「結局目的は分からずじまいっすねぇ」


あっさりと引かれてしまった。

否定してほしかったわけじゃないんだが、これはこれで悲しい。


なんて会話をしていたところ、俺たちに喋れない奴がヒントを与えてくれて、


「ん?ダスト?どうしたんだ?…………これは、さっきのやつらの所持品か?」


「もしかして、身元を特定できたりする?」

「所属とか分かるなら最高っすね」


スライムのダストが俺に渡してきたのは、今まで倒してきた探索者の持ち物。

どうやら肉体だけを消化してそれ以外のアイテムなどは残してくれていたみたいで、こちらとしては大助かりだ。

身分証などがあれば向こうの事が分かるし、そうでなくても、


「こ、これ、今ギルドで買えるポーションの中で最高級のものじゃないっすか!?」

「こっちはギルドでも買えないような毒じゃない?ボスも飲ませたら即死させられるようなやつ」

「こっちのナイフ、アタイの貰ったナイフの上位互換じゃない?もらっちゃうよ!あげないからね!!」


得られたものは大きい。

俺たちでは届かないような価格帯のアイテムが手に入った。

もちろん、


「メリー。使うのは良いが、俺たちが持ってると殺したのがバレてしまう可能性がある。普段は今までのナイフを見せておいて、ダンジョンの中の人がいないところで持ち替えてくれ」


「えぇ~」


「もっと強い奴に襲われて全滅したいならそのままでもいいけど?」


「うぅ。それは嫌だから…………仕方ない。アタイが持ち替えてあげる!あんたたち、感謝しなさい!!」


「お~。感謝するっす。じゃあ、感謝するついでにオイラはこのペンダントみたいなものを装備しちゃうっすよぉ。古風な雰囲気のオイラにマッチする普段使いしやすいデザインっすからねぇ」

「それなら、私はこのローブをもらっちゃおうかな。気配を薄められるっぽいから、だいぶ立ち回りを変えられるんじゃないかな。ギルドでも怪しい雰囲気のある注目の新人を演出できるんじゃない?」


「なんで私が我慢するのにあんたたちは普段使いしようとしてんのぉぉぉ!!!???」


「普段使いをやめてほしいのもそうだが、増華は本当にそのローブ使うつもりか?さっきの奴おっさんっぽかったし、おっさんが来てたお古を着ることになるんだぞ?」


「うげぇ。知らないおじさんが着てたのはちょっと嫌かも…………」


それぞれ欲しい物を手に取っていく。

色々と問題があるから普段から身に着けておくことはできないが、本気でダンジョン攻略したい時に人目がなければ装備してもいいかもしれない。

性能はとにかく高そうだからな。


「収穫があってよかった~」

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